現在、熊本市現代美術館で行われている「水戸岡鋭治からのプレゼント まちと人を幸福にするデザイン展」。
水戸岡鋭治さんは「九州新幹線」や「ななつ星in九州」をはじめ、JR九州の鉄道や駅など、多数の公共デザインに取り組んでいらっしゃる工業デザイナー。
2013年10月から運行を開始したJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」で、この水戸岡氏のデザインを目になさった方も多いのではないかと思います。
何を隠そう、私もその一人。
当初はあまり良く知らなかったのですが、その美しく、各所に拘りを感じるデザインを見るに連れて、じわじわと興味を持つようになりました。
熊本市現代美術館は、熊本市の中心部、百貨店やホテル等が立ち並ぶ便利な場所にあり、気軽にアートを楽しめる空間になっています。
お写真はありませんが、まるでカフェにいるかのようなゆったりとした造りの読書コーナーなどもあり、私のお気に入りの場所になりそうです。
会場に歩みを進めると、そこには水戸岡氏がデザインした電車たちが。
九州新幹線「つばめ」を始めとした九州各地を走る電車たちの多くが彼の手によるものです。
場内にはレールが敷かれ、小さな列車が走っています。
これが来場した子供達には大人気!
これまで水戸岡氏が世に送り出してきたデザインの数々・・・。
驚いたのは、そのデザインする対象の幅の広さ。電車や船、そしてその車内や船内、そして町並み。
全てのデザイン画に細かく指示が出してあり、彼の頭の中に広がるイメージがどれだけはっきりしたものなのか、
そして、それを具現化するのにはこれくらいの沢山のことを書き出し、伝えることが必要なのだということを知ることが出来ました。
こちらは、「ななつ星in九州」の一連のデザイン。やはりどのデザインよりも興味深く見てしまいます。
このクルーズトレインをJR九州は「大人の空間」と位置付け、クルーズ参加者は中学生以上とされているそう。
なるほど、上品で落ち着いた、目でも楽しめる素晴らしい空間となっています。
こちらは故・十四代酒井田柿右衛門さん作の洗面鉢。全客室、14室分を創作し、全て形やデザインを変えてあるのだそうですよ。
こうした実用装飾品の数々もこの車内の見どころであり、水戸岡氏のコーディネートの素晴らしさを感じられる部分の一つかもしれません。
こんな車内で時を過ごしながら旅したら・・・ ものすごくリフレッシュできそうです!
いつか乗ってみたいなぁ~。
ところで・・・ 水戸岡氏のデザインの中にはこんな遊び心のあるものも。
これは熊本駅から阿蘇を経由し宮地駅までを走る「特急あそぼ~い!」のファミリー用車内の椅子のうちのひとつ。
お子様サイズの椅子・・・なんだかとても可愛らしくて新鮮ですね!
こうしたJR九州の電車のデザインの他、博多~釜山間を結ぶ高速艇「BEETLE」や熊本市電のデザイン、熊本の古い町並みの再生プロジェクトなど、九州各地で水戸岡氏の作品を沢山目にする機会があります。
「日本の美」をうまく取り入れつつも遊び心のあるデザイン。
また、それぞれのコンセプトに合わせながら、多くの人が「心地よい」と感じ、受け入れられるデザインを生み出す・・・ということはとても大変な作業だと思います。
そんな中でも次々に美しいデザインを生み出し続けている氏に、尊敬の念を覚えながら、会場を後にしました。
熊本市現代美術館
「水戸岡鋭治からのプレゼント まちと人を幸福にするデザイン展」
http://www.camk.or.jp/event/exhibition/mitooka/
JR九州(JR九州の列車たち)
http://www.jrkyushu.co.jp/trains/index.html
クルーズトレイン「ななつ星in九州」
http://www.cruisetrain-sevenstars.jp/