鳥獣戯画のデザインが好きです。
ついつい買ってしまうので、ハンカチや手ぬぐい、はたまた財布や帯や襦袢(!)まで、かなりの数を持っています。
そんな私は、今年4月から開催予定だった特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」を昨年からとても楽しみにしていました。全4巻からなるこの鳥獣戯画は保有している場所がことなるため、まとめてみることができる機会なんて今までなかったからです。
ゴールデンウィークのチケットも早々にゲットして、本当に楽しみにしていたんです。
それなのに。
そうです、ゴールデンウィーク前に出た緊急事態宣言によって、開会数週間で休館に。チケットも払い戻しの憂き目にあってしまったのです。なんてこと!
美術館というものは展示品のレンタル期間などもあるため、年間でスケジュールが決まっていることが普通です。つまり休館したからといってその分後ろ倒しにできるというわけではないとも聞きます。緊急事態宣言が伸びたときは、本当にこのまま終わってしまうのではとやきもきしまくりました。やっと宣言があけて、無事に開館されることを知ったときは本当に安堵したものです。
当然ながら、残り少ない期間、特に週末のチケットの争奪戦は熾烈を極めました。発売日当日の戦いに負けた私は、入金期間が終了する日付のぎりぎりのタイミングを狙うことにして、今度は無事にチケットをゲットすることができました。自分でいうのもなんですが、執念です(笑)
というわけで、念願の「鳥獣戯画」を見るために、うきうきとおでかけしてきました。
「鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)」は、京都市右京区の高山寺に伝わる全4巻からなる国宝の絵巻物のことです。ウサギやカエル、サルが遊んでいるシーンは特に有名ですが、これはこの絵巻物の甲(一)巻で描かれているだけで、以降の乙(二)巻、丙(三)巻、丁(四)巻は、作者も絵柄もテーマも異なります。
擬人化された動物だけでなく、人物が描かれている巻もあるため、鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)と呼ばれることもあります。例えば、乙巻に描かれているのは身の回りの動物や、その頃日本にはいなかった海外の生物、はたまた空想上の動物まで描かれています。動物図鑑といわれる所以です。
その制作目的などはいまだに謎に包まれているものの、長い長い年月の間にたくさんの人物が描きつないできた、一大絵巻なのです。
乙巻に描かれているゾウ。
その頃の日本にはいなかったそうなので、輸入された絵などを参考にしたのではといわれています。
今回の展示会の最大の目玉は、特に人気のある「甲巻」を、なんと”動く歩道”で見ることができるというもの。4巻全部で約44メートルもあるながーい絵巻ですから、普通に展示すると立ち止まる人が出て、混乱するかもという気配りだったのでしょう。
実際に、ちまちま自分で歩きながら見るよりもじっくりと絵に集中できるので面白い体験でした。ただ、ちょっと気を抜くと、見たい部分が流れて行ってしまうので、集中力は普通に見るより必要だったかもしれません(笑)
また、鳥獣戯画の一部を切り取って、掛軸などに仕立て直された断簡や、原本ではすでに失われた場面を留める模本(原本を模写したもので、コピー技術がない時代に作られたもの)と鳥獣戯画を比較して、制作当時の姿を再現した展示も、とても興味深いものでした。
なんといっても4巻全部まとめて観覧できる機会はなかったので、興奮しましたね。丙巻や丁巻は主に人間の遊びをテーマにしているせいか、鳥獣戯画としてはあまり取り上げられることもないので、絵柄の違いや解釈などとても面白かったです。
満足したら、グッズももちろんチェックします。小物から大物まで、とにかくたくさん!
なぜかミッフィーとのコラボ商品も。
オランダに住んでいたこともあるので懐かしいけど、なぜ??
とにかく物欲を抑えるのが大変!
売り切れている商品も多くて、やはり鳥獣戯画は人気があるなあと改めて感じました。
まんえん防止など、まだまだ気軽に美術館にいける雰囲気ではないですが、早くあれこれ楽しめる日々が戻ってくるといいですね。