こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
今回は東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)で開催中(~2022年3月25日〈金〉)の展覧会『楳図かずお 大美術展』のご紹介です。
東京シティビューは、その名の通り、東京の中心部の風景を見下ろせる素晴らしい展望台で、他の美術館とはちょっと違う視点の展覧会を楽しむことができるお気に入りの場所です。
今回は、子どものころから親しんできたマンガ家の楳図かずお先生の作品が展示されます。
楳図かずお先生と言えば、わたしと同年代の女性にとっては、まず「すごく怖いマンガを書く人」というイメージが強いです。幼少期に少女向け雑誌の愛読者だったわたしたちは、先生が描かれた「ヘビ女」や「赤んぼ少女」などの恐怖マンガに震撼しました。あまりに怖くて、読んだあとにトイレに行けなくなったものです。
もう少し長じてからは、個性あふれるナンセンスギャグマンガ「まことちゃん」に夢中になりました。グワシというポーズを真似した人も多いのでは。
しかし今回の展覧会は、楳図先生のマンガ家としての足跡をたどるものではないため、それらに関する展示は多くありません。この展覧会は、マンガという限られた分野では語り尽くすことができない、楳図先生の「比類なき芸術性」に焦点を当てたものだからです。
今回の展覧会でクローズアップされているのは、「漂流教室」、「わたしは真悟」、「14歳」の3点です。どれもSF的な要素の強い作品で、楳図さんの先見的な世界観がよく表れています。
これは「漂流教室」のさまざまな場面をコラージュした展示です。1970年代に書かれた作品ですが、モティーフになっている要素が、その後実際に起きていたりします。
この展覧会のもうひとつの特徴は、新進気鋭のアーティストたちが、楳図さんのマンガをテーマにして創作した作品も展示されていることです。
こちらはアートユニット「エキソニモ」による「わたしは真悟」をテーマにしたインスタレーション。大量のケーブルが山積する上に何枚ものモニターがあり、「わたしは真悟」の中の場面が映し出されます。また、背後のガラス窓の向こうには、このマンガの重要な舞台のひとつとなった東京タワーもあります。
この展覧会は夜も見ることができますが、その場合は、未来都市のような東京の夜景が背景となります。
そして最大の見どころは、27年ぶりの新作『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』です。
こちらは、現在85歳の楳図さんが4年の歳月を費やして描き上げたもので、「わたしは真悟」の続編となりますが、マンガではなく、101点の連作絵画で表現されています。今回は、そのすべてを見ることができます。
この作品は、まずモノクロで描かれ、それをコピーして、その上にアクリル絵の具で着色したものです。あまりの精巧さと独特の色彩感覚に驚かされます。
こちらは、それらの作品の何枚かを壁一面に拡大したフォトスポットです。ここに立つと、自分が楳図さんの世界に入り込んでしまったかのような気持ちになります。
写真左手はガラス窓で、昼間は黒幕で覆われていますが、日が暮れると、やはり、夜景の中でこれらの作品を見ることになります。夜にもう一度来なければ。
最後の展示は「14歳」です。「漂流教室」の続編とも言える、人類の破滅を描いた大作です。
こちらは、日本を代表する現代芸術家、鴻池朋子さんの作品です。
「14歳」をテーマにしていますが、マンガの内容とは関係なく、14歳のころの楳図かずお先生をイメージした作品のようです。左が楳図さんで右がお母さん。お母さんはよく見ると、わたしたちの記憶の中にある「ヘビ女」に似ています。
ミュージアムショップのオリジナルグッズも豊富です。
こちらは、作品の中のキャラクターをプリントしたクッキーです。
てぬぐいも楳図先生のキャラを使うとこんなにアートっぽくなります。
展覧会の開催期間限定で、コラボレ―ションカフェの「UMEZZ CAFE」もオープンします。
「漂流教室」をモティーフにした「絶望の砂漠カレー」、「わたしは真悟」をモティーフにした「アイのテザート」、まことちゃんのホットチョコレートなど、ユーモアたっぷりです。
楳図かずお大美術展
東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)
2022年1月28日〈金〉~3月25日〈金〉
詳細は、公式サイトをごらんください。
𠮷田さらさ 公式サイト
http://home.c01.itscom.net/
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