那須は那須温泉郷として『平家物語』にも登場する将軍や大名たちの湯治場で、歴史ある場所。大正15年に那須御用邸がつくられ、都心から足を運びやすく、四季を通して楽しめる場所の一つです。
そんな那須の中でも“無”になれる場所「アートビオトープ那須」を訪れました。
アートビオトープ那須は那須連山山麓の横沢地区に位置しています。
2017年に閉館したリゾートホテル「二期倶楽部」の創立20周年記念の文化事業として、2006年にオープンしたアートと自然をテーマにしたスポットで、敷地内にはレジデンスとスイートヴィラやレストランがあります。宿泊せず、日帰りでも楽しめるのがレストランや「水庭」です。
「水庭」の見学は水庭ツアーへの申し込みが必要で、事前予約がおすすめです。
水庭ツアー開始まで中庭で暫し休憩します。
いざ「水庭」へ。
建築家の石上純也さんが手がけた「水庭」は、2019年に「グッドデザイン・ベスト100」に選出され、数多くの賞を受賞した芸術作品です。水庭に生えている木は「アートビオトープ スイートヴィラ」がある場所に自然に生えていた木をそのまま移植したんだそうです。樹形を保ちながら318本の木がこの土地に移植されたのだそう。1日4本しか移植できなかったため、「水庭」は完成まで、4年の歳月をかけたのだとか。
水庭は玄関からリビングのような開放的な空間へまるで邸宅の中を巡るようなイメージでデザインされたそうで、庭でありながら「建築としての水庭」を楽しめました。
人工でありながら自然と寄り添い、折り合いをつけながら変化し、生み出されていく庭。この日は、雨上がりで何とも風情があり美しかったです。
池に映る木々が鏡のようでもあり、幻想的です。
水庭にはカエルやアメンボなどたくさんの生命が宿っていました。
時間とともに変化する庭は心と身体を解き放つ特別な力があるように感じました。
「水庭」を後にし、お城の中でイタリアンが楽しめるレストラン「リストランテ ラ・ヴィータ・エ・ベッラ 那須」 へディナーに訪れました。
ひとたびお城の中に入ると、ひっそりと佇む厳かな空気に包まれ、時が止まったかのような感覚に。
敬宮愛子さまもご学友と訪れるというエピソードも。
こちらでは那須牛がメインのコースに。
非日常空間で地の食材を堪能できます。
那須にて自然の中のアートに触れ、究極の「無」を体感し五感が刺激されました。
深遠なる「無」の世界を体感されてみてはいかがでしょうか。