こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
今回は、秋の東京で楽しめる素晴らしい展覧会、「静嘉堂創設130年記念 新美術館開館記念展Ⅰ響きあう名宝─曜変・琳派の輝かがやき─」(~2022年12月18日〈日〉)をご紹介します。
静嘉堂は、三菱の第2代社長の岩﨑彌之助と第4代社長の岩﨑小彌太父子が収集した古美術コレクションを中心とした美術館です。1892年、岩﨑彌之助が自邸内に作った文庫「静嘉堂」が始まりで、1924年以降は世田谷区岡本で運営されてきました。
美術館としての開館は1992年。そして2022年、美術館の展示部門のみが千代田区丸の内の明治生命館に移転しました。
今回ご紹介する展覧会はその移転記念で行われるものです。
静嘉堂を設立した岩﨑彌之助は、丸の内のオフィス街に美術館を開設したいという構想を持っていました。その願いが130年の歳月を経て結実し、新美術館がオープンする運びとなったのです。
明治生命館は1934年に建てられた古典主義様式のビルの最高峰。昭和の建物として初めて重要文化財に指定された貴重な建造物です。
その一角が美しくリニューアルされ、新しい美術館になりました。愛称は「静嘉堂@丸の内」。天井から自然光が差し込むホワイエを囲むようにして四つの展示室があります。
開館記念展第一弾となる「響きあう名宝─曜変・琳派のかがやき─」では、静嘉堂が所蔵する7件すべての国宝をはじめとする茶道具や琳派の作品など、選りすぐりの名宝を見ることができます。
重要文化財の建物の中で国宝を鑑賞。贅沢な時間をゆっくりと楽しんでみましょう。
まずは第1室に展示された第1章「静嘉堂コレクションの嚆矢 岩﨑彌之助の名宝収集」から見ていきましょう。
彌之助さんのコレクションのスタートは茶道具蚊らでした。その中でも最初に入手されたのは下の写真の茶入と言われています。
大名物 《唐物茄子茶入 付藻茄子》
南宋~元時代(13-14世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
室町時代、足利義満によって見いだされ、松永久秀から織田信長に献上され、豊臣秀吉、徳川家康の手に渡ったという歴史的な価値もある天下の名品です。
第2章は「中国文化の粋」。
岩﨑彌之助、小彌太親子は、中国文化や漢字にも造詣が深く、また、審美眼にも優れていたため、中国美術の素晴らしいコレクションとなっています。
建窯
油滴天目
南宋時代 (12~13世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
宋風の喫茶文化を取り入れた室町時代、あとでご紹介する「曜変天目」に次ぐ高い評価を得たのが、この「油滴天目」です。茶碗としてはかなり大きなサイズで、朝顔の花のように上部が開いているので、ライトが当たってきらきら輝く油滴がよく見えます。
第3章は「金銀輝く琳派の美」。
日本美術を代表する芸術家たちによる、よりすぐりの名品が展示されます。
国宝 俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》
江戸時代・寛永8年(1631) 前期(10/1~11/6)展示
静嘉堂文庫美術館蔵
『源氏物語』の第十四帖「澪標」と第十六帖「関屋」をそれぞれ一隻の屛風に描いたもの。
さすが宗達、シンプルかつ大胆で洒脱な構図ですね。
尾形乾山 色絵定家詠十二カ月花鳥図色紙皿
江戸時代・18世紀
静嘉堂文庫美術館蔵
鎌倉時代の歌人、藤原定家が詠んだ歌に基づいて、月ごとの花と鳥を組み合わせてデザインした絵皿。余白の使い方が絶妙で、実に風流です。
第4章は『国宝「曜変天目」を伝えいく岩﨑小彌太の審美眼』です。
小彌太氏は、中国陶器の世界的コレクターとして知られています。
建窯
国宝《曜変天目(稲葉天目)》
南宋時代(12-13世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
偶然により生まれた美しい「曜変」。
同種のものは世界に三つしか現存せず、すべてが日本に伝来しています。
眺めていると、宇宙空間に浮かぶ星がきらめいているように見えてきます。
静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ
響きあう名宝─曜変・琳派のかがやき─
会期:2022年10月1日(土)〜12月18日(日))会期中に展示替えあり
[前期 10月1日(土)〜11月6日(日))/ 後期 11月10日(木)〜12月18日(日)]
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
詳細は、こちらのサイトをごらんください。
𠮷田さらさ 公式サイト
http://home.c01.itscom.net/
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