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ぬくもりまで感じられそうな生き生きとした木彫りの動物たち

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。

 

今回は、ギンザタナカ 銀座本店で開催中(~2023年3月19日〈日〉)の「はしもとみお木彫展‐時をかけるケモノたち‐」のご案内です。

 

はしもとみおさんは三重県北部の古い民家をアトリエにして、動物の姿の木彫をする作家さんです。各地の美術館などで展示され、大人気を博しているはしもとさんの動物たち。わたしは今回はじめて見たのですが、はしもとさんが作り出す世界に魅せられてしまいました。

 

ワンちゃん、ネコちゃんだけでなく、羊さん、ヤギさんなどもいます。どの子にも命が宿り、何かを語りかけて来るかのようです。動物の形をした置物やぬいぐるみは世の中にあふれていますが、はしもとさんが作る動物の彫刻は、そのどれとも違っています。

 

動物の表情やポーズを写実的に表現する技術も素晴らしいのですが、そういった表面的なものを越えた不思議な存在感があり、それがはしもとさんの作品を特別なものにしています。

 

この白いドレスの方がはしもとさん。右側ははしもとさんの大作で、モデルはぶさかわ犬として全国的に有名な秋田犬「わさお君」です。

わさお君は2020年に13歳で天寿をまっとうしましたが、はしもとさんは、その後、わさお君を知っていた人たちに何度も話を聞き、写真も無数に見て、もっともわさお君らしいと思われる表情とポーズを決めて彫ったのだそうです。

 

 

はしもとさんが彫るのは、どこかに存在していた、または、まだ存在している動物たち。そっくりに作るのではなく、その子が持っている生命感を写し取り、その子にもう一度会えるような彫刻を目指しているとのこと。

 

つまりこの木彫の犬は、単なる「毛がふさふさしたぶさかわの秋田犬」ではなく、世界でたった一匹のわさお君です。この世に確かに存在したひとつの命を表現する。

それが、一般的な動物型の置物との大きな違いなのですね。

 

ちなみに今回の展示は、どの子もさわって鑑賞が可能。

さわればさわるほどいとおしく思えて来るのも不思議です。

 

右側の黒柴ちゃんは、はしもとさんの愛犬の「月くん」。このポーズ、この表情。

もう見ているだけで幸せになれます。

実際にワンちゃんを飼うことができなくとも、こんな子を家にお迎えしたら、それだけで気持ちが満たされるのではないでしょうか。

 

ネコちゃんもたくさんいます。みんな実在のモデルさんがいるので、顔つきもそれぞれに個性があります。ネコちゃんが置かれている台は、はしもとさんの師匠に当たる西村浩幸さんの作品の「象鯨彫刻家具」、つまり彫刻と家具の中間的な使える彫刻です。オブジェとしても素敵ですが、上にものを置いても、人が座ってもよさそうです。

 

「それと同じように、わたしの作品も、使える彫刻と考えていただけたらとよいと思います。お気に入りのワンちゃんやネコちゃんの彫刻を家に置いて毎日撫でていたら、絶対に人生が変わりますよ」と、はしもとさんはおっしゃいます。

なるほど、日々の癒しの役に立つ実用的な彫刻ということですね。

 

 

こちらはワオキツネザル君です。

わたしはこの子が欲しい! 悲しいことがあっても、笑わせてくれそうだから。

 

このごろでは立体的な彫刻だけでなく、このようなオブジェも作っておられるとのこと。

月に乗る月くんやネコちゃんたち。たまらない愛らしさ。

 

はしもとさんは、20年前から、「朝練」と称して、毎朝30分このような絵を描いています。

30分で描いたとは思えない完成度です。

 

 

こちらは、はしもとさんのアトリエをミニチュアで再現したもの。家具から何から、すべて実際にあるものと同じなのだそうです。

しかし、そこここにある金色の小さな動物たちはなんでしょうか?

 

これは実はギンザタナカの商品です。ギンザタナカは金の売買だけでなく、宝飾品も扱っており、これは、はしもとさんの木彫作品を24金/純金で小さなオブジェにしたものです。

全部で16種類。ワンちゃん、ネコちゃんだけでなく、十二支の動物もあって、これもまた、目を奪われるかわいさです。

 

こちらはギンザタナカ1階売り場のディスプレーです。なんと、おさるさんのおやつのバナナやワンちゃんが大好きな骨もあります。純金ですからさすがにお高く、小さいので75万円、大きいのだと200万円もします。このお値段にはデザイン料や細工料が含まれているので金の原価とは違いますが、資産としての金を扱う会社ですから、品質と重量は厳密に管理されています。

 

万一、手放すことになったとしても、その時の金の相場価格で引き取っていただけるとのことですし、長い目で見たら、金そのものの値上がりもあるかも知れません。木はいずれ朽ちるものですが、金は永遠です。愛せる金のオブジェを保有するのも、夢があるお話ですね。

 

 

はしもとみお木彫展‐時をかけるケモノたち‐

2023年2月3日(金)~3月19日(日) 11時~18時

ギンザタナカ 銀座本店 5階ホール 入場無料

 

 

𠮷田さらさ 公式サイト

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