こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
今回は、東京都美術館で開催中の「マティス展(~2023年8月20日〈日〉)」のご案内です。20世紀を代表する巨匠であるアンリ・マティスの初期から最晩年の作品までをまとめて見るチャンス。
開催も8月下旬までと長いので、何度も足を運んで、じっくりとマティス独自の世界を堪能したいと思います。
第1章「フォービスムに向かって」(1895-1909)。
多くの画家がそうであるように、マティスの場合も、初期の作品には、わたしたちがよく知っているマティスらしさがあまり感じられません。ここからどのようにして独自の画風を切り開いていくかを見るのが楽しみです。
何かに迷っているような表情の自画像です。自分の表現を模索している状態なのでしょうか。色合いも暗く、のちに色彩の魔術師と呼ばれる要素はまだないようです。
新印象派の画家、ポール・シニャックに招かれて南仏のサントロペに出かけた際に見た風景が描かれています。色はきれいですが、表現方法は印象派の点描のようで、一目でマティスとわかる個性はまだないように思います。
第2章「ラディカルな探求の時代」(1914-18)。
第一次世界大戦の勃発により社会状況が大きく変化し、マティスにとっても転換期となりました。
いよいよ登場、マティスと言ったら窓ですよね。
外にはセーヌ川と建物があり、室内には金魚鉢やソファー。家具の配置や空間構成など、よくよく見ると現実とは違う微妙なズレがあります。
それによってより魅力的に見えるのでしょうか。
これも前の絵と同じ窓。いつもこのように座って絵を描いていたのですね。
第3章「並行する探求-彫刻と絵画」(1913-30)。
マティスは補足の習作として、考えをまとめるための彫刻も多く作っていました。
隣人のジャネットさんをモデルに作られた彫刻のひとつ。
第4章は「人物と室内」(1918-29)
マティスは1918年にパリからニースに移り住み、作品にも大きな変化がありました。
エキゾティックな雰囲気を作り出す衝立や敷物は、なんとマティスの自作とのことです。
微妙に水平ではないテーブルを囲む二人の女性。奥にあるのはおそらく窓なのでしょうが、壁にかけた絵にも見えます。
いろいろと不思議な点があるのだけれど、なぜか、すべてが調和した空間となっています。
第5章「広がりと実験」(1930-37)。
アメリカとタヒチに旅し、新しい空気を感じて、心身ともに生まれ変わるマティス。
気持ちよさそうに眠っているモデルさん。思わず引き込まれる素敵なポーズです。
実体のない、色と線だけで表された裸婦。
何度も修正と再構成が繰り返された結果、こうなったようです。でもなんだかこれもすごく魅力的ですね。
第6章「ニースからヴァンスへ」(1938-48)。
マティスは70歳近くなり、病気で入院もしました。
そして1943年、空爆の危機が迫るニースから、近郊の丘の上の町ヴァンスに引っ越します。
〈ヴァンス室内画〉シリーズの第1作。色と物の配置が絶妙で、なんともおしゃれです。
〈ヴァンス室内画〉シリーズの最終作。よく見ると、「黄色と青の室内」と同じ家具が描かれています。
壁の絵が窓のようにも見えるところもいかにもマティスらしい。
第7章「切り紙絵と最晩年の作品」(1931-54)。
1930年代初頭、マティスは切り紙絵を始め、やがてメインの表現方法となっていきます。
さまざまな色と形で構成された切り紙絵作品の数々。
第8章は「ヴァンス・ロザリオ礼拝堂」(1948-51)。
最晩年の作品は、地中海を見下ろすヴァンスの町のロザリオ礼拝堂でした。
今回の展覧会では、映像で礼拝堂の内部の様子を見ることもできます。
ロザリオ礼拝堂のステンドグラスの上に設置された陶板円形画の関連作品。
マティスが長い竿を使ってデッサンを描く様子の写真も展示されています。
ミュージアムショップも大充実。
色彩と造形の魔術師マティスの作品をモティーフにした素敵なグッズがたくさんあります。欲しいものだらけで、買いすぎに注意。
マティス展
東京都美術館
2023年4月27日〈木〉~8月20日〈日〉
※日時指定予約制
詳細は公式サイトをごらんください。
𠮷田さらさ 公式サイト
http://home.c01.itscom.net/
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