こんにちは。かりぃです。
先日、マレーシアで珍しいお料理をいただきました。
その名も「Begger’s Chiken(べガーズチキン)」直訳すると「乞食鶏」
ちょっとギョッとする名前ですが、乞食鶏は中国本土や香港で伝統的な宮廷料理や郷土料理として知られています。
鶏肉に薬膳素材や香辛料などを詰め、蓮の葉や竹の葉で包み、さらに粘土で覆って低温でじっくりと焼き上げるお料理だと聞いて、興味津々。
「乞食鶏」をいただきに
クアラルンプール郊外にあるお店『New Heong Kee Restaurant』を訪ねてみました。オープンエアで地元感満載。
店内には中華系マレーシア人らしき方々が家族やグループで食事にいらしていてとっても賑やか。
チャキチャキ元気に出迎えてくれた店主のフィリスさん。お父様から引き継いだこのお店は今年で40年になるという老舗。
調理場を見せてもらいました
まず、放し飼い飼育の鶏肉にナツメやクコの実、タンジン、ダングイなど数々の薬膳素材を詰めて醤油、紹興酒、胡麻油などでマリネ。その鶏をクッキングペーパーと耐熱特殊加工のシートで包み粘土で覆ったのがこちら。
特殊加工シートは使い勝手が良く安全だから、と日本製を使っていました。現在、葉っぱは使っていないそうで少し残念。
調理場の熱い木炭に20cmほどのくぼみをつくり、粘土で包んだ鶏肉を並べます。
その上に細かく砕いた炭をかけ、60℃前後の低温で6時間ほど焼いたら完成。見せてもらったのは夜の予約分。私たちがランチでいただいた鶏は朝6時から仕込んでくれたそう。
ランチ分焼き上がりました! スコップで灰の中から粘土の塊を取り出してくれたのはフィリスさんのお父様。リアカーで運び、トンカチのようなもので粘土を割ってお肉を取り出します。ちょっと塩釜焼きみたいな感じ。
完成です!! チキンとダックがあったので、私たちは今回ダックを選択。低温調理なので肉汁が逃げずお肉がとってもジューシー。
なぜ「乞食鶏」?
フィリスさんに乞食鶏の名前の由来を尋ねると、面白い話をしてくれました。
「昔々、乞食が鶏を手に入れた。しかし料理する道具も場所もなかったため、即興で鶏に香草などを詰めて泥で包み、焚き火でじっくり焼いたところ、中の鶏が驚くほど柔らかく、香りも良く、ジューシーに仕上がり、この調理法が広まった。これが宮廷の目にとまり、やがて皇帝にも献上されるようになり、高級料理へと格上げされた」と。
今では乞食鶏から転じて富貴鶏とも呼ばれるようになり、香港などでは縁起の良い高級料理として振る舞われることも多いとか。この呼び名の落差・笑!! 人間いつの時代も美味しいものには素直です。
他にも薬膳メニューがいっぱい

鶏と一緒に注文した、おこわ。もち米と薬膳素材をバナナの葉で包んで、鶏と同じ製法で低温調理。もっちり感がすごい。
丸ごと冬瓜スープ。やはり5-6時間、薪で調理します。
蓋を開けると、冬瓜の実と一緒に、やはりナツメやクコなどの薬膳素材がぎっしり。薄味でひとつひとつの食材の味が良くわかる滋味深い一品。
全てに薬膳素材がふんだんに使われ、手作業で丁寧に調理されるお料理の数々。これで元気にならないはずがない。自然の恵みと、伝統の調理法を受け継いでくれているフィリスさん家族に感謝して有難くいただきました。
今回は家族3人だったので量的に3品が限界でしたが、次回はお友達家族と一緒にもっといろいろな種類をいただいてみたいと思います。
東京や大阪など日本各地でも「乞食鶏」「富貴鶏」をいただけるレストランはあるようなので、ご興味がありましたら是非お試しください。

沖縄県 東京生まれ。インド育ち。メキシコ暮らし・沖縄暮らしを経て、マレーシア移住準備中(2025年夏予定)。夫と中学生の娘との3人暮らし。 おいしいもの・旅・美容・健康に強い関心あり。度々自宅で開く宴会が元気の源。ペンネーム「かりぃ」は沖縄語で「乾杯!」。スーパーフード「モリンガ」商品製造販会社経営、NPO活動、翻訳・ライターなど数足の“わらじ”を履いて奔走中。人生で出会った魅力的な人、場所、味、面白い出来事、お届けします♪