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日本のモンサンミッシェルに行ってみよう 神が宿る島、壱岐を旅する【後篇】

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。

寺社を中心に、全国各地の旅情報をお届けしています。

今回は、前編に引き続き、神秘の島壱岐のご案内です。

 

 

 

モンサンミッシェルを思わせる

小島神社

 

地元を知りつくしたバスガイドさんが、

「ぜひこの神社を壱岐で一番の観光地にしたい」と大プッシュ。

この神社がある内海湾は、弥生時代に、一支国(壱岐)と大陸を行き交う船が停泊し、

小舟に乗り換えて人や物資を運んだところです。

 

満潮時には鳥居と沖の小島に見えますが、

干潮時には海が割れて参道ができ、岸から渡れます。

 

寺社部長 小島

寺社部長 小島神社

写真提供/壱岐観光協会(※干潮時の写真のみ)

 

 

神社の入り口は岸から見て裏側にあり、

そこには、小さな穴のあいた石があります。

その穴に口を当てて吹くと宇宙を思わせる澄んだ音が出ます。

つまりこれは自然が作り上げた岩笛なのですが、

その場で吹くことはできても、記念に持ち帰ることはできません。

この島は神社だけでなくすべてが神域なので、

どんなものも、絶対に持ち帰ってはいけないのです。

 

島に渡ってお参りしたい方は、

くれぐれも、事前に潮位をチェックしてからお出かけください。

渡る時は干潮でも、すぐに満ちてきて、

うっかりすると島に取り残される危険もありますので。

 

寺社部長 祠

 

岸辺に前宮と思われる小さな祠もあります。

満潮時にしか行けない方は、こちらでお参りを。

 

http://www.ikikankou.com/wp/?p=774

(気象庁の潮汐表へのリンクもあります)

 

 

海の中に立つ

六体のお地蔵さん

 

壱岐は漁業が盛んな島なので、

海で働く人々の安全や大漁を願うための神仏もたくさんあります。

その代表例が、この、海中に祀られたお地蔵さん。

これも、干潮時には陸から歩いてお参りできますが、

満潮になると、胸のあたりまで海に浸かってしまいます。

 

寺社部長 お地蔵さん1

寺社部長 お地蔵さん2

 

六体あるのは、人間が死後、六つの世界を輪廻すると考えられているからです。

それぞれのお地蔵さんをよく見てみると、

おなかの上に丸い穴が開けられています。

そのためこのお地蔵さんは、「はらほげ地蔵」と呼ばれます。

「ほげる」とは、地元の言葉で「えぐる、穴をあける」という意味です。

 

寺社部長 お地蔵さん穴

 

なぜここに穴があるのか。

ここにお賽銭を入れ、満潮時に流れてしまわないように。

船からお供えができるようになど、いろいろな説がありますが、

本当のところどうなのかは、まだ解明されていないようです。

 

実は、これとよく似た海中の石仏が、三重県の伊勢志摩にあります。

「潮仏」と呼ばれており、近くで暮らす海女さんたちに信仰されてきました。

その場所とこちらの共通点は、その海女さんです。

 

http://www.ikikankou.com/wp/?p=785

 

 

後半では、壱岐の美人海女さんが登場。レオタードを着てもぐる理由は?

 

 

 

壱岐の海女さんは、伊勢志摩から来た

 

壱岐のはらほげ地蔵さんは、

ウニ、アワビ、サザエなどの海女漁で有名な八幡浦にあります。

現在ここには、観光用のイベントではなく、

お仕事として海に潜る海女さんがたくさんいらっしゃいますが、

もともとこの海女漁は、伊勢志摩から伝わったということです。

そのため、伊勢志摩と同じ海中のお地蔵さんがあるのでは、と推測されます。

 

寺社部長 海女さん

 

この八幡浦に、2013年、

20年ぶりに、新人海女さんがやってきました。

地域おこし協力隊員として壱岐に渡り、

海女さんの後継者になった大川(旧姓合口)香菜さんです。

岩手県の出身で、ご実家は民宿、お父様は漁師さん。

香菜さん自身は東京でデパートにお勤めだったのですが、

東日本大震災でご家族が被災し、長崎市でしばらく暮らしました。

その時に見た海の美しさに感動し、海に潜る仕事がしたいと一念発起。

壱岐で海女さんを募集していると知って応募し、みごと採用されました。

最初のうちは、先輩海女さんたちも

「こんなモデルさんみたいな美人が、続くのかしら」と、心配したそうですが、

生涯の伴侶も見つけて結婚し、すっかり地元に馴染みました。

 

香菜さんは、エアロビクス用のレオタードを着て海に潜ります。

でも、これは決しておしゃれのためじゃない。

壱岐の八幡浦地区では、ウェットスーツで海産物を捕ることが禁止されています。

ウェットスーツを着ていれば体が冷えにくいため、いつまでも潜ることができて、

乱獲につながるから。限りある資源を守るため、捕り過ぎは禁物です。

 

しかし、何かを着て皮膚を保護する必要があるので、

先輩海女さんが、レオタードで潜ることを思いついたのだとか。

 

寺社部長 海女さん海

 

絶品のウニ丼をいただきましょう

 

八幡浦地区の海女漁の漁期は5月~9月。

この時期に行けば、香菜さんをはじめとする海女さんたちが捕ってきた

美味しいウニをいただけます。

 

「獲物のうち希少なのは、やはりアワビですが、

ウニは、ひとつひとつ、身を掻き出すのも海女さんの仕事なので、

その分、お値段も少し張ることになります」と、香菜さん。

 

はらほげ地蔵さんの近くにある

「はらほげ食堂」では、一年を通じてウニ料理をいただくことができます。

 

寺社部長 食事

 

今回試したのは、

生ウニぶっかけ丼(2700円)

ごはんの上にぎっしりと生ウニ。

そこに、ウニエキスたっぷりのおつゆをかけていただきます。

ああ美味しかった。ごちそうさまでした。

 

はらほげ食堂

http://harahoge.com/index.html

 

 

●壱岐の観光に関する詳しい情報はこちらをごらんください。

http://www.ikikankou.com/

 

 

 

 

 

吉田さらさ 

公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

 

個人Facebook

https://www.facebook.com/yoshidasarasa 

 

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