こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
寺社を中心に、全国各地の旅情報をお届けしています。
今回は、前編に引き続き、神秘の島壱岐のご案内です。
モンサンミッシェルを思わせる
小島神社
地元を知りつくしたバスガイドさんが、
「ぜひこの神社を壱岐で一番の観光地にしたい」と大プッシュ。
この神社がある内海湾は、弥生時代に、一支国(壱岐)と大陸を行き交う船が停泊し、
小舟に乗り換えて人や物資を運んだところです。
満潮時には鳥居と沖の小島に見えますが、
干潮時には海が割れて参道ができ、岸から渡れます。
写真提供/壱岐観光協会(※干潮時の写真のみ)
神社の入り口は岸から見て裏側にあり、
そこには、小さな穴のあいた石があります。
その穴に口を当てて吹くと宇宙を思わせる澄んだ音が出ます。
つまりこれは自然が作り上げた岩笛なのですが、
その場で吹くことはできても、記念に持ち帰ることはできません。
この島は神社だけでなくすべてが神域なので、
どんなものも、絶対に持ち帰ってはいけないのです。
島に渡ってお参りしたい方は、
くれぐれも、事前に潮位をチェックしてからお出かけください。
渡る時は干潮でも、すぐに満ちてきて、
うっかりすると島に取り残される危険もありますので。
岸辺に前宮と思われる小さな祠もあります。
満潮時にしか行けない方は、こちらでお参りを。
http://www.ikikankou.com/wp/?p=774
(気象庁の潮汐表へのリンクもあります)
海の中に立つ
六体のお地蔵さん
壱岐は漁業が盛んな島なので、
海で働く人々の安全や大漁を願うための神仏もたくさんあります。
その代表例が、この、海中に祀られたお地蔵さん。
これも、干潮時には陸から歩いてお参りできますが、
満潮になると、胸のあたりまで海に浸かってしまいます。
六体あるのは、人間が死後、六つの世界を輪廻すると考えられているからです。
それぞれのお地蔵さんをよく見てみると、
おなかの上に丸い穴が開けられています。
そのためこのお地蔵さんは、「はらほげ地蔵」と呼ばれます。
「ほげる」とは、地元の言葉で「えぐる、穴をあける」という意味です。
なぜここに穴があるのか。
ここにお賽銭を入れ、満潮時に流れてしまわないように。
船からお供えができるようになど、いろいろな説がありますが、
本当のところどうなのかは、まだ解明されていないようです。
実は、これとよく似た海中の石仏が、三重県の伊勢志摩にあります。
「潮仏」と呼ばれており、近くで暮らす海女さんたちに信仰されてきました。
その場所とこちらの共通点は、その海女さんです。
http://www.ikikankou.com/wp/?p=785
後半では、壱岐の美人海女さんが登場。レオタードを着てもぐる理由は?
壱岐の海女さんは、伊勢志摩から来た
壱岐のはらほげ地蔵さんは、
ウニ、アワビ、サザエなどの海女漁で有名な八幡浦にあります。
現在ここには、観光用のイベントではなく、
お仕事として海に潜る海女さんがたくさんいらっしゃいますが、
もともとこの海女漁は、伊勢志摩から伝わったということです。
そのため、伊勢志摩と同じ海中のお地蔵さんがあるのでは、と推測されます。
この八幡浦に、2013年、
20年ぶりに、新人海女さんがやってきました。
地域おこし協力隊員として壱岐に渡り、
海女さんの後継者になった大川(旧姓合口)香菜さんです。
岩手県の出身で、ご実家は民宿、お父様は漁師さん。
香菜さん自身は東京でデパートにお勤めだったのですが、
東日本大震災でご家族が被災し、長崎市でしばらく暮らしました。
その時に見た海の美しさに感動し、海に潜る仕事がしたいと一念発起。
壱岐で海女さんを募集していると知って応募し、みごと採用されました。
最初のうちは、先輩海女さんたちも
「こんなモデルさんみたいな美人が、続くのかしら」と、心配したそうですが、
生涯の伴侶も見つけて結婚し、すっかり地元に馴染みました。
香菜さんは、エアロビクス用のレオタードを着て海に潜ります。
でも、これは決しておしゃれのためじゃない。
壱岐の八幡浦地区では、ウェットスーツで海産物を捕ることが禁止されています。
ウェットスーツを着ていれば体が冷えにくいため、いつまでも潜ることができて、
乱獲につながるから。限りある資源を守るため、捕り過ぎは禁物です。
しかし、何かを着て皮膚を保護する必要があるので、
先輩海女さんが、レオタードで潜ることを思いついたのだとか。
絶品のウニ丼をいただきましょう
八幡浦地区の海女漁の漁期は5月~9月。
この時期に行けば、香菜さんをはじめとする海女さんたちが捕ってきた
美味しいウニをいただけます。
「獲物のうち希少なのは、やはりアワビですが、
ウニは、ひとつひとつ、身を掻き出すのも海女さんの仕事なので、
その分、お値段も少し張ることになります」と、香菜さん。
はらほげ地蔵さんの近くにある
「はらほげ食堂」では、一年を通じてウニ料理をいただくことができます。
今回試したのは、
生ウニぶっかけ丼(2700円)
ごはんの上にぎっしりと生ウニ。
そこに、ウニエキスたっぷりのおつゆをかけていただきます。
ああ美味しかった。ごちそうさまでした。
はらほげ食堂
http://harahoge.com/index.html
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吉田さらさ
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