秋の上野で兵馬俑さんたちに出会う
こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
いつもは寺や神社を巡る旅の情報をお伝えしておりますが、
今回はちょっと趣向を変えて、
東京国立博物館で開催中の特別展「始皇帝と兵馬俑」をご案内いたします。
まずは、世界史の復習から。「そもそも、その始皇帝って誰?」
本名は嬴政(えいせい。紀元前259年~前210年)
13歳で「秦」という国の王となってから他国を次々に滅ぼし、
紀元前221年に中国全土を統一して、中国ではじめて「皇帝」と名乗った人物です。
そのため、現在も「始皇帝」と呼ばれるのです。
秦の最盛期は紀元前213年ごろ。当時の世界はこんなふうになっていました。
ヨーロッパでは共和制ローマ帝国、エジプトはプトレマイオス朝、
日本は弥生時代です。
始皇帝は文字の統一、郡県制の実施など様々な改革を行い、
統一国家としての制度を整えました。
また、北方騎馬民族への備えとして、万里の長城を建設しました。
都は咸陽(かんよう)に置かれ、政治を執り行うための宮殿など、
壮麗な建物が数々建てられました。
これは、宮殿の遺物のひとつ、「瓦当(がとう)」です。
鹿などの動物の姿をあしらったおしゃれなデザインで、
わたしが今回の展覧会で気に入ったもののひとつです。
さて、いよいよ兵馬俑のお話です。
中国初の皇帝となった始皇帝は、
死後の世界でも永遠に支配者であり続けるため、
生前から、自らの陵墓を作り始めました。
始皇帝陵と呼ばれる巨大な墳丘の下には、
およそ8000体の兵馬俑に守られた宮殿がありました。
兵馬俑とは、兵士や馬などをほぼ等身大でかたどった陶器の像のことです。
この時代に、このように精巧で表情豊かな像を
焼き物で作ることができた技術に驚かされます。
始皇帝の陵とそれを守る兵馬俑の話はいくつかの中国の古い本に書かれていましたが、
実際に、それが存在することがわかったのは1974年のこと、
住民が井戸を掘ろうとして土を掘っていた際に偶然発見されたのです。
もしもこの時発見されなければ、
兵馬俑は今も土中に眠ったままだったのかも知れません。
こちらは、始皇帝陵の西側の地下坑から発見された
二台の青銅製の馬車のひとつです。
これは兵馬俑とは違い、戦闘用ではなく、
何らかの儀礼に使われたものを摸したものだと言われます。
今回展示されているのは、レプリカですが、
たいへん精巧で、本物そっくりにできているそうです。
レプリカでも貴重品で、外国の博物館に展示される例はそう多くないとのこと。
こちらもわたしが気に入った展示品のひとつ。
兵馬俑以前の秦では、すでにこのような姿の人形を
権力者の墳墓に副葬する風習がありました。
兵馬俑ほど大きく精巧なものではないけれど、
素朴で愛嬌があってかわいいと思いませんか?
日本の古墳の副葬品である埴輪にそっくり。
展覧会のお楽しみのひとつとして定着したオリジナルグッズ。
今回も、てぬぐい、一筆せん、クリアファイルなど、
定番がそろっています。
兵馬俑の姿を摸したチョコレートもあります。
こちらは神戸の人気チョコレートメーカー、マキィズの製品なので、
お味もばっちりですね。
●今回の特別展は、三つの国立博物館を巡回します。
東京国立博物館
2015年10月27日~2016年2月21日
九州国立博物館
2016年3月15日~6月12日
国立国際美術館(大阪)
2016年7月5日~10月2日
吉田さらさ
公式サイト http://home.c01.itscom.net/sarasa/
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