人形浄瑠璃文楽の大夫・人間国宝・豊竹嶋大夫さんの引退公演を拝見しました。
ずっと気になっていながらも鑑賞に至らず、私が初めて文楽を拝見したのは、およそ5年前。
大夫さんの語りと三味線の響き、そして3人の人形遣いに息を吹き込まれた人形たち。舞台で繰り広げられる文楽の世界にすっかり魅了されました。以来、東京公演(於 国立劇場)は、ほぼすべて拝見しています。
今回の2月東京公演。第2部の「関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)」が嶋大夫さんの引退公演でした。
連日、満席です。
嶋大夫さん(大夫)・吉田蓑助さん(人形遣い)・鶴澤寛治さん(三味線)人間国宝3人の豪華顔合わせ。
鶴澤寛太郎さんの曲弾き(三味線の特殊技巧の独演)。
関取人形が見せてくれた、話題の<琴バウアー>等々。
たくさんの見どころがあり、見応えたっぷりの演目でした。
客席からは、「嶋大夫!」「八代目!」の掛け声と大きな拍手。
精魂こもった嶋大夫さんの語りを劇場で体感できたことは、本当に幸せなことでした。
(私の自慢が、またひとつ増えました)
嶋大夫さんが
「芸でもっとも大事なことは、どう生きてきたかということではないでしょうか」
と、仰っていました。
嶋大夫さんの語りには、嶋大夫さんの生き様が感じられ、心揺さぶられました。
歴史ある人形浄瑠璃ですが、実は、今日に至るまでには幾度か存続の危機がありました。
ですが、その度にどこからともなく「何とか存続させよう」という力が作用してきました。
音楽も絵画も芸能も建物も、長い時を経て現存するものには不思議な力が宿っていて、強い生命力を感じます。
伝統あるものに私が惹かれる最大の理由かもしれません。
鑑賞後、
「これからも伝統芸能を応援していかなくては!」
と、改めて思っている私でございます。
この記事をご覧になって、女史の皆様の中でも文楽に興味を持ってくださる方、そして劇場に足を運んでくださる方が増えますと、とても嬉しく思います。
とは申しましても、
「いきなりは、ちょっとハードル高い」と思った女史の皆様!
「鑑賞教室」があります。
鑑賞教室は、演目や文楽全体の解説付き。演目も短めでわかりやすいものが上演されます。
文楽は上方の芸能ですので、解説も上方風。笑いの要素を随所に盛り込んだお話はとても面白く、楽しいお時間を過ごすことができると思います。
歌舞伎より時間も短く、鑑賞のお代もお手頃。
文楽の入り口として、とてもおすすめです。
ただし、劇場の席数が少ないため、お席は早めの確保が必要かもしれません。
尚、次回の鑑賞教室は、5月です。
さて、この日も少し足を伸ばして、【平河天満宮】にお参りしました。
ビジネス街の中に佇む天満宮様は、皇居にいちばん近い天神様としても有名です。
天満宮は、道真公の大好きな梅を楽しめる場所でもあります。
平河天満宮にも数種類の梅があり、お参りに訪れる方を楽しませてくれます。
本殿のすぐ近くの梅はペアで実がなるため、「縁結びの梅」と呼ばれ親しまれています。
暖かくなり始めた陽ざしの中の梅は愛らしいだけでなく、凛とした美しさがあります。甘い香りに、ほっこり気分。都心のビジネス街にいることを忘れてしまいそうでした。
明るい陽ざしの中、梅、桃、桜…と、順次お花の見頃を迎え、これからの季節は華やかさを増していき、心弾みます。
女史の皆様も素敵な春をお迎えになられます様に。
文楽協会
http://www.bunraku.or.jp/
国立劇場
文楽鑑賞教室
http://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu.html
*平成28年5月11日(水)〜23日(月)
解説「文楽の魅力」
「曽根崎心中」