「地下30mに広がる神秘の巨大空間」、栃木県宇都宮市大谷にある地下採掘場跡に行ってきました。
大谷石って、御存じですか?
邸宅の門や塀、おしゃれなショップの内装材などに使われている淡青緑色の石と言えば「あー、あの石」とわかっていただけると思います。
柔らかくて加工がしやすく耐火性にも優れていることから、古くから建材として使われてきました。
大谷の地質や大谷石利用の歴史、採掘方法の変遷などを展示する「大谷資料館」では、採掘場跡の公開もしています。
資料館(入館料700円)に入って、右手が地下坑内入り口。
坑内気温は夏でも13℃、見学者用毛布が用意されています。
階段を下りると、そこはいきなり別世界!
鍾乳洞のように天井から水滴が垂れてきて、足元は湿っています。
高い天井も床も壁もすべて石、照明に照らされたところだけが浮きあがり、
不思議な世界が広がっています。
壁面には模様のように石が切り出された跡が残っています。
1919年から1986年にかけて、この地下坑内から約1000万本の石が切り出されて全国に出荷され、その結果間口150m×奥行140m、深さ30mの野球場が入る広さの巨大空間が出来上がった、と説明がありました。
採掘場を再現した展示を見ながら階段を下りた先には、ガランとした広い空間。
壁面がライトアップされ神秘的、まさに地下神殿です!
暗い中で光が作品を幻想的に盛り上げます。
この広い空間は、展覧会や演奏会、映像の撮影などに多く活用されています。
労働者の魂が宿る石の無機質な空間には精神性みたいなものが感じられ、
採掘場跡利用が芸術の「創造の空間」へと向かったのは自然な流れのように思えました。
壁には、利用されたシーンの写真がずらりと並んでいます。
映画「セーラー服と機関銃」の代表的シーンもここで撮影されたことを知りました。
戦隊ものやミュージックビデオの撮影にはうってつけの場所です。
訪れた日も撮影準備中、誰が登場してどんなシーンになるのかは教えてもらえませんでしたが…。もしかしたら、どこかで見かけるかもしれません。
採掘場見学は30分程度、体が冷えたころでちょうどよい時間です。
資料館の展示で大谷石について学んだ後は、併設されているショップROCKSIDE MARKET をぶらぶら。
栃木県で活動している作家のここでしか買えないグッズがセンス良く並べられています。
手のひらサイズの三角形をした大谷石の鉢が目に留まり、記念に購入。
地元産の食材にこだわったカフェもあり、見学後に休憩するにはぴったりです。
せっかくなので大谷資料館周辺も散策。(次へ)
観音様も自然の石に彫られています。
弘法大師が岩壁に刻んだという日本最古の石仏「大谷観音」に、大谷公園の岩壁に彫られた高さ26mの「平和観音」。
公園はどこも大谷石だらけ、椅子もテーブルも足元まで大谷石が敷き詰められていました! さすが石の町「大谷」です。
家に戻って、鉢に多肉植物の寄せ植えをしたらいい感じにできました!
谷石誕生の有力説は、今から2000万年前(新生代第三紀中新世ごろ)…って、途方もなくはるかかなた。小さいけどそんな石が家にあると思うだけで、なんだかパワーがもらえる気がします(笑)。
大谷資料館
大谷公園