こんにちは。
寺社部長の吉田さらさです。
全国の寺社を巡り、旅に役立つ情報をお届けしています。
今回は、滋賀県の紅葉の名所、「湖南三山」についてお話しします。琵琶湖の南側の湖南市に点在する善水寺、常楽寺、長寿寺という三つの名刹を巡るコースで、じっくりと紅葉を楽しむのに最適です。
どの寺も歴史が古く、奈良時代までさかのぼります。
そのため、文化財が多く、それぞれに、美しい国宝の建造物があります。
その中に祀られる仏像も素晴らしいです。
お寺好き、仏像好きの方は、ぜひ、出かけてみてください。
例年の紅葉シーズンには、「国宝湖南三山めぐり」が開催されます。
今年2016年は、11月13日(日)〜2016年11月30日(水)。
境内を彩る紅葉を楽しめるほか、地元の物産品販売や各種イベントも開催されます。
ただし、交通にはご注意!
この三つの寺を順に巡るバスなどはなく、電車とコミュニティバスを使って移動する必要があります。
善水寺はJR草津線の甲西駅からバスに乗り12分。バス停「岩根」下車、徒歩10分。常楽寺、長寿寺は同じく草津線の石部駅からバス10分、どちらもバス停から徒歩1分。この二つの寺は比較的近いので移動は徒歩でもできます。レンタカーやタクシーを使えば簡単に移動できますが、地元の方と一緒にバスに揺られるのんびり旅も楽しいですよ。
では、湖南三山の三つのお寺をもう少し詳しくご説明しましょう。
まずは、善水寺から。
こちらのお寺は、和銅年間(710年ごろ)、元明天皇(天智天皇の娘)の勅願によって建てられました。800年ごろ、比叡山延暦寺を開いた最澄上人がやってきて、こちらの寺の霊水を使って桓武天皇の病気平癒の祈願をしました。それによって「善水寺」という名前をいただき、病気平癒に霊験あらたかな寺となったということです。
本堂は国宝です。
南北朝時代、貞治五年(1366)再建されたもので、木造入母屋造桧皮葺((ひわだぶき)。美しい屋根のカーブに見とれます。その本堂の中には30体以上もの仏像が祀られています。奈良や京都以外の地方で、これだけ見事な仏像が並ぶ寺はめったになく、この寺が、延暦寺と深い関係にあったことがうかがえます。
本尊の薬師如来坐像(重要文化財、平安時代)は秘仏で、開帳は不定期です。この像は、次にいつ拝めるかはわかりませんが、お堂の中には、そのほかにも、梵天立像・帝釈天立像、四天王像など、平安時代に造られた仏像がずらり。一体一体拝んでいると時を忘れてしまいそうです。
次のページでは、常楽寺と長寿寺について紹介します。
続いて常楽寺。
奈良時代初期、元明天皇の勅願により、東大寺の開山で名高い僧、良弁によって建てられたと伝わります。
こちらは、本堂(南北朝時代)と、三重塔(室町時代)が国宝です。
本堂の中には、やはり、素晴らしい仏像がぎっしり。ご本尊の千手観音は秘仏ですが、その眷属である二十八部衆がそろって圧巻。ただし、28体のうち1体が盗難で欠けているのが少し残念です。
こちらのお寺は、普段は、事前に予約しなければ拝観できませんが、「湖南三山めぐり」の期間中だけは、予約なしでも大丈夫です。
常楽寺
http://www.eonet.ne.jp/~jo-rakuji/
最後は長寿寺。
こちらのお寺も、聖武天皇の勅願によって良弁が創建したと伝えられています。他の二つの寺同様、本堂が国宝。屋根のなだらかな曲線が世にも美しいです。
また、山門からこの本堂へと続く参道も、紅葉に彩られて見事です。
本堂の中にも優れた仏像が数々ありますが、こちらでは、近年新しく建てられた収蔵庫内の阿弥陀如来坐像も見逃してはなりません。ずいぶん大きな像ですが、このくらいのサイズの仏像を「丈六」と呼びます。丈六とは「一尺六寸」、およそ4・85mのこと。坐像はその半分ですが、厳密には、この像は、それより多少大きいようです。悟りを開いて如来となられたお釈迦様の身長が一尺六寸だったということに由来するため「丈六」は、お釈迦様と等身大ということです。一般的に、この丈六よりも大きい仏像を、「大仏」と呼びます。
長寿寺
http://www.burari-konan.jp/konan3zan/tyoujyuji.html
湖南三山めぐり全体の情報はこちらです。
バスの時刻表などもありますので、お出かけ前にチェック!
http://www.burari-konan.jp/konan3zan/
その他、湖南市の観光情報はこちらです。
http://www.burari-konan.jp/
※紅葉シーズンの湖南三山の写真は、湖南市観光協会からお借りしました。