沖縄聖地旅その1
神に選ばれし者だけが行けるワルミ聖地
こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
日本全国の寺社を巡り、旅に役立つ情報をお送りしています。
今月は沖縄編。と言っても、お寺や神社ではなく、
古代から人々が拝んできた聖地をご案内します。
もちろん沖縄にもお寺や神社はあります。
しかしそれらは、本土のものと比べれば、歴史が新しく、数も少ないです。
沖縄の人々は、神社や寺ができる以前から、
集落ごとにあった御嶽(うたき)と呼ばれる場所を、
神が降りてくるところと見なし、拝んできました。
そこには何かの像や建物があるわけではなく、
石などの自然物が、神と同等のものとして大切にされています。
沖縄には、そんな御嶽が無数に存在し、今も人々に拝まれています。
今回わたしは、沖縄本島の本部エリアにある備瀬という集落を訪れました。
有名な「美ら海水族館」のお隣に、エメラルドビーチと呼ばれる美しい砂浜が広がっています。備瀬の集落は、その先から海に突き出した細い岬にあります。
エメラルドビーチを過ぎると、すぐに備瀬の入り口があり、
レンタサイクルが用意されています。
備瀬集落内は道が細く、車ではなかなか動きにくいところもあるし、
岬の突端までは徒歩だと1時間くらいかかりますので、
自転車で動くのがベストです。
おすすめコースを記したマップもくれます。
これがないと、備瀬のもっとも素晴らしい場所にはたどり着けませんので、必ずもらってくださいね。
まずは、備瀬集落の真ん中をつっきるフクギ並木の道を走ります。
フクギは、古くから沖縄で防風林として使われてきた樹木です。
台風が多い沖縄では、家々のまわりにこうした樹木を植えることが多いのです。
この集落の約250戸の家も、ほとんどがフクギの屋敷林に囲まれています。
フクギの木の数は数千本にも上り、そのうち一番古いものは樹齢300年ほどと言われているそうです。ここでは、昔も今も変わらない、自然と一体となった暮らしが続いているようです。民家の中には、食べ物屋さんや民宿を営んでいるところもあります。
そして沖縄の家の門にあるものと言えば…。次のページに続きます。
どの家の門にも、沖縄の守り神として有名なシーサーがあります。
シーサーは、もともと獅子、つまり、狛犬とルーツを同じくするものです。
本土では、一般住宅に狛犬を置く習慣はほとんどありませんが、
沖縄では、家ごとに工夫を凝らした楽しいシーサーが祀られていて、
見て歩くのも楽しいです。
石敢富(いしがんどう、せっかんとう)と呼ばれる魔除けの石も見られます。
これは中国発祥の風習で、主にT字路や三叉路に置かれます。
沖縄では、魔物には直進する性質があり、三叉路などにぶつかると、
そこにある家に入ってきてしまうとされるため、
この石敢富をそこに置いて家を守っているのです。
石敢富にぶつかると、魔物は砕け散ってしまうのだとか。
小腹がすいたときにお勧めしたいのは、沖縄そばです。
備瀬の集落内にも、そばを食べられる店が何軒かあるようです。
わたしは今回、「げんとく家」という店を見つけて入ってみました。
古民家をそのまま利用した風情ある店内でいただく沖縄そばは、
那覇の町中の店で食べるそばとは、また違った味わいです。
「激辛注意」と書かれた唐辛子オイルをちょっとだけ垂らしていただきます。
おなかがすいている方には、じゅーしー(沖縄風炊き込みごはん)とのセットもお勧めです。食べきれなかったらおにぎりにして持たせてくれますよ。
備瀬のフクギ並木の情報はこちらです。
http://www.okinawastory.jp/spot/1348
食後はまた自転車を走らせます。
まずは、岬の突端まで行ってみましょう。
少し離れたところに小島があり、潮が引いた時間なら、珊瑚礁も観察できます。
シュノーケリングをする人にも、絶好のポイントです。
ここでは、時を忘れて南の島気分を満喫したいですね。
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引き続き、備瀬の最大の聖地、ワルミというところを目指します。
集落の真ん中を突っ切るフクギ並木を半分ほど戻ったところを内陸側に曲がり、畑の中の道を行く。
うーん、たしかに地図をもらっていなければ迷ってしまいそう。
いえ、実は、地図があっても、わたしは迷ってしまったのです。
ネットでいろいろ調べてみると、
「選ばれた者しかたどり着けないところ」と書かれていることもあります。
後ろからやってきたタクシーの運転手さんに
「ワルミはこっちでいいのだろうか」と、沖縄言葉で聞かれてびっくり。
しょっちゅうこのあたりを走っているタクシーの運転手さんすら迷うのですね。
しかし、どうにかこうにか、ワルミの入り口を見つけることができました。
海に降りるラフな石段を少し下ると、わあ、見えました。これは確かにものすごい場所だ!
ワルミとは、沖縄の言葉で「割れ目」という意味。
地元の人は地元の人は「ワリーバンタ」とも呼び、バンタとは「崖」という意味だとか。
ここは神が降り立った場所とされます。
切り立った崖の割れ目から見える海が、確かに神々しいですね。
わたしは神社仏閣を巡る仕事をしておりますが、
実はあまり信心深くはなく、霊的なものの存在も信じないタイプです。
でも、この場所には、そんなわたしをも拝みたい気持ちにさせる、
神聖な空気が流れていました。
「神に選ばれし者しかたどり着けない聖地ワルミ」
それが本当かどうかはわたしにはわかりません。
私のような者を神が選んでくださるとも、とうてい思えませんが、
ともかく、ここに来られたことに感謝したいと思いました。
人生、いくつになっても、悩み事は絶えません。
嫌な思いで、心が真っ黒になることも、しばしばあります。
でも、何かあったときには、この場所のこの風景を思い出して心を洗ってみたいと思います。
皆さまも、沖縄に行く機会があれば、ぜひワルミ聖地探しにトライしてみてください。
吉田さらさ
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