温泉が恋しくなる季節になりましたね。
毎年1回は一緒に海外に行く友人と、イギリスのロンドンとバースを訪ねました。
源泉があることから、ローマ帝国支配時代に、ローマ式の浴場が建てられて温泉の街として発展したそうです。ローマ帝国の衰退とともに活気を失っていったようですが、18世紀にはロンドンの王室・貴族・富裕層の保養地として大規模な再開発が行われ、今に至ります。
ジョージ王朝時代の建造物が多く残っていてユネスコ世界遺産にも登録されている美しい街です。
今回の目的は、ローマ浴場を現代的な建築で再現したスパ施設が魅力の「ザ・ゲィンズボロー・バーススパ(The Gainsborough Bath Spa)」に宿泊してスパとグルメざんまい。
19世紀に建設された病院を修復・増築して2015年7月にオープン。「コンデナスト・トラベラー」でザ・ベスト・ニュー・ホテルズ・イン・ザ・ワールドに選ばれ、ヨーロッパ各地からもセレブがやってくるホテルと知り、その施設とサービスに期待して訪れました。
ガラスの天井からさんさんと太陽光が降り注ぐホットスパ。地元のヘットリング源泉からお湯を引いている天然温泉の広いサーマルプールの端にはマーブル造りのベンチがあり、ボタンを押すと肩の打たせ湯、気泡で脚をマッサージする仕掛けもあります。
円柱に囲まれたサーマルプールにつかり、4階分の高さがあるガラス天井越しに青空を眺めていると、旅の疲れや外の寒さ(滞在時は日中0~2℃くらい)が吹き飛びます。
平日の午前中だったので、ほとんど貸し切り状態。水着着用で、サーマルスパから、温度の異なるプール、サウナ、スチームルームと小1時間かけてゆっくり巡り、身体をほぐしていきました。
ホットスパのあとは、トリートメント。
受付で嬉しいサービスがありました。
アンケートに答え、体調にあわせて数種類のエッセンシャルオイルを組み合わせたアロマソルトを作っていただけるのです。さすがアロマセラピーの国ですね。私はイランイラン、ベルガモットなどでした。1週間ほどアロマが持続するので、持ち歩いたり枕元においたりすると体調が落ち着くそうです。
トリートメントは「ジンジャー・リニューアル」。オーガニックのジンジャーオイルで背中、首、肩のマッサージ、ホットストーンを使い身体を温めてから、足と頭部のツボ押しで、全身をくまなくほぐします。ホットスパで身体が温まり緊張が少しとけている状態で90分のトリートメントをうけると、浸透したオイルの流れもいいようです。悩まされていた頭痛もなくなり、鏡を見ると、目力がつき表情豊かになった自分を発見。施術者の技術もなかなかのものでした。
一昔前までイギリスはグルメの国という印象はありませんでしたが、今はゴードン・ラムゼイ、ジェイミー・オリヴァーなど世界的に有名なシェフのレストランも多く、美食が語られるようになっています。こちらのホテルのシェフ ダン・ムーン氏は地元西南地方の出身で、地元の旬の食材を使った伝統料理を、モダンな調理法と盛り付けで提供することをコンセプトにしています。ディナーにいただいたのは、6皿のティスティングコース。想像を超える盛り付けと味わいで、配膳されるたびに小さな驚きが続きます。
マンダリンのシャーベット、ローストアーモンド、チコリで、酸味・香ばしさ・苦味を加えたチキンレバーのパフェ、ウズラの玉子、焦がしパルメザンチーズ、カリフラワーで食感の強弱をつけたワイルドマッシュルームのリゾット、キヌア、山羊チーズ、桃のピクルスの酸味で味わいを鮮やかにした鹿のサーロイン。
スモーク鱈のチャウダーが敷かれ、柚子キャヴィア、エシャロットピクルスが添えられた帆立のソテー、プラムのソース、胡麻風味の鴨のロースト、チョコレートガナッシュ、ヘーゼルナッツピュレ、塩キャラメルアイスクリームとスウィーツのトレンドを盛り込んだチョコレートドーム。
お料理にあわせて用意されたグラスワインも種類が多く、好みを言って選んでもらえます。チョコレートのデザートには支配人おすすめのポートワインをいただきました。
ジョージアン王朝の建築スタイルとワインセラーがコンセプトのダイニングルームは、夜はキャンドルライト、朝は自然光の中で、食事を楽しめます。滞在中に出会った宿泊客はほとんどが40代以上、永年連れ添ったのであろう白髪の老夫婦が優雅に寛いでいたのが、印象的。
大人がゆっくりと休暇を楽しめる五つ星ホテルの「ザ・ゲィンズボロー・バーススパ」。スタッフは30~40代中心と比較的若いのですが、きめ細かくあたたかい心遣いで快適な日々を過ごせました。
11月末からクリスマスマーケットで賑わうバース。
駅前広場にも大きなクリスマスボールのイリュミネーションがあり、一足早いクリスマスを満喫しました。