ガーデニング好きの流れで以前からちょっと気になっていた盆栽。
さいたま市民対象の「大宮盆栽美術館見学としだれ桜の盆栽づくり」の催しを知り、これは絶好のチャンスと参加してみました。
そもそもなぜ、さいたま市に盆栽美術館?
関東大震災で大きな被害を受けた東京の盆栽業者が盆栽生育に適した土地を求めて移り住んだのが大宮市(現、さいたま市)。
最盛期の1935年頃には、30の盆栽園がありその地区は盆栽村と呼ばれていました。
その後、日本では生活様式の変化などにより盆栽人気は陰りをみせて盆栽園の数も減少しますが、海外ではBONSAIと呼ばれ愛好家が増加。盆栽の聖地といわれる盆栽村には外国人愛好家の姿が目立つようになります。
そうした中、2010年盆栽村の近くに「大宮盆栽美術館」が開館。
盆栽の名品を数多く所有し、季節に合わせた企画展を開催するほか、
盆栽づくりのワークショップを行うなど日本が誇る伝統文化の盆栽を
世界に向けて発信しています。
周囲の景観にしっくりなじむ落ち着いた建物の美術館。
ロビーに入って目を引くのは季節の一鉢。
訪れたときには「日本鎌柄(かまつか)」が展示されていました。
根、幹、枝、葉、実、すべてが自然に生えている木のミニチュアサイズ。
小さいけれどもスケール感があってパワーがみなぎっています。
盆栽を鑑賞するには、盆器の中に凝縮された大自然の情景をイメージすることが大切
と説明を受けましたが、それを感じるのにぴったりの一鉢でした。
次はいよいよワークショップ!
コレクションギャラリーの企画展は松や真柏の「松柏盆栽展」。
盆栽といえば松を思い浮かべると思いますが、名品といわれる盆栽は奥深かかった! どう育てたらこうなるの?
うねった幹やしっかりと張った根、年輪を重ねてひび割れた幹など職人さんの技術と重ねてきた歳月が感じられます。
「懸崖(崖にぶら下がるような樹形)」、歳月を経た松や真柏の枝や幹の一部が枯れて白骨化した「ジン・シャリ」…。
初めて聞く用語も多くて深く鑑賞するには知識が必要かもしれませんが、一本の木なのに圧倒的な存在感、生きた芸術といわれるのも納得です。
床の間のあるお座敷に掛け軸と盆栽が展示されているコーナーでは、日本人の持つ美意識みたいなものを再確認することができます。
さらに、屋外の盆栽庭園にも見事な盆栽が並び、正面だけでなく背面からも観賞できるような展示もあって見応えがあります。
盆栽鑑賞後は、ワークショップでしだれ桜のミニ盆栽づくりに挑戦。
しだれ桜の育て方やお手入れ方法を学び、植え付けの手順の説明を受けていよいよスタート。
鉢に苗を植えるだけのことなのですが、ペンチや竹箸、こて、ピンセットなど道具も多く、思い通りのバランスに苗を固定させるのがなかなか難しい。
根を押さえる針金をペンチで結ぶところで悪戦苦闘、スタッフの手助けなしでは無理でした(笑)。
苔をのせるとぐっと盆栽らしくなります。
初めて触れた盆栽の世界、奥深さや敷居の高さはありますが
小さな盆栽を一鉢置くだけで大自然が暮らしに取り入れられるなんて、
それは素敵なことです。
毎日たっぷり水をあげて3カ月経ったしだれ桜。
前に傾斜させて植えたはずなのに…、枝のバランスが気になる、幹にもう少しくねりがあったらいいのに、固い蕾がついた!とか、鉢と木だけなのに結構楽しめます。
でもやっぱり、お花が楽しみ~。春よ、早くこい!!
大宮盆栽美術館