温泉ですっかりと癒されたイギリス・バースの街に別れをつげ、列車で1時間半、週末のロンドンに戻りました。クリスマス前のせいか街中が活気にあふれています。
ロンドンでは、「ホテル カフェ ロイヤル」に宿泊。
1865年のオープン以来、オスカー・ワイルド、サマセット・モーム、D.H.ローレンスなどの文豪、王族、セレブリティーの社交の場として栄えてきた「カフェロイヤル」が、2012年に宿泊施設を併設。「ホテル カフェ ロイヤル」としてリニューアルオープンし、いまや人気の5ツ星ホテルになりました。
ロンドンの目貫通りリージェント・ストリートに面した入り口では、伝統的なコスチュームをまとったドアマンが迎えてくれます。
中に入ると、いきなり19世紀にタイムスリップしたかのようなインテリアに目を奪われます。
そう、19世紀と21世紀、伝統と革新をミックスするのがこちらのデザインコンセプトなのだそうです。フロント、客室やスパなど“宿泊”に関するところは革新的に、それ以外の施設は19世紀の面影を残す伝統的に。
オスカー・ワイルドが毎日のように食事をしていた「オスカー・ワイルド バー」(当時は「グリル・ルーム」)も、ご覧の通り、19世紀のインテリアを見事に復元しています。
写真はアフタヌーンティーの様子ですが、現代の服装に違和感を覚えるくらい19世紀らしさが表現されています。
こちらのアフタヌーンティーは時間ごとの予約制。翌日の予約をと思ったら、残念ながらすでにどの時間帯も満席でした。かなり人気が高いようです。
次はスパ&ディナーです
チェックインを済ませて夕食までスパへ。
白い大理石をつかったとてもモダンな造りで、仕事帰りと思われるエクゼクティブたちが思い思いに寛いでいます。プールの脇にはヴィシーシャワーのあるハマムや、東西のセラピーを基にした施術をうけられるトリートメントルームもあります。19世紀からいきなり21世紀にひとっとびした(笑)感じです。
夕食は、ロビーラウンジでピアノの生演奏を聴きながらゆっくりと。イギリス人以外にヨーロッパの国々から観光に来たと思われる人々で賑わっています。
連日コースメニューが続いていたので、この日は1人2皿で。とはいえアミューズを兼ねた生ハムを添えたパンが美味しくて、シャンパーニュとともにパクパク。パルミジャーノのスライスがのった鹿肉のカルパッチョ、サフランライスといただく帆立のソテーと続くと丁度よいボリュームです。マスタードのピリッとした味わいのカルパッチョ、エキゾチックなサフラン風味の帆立とアーティチョークの異なる風味で舌も大満足。バース同様、ロンドンでも美食に巡り合えました。
オスカー・ワイルドの痕跡をたどろうと、食後は「グリーンバー」でアプサンを飲むことに。
19世紀の芸術家や文豪たちが愛飲したニガヨモギのリキュールで、オスカー・ワイルドもこちらで好んで飲んでいたようです。
「グリーン」の由来は、アプサンの色にちなんで名づけられたそうです。
アニス風味のリキュールは角砂糖を介して水で薄めて飲みます。
写真のようにグラスの上に角砂糖をおいたアプサン専用のスプーンを渡し、ウォータードリップから水をたらします。
小説で読んだり話にきいたりしていましたが、ウォータードリップの実物を見たのは初めて。日本のバーでアプサンを飲むときは、普通に水で割るだけです。嬉しさのあまり、帰国してから馴染みのバーで写真をみせて自慢してしまいました(笑)。
「ホテル カフェ ロイヤル」は革新と伝統がコンセプトですが、私には伝統を現代に甦らせた部分が特に印象に残りました。オスカーバーのアフタヌーンティー、グリーンバーでの一杯だけでも訪れる価値が十分あるのですが、ウエルカムシャンパーニュやスパがセットになったお得な宿泊プランもあるので、ロンドンに行く機会があれば是非一泊してみることをお勧めします。