羽田美智子
“自分磨き”のための大人の手習い Vol.8
スタイリスト 坂本久仁子さんに教わる
心と体が喜ぶ「自分スタイル」の見つけ方
年齢と経験をへて、自分のスタイルがきちんとあり、たたずまいや存在自体が素敵な人…憧れますよね? 自分が本当に好きで、上質で着心地のよい服を着ていると自然と背筋もシャンと伸び、自分に自信が持てるもの。周囲からも一目置かれ、心にもハリと喜びが生まれます。そんな"スタイルのある女性"の代表格、坂本久仁子さんに大人のおしゃれの極意を教えていただきました。
“好き” を知ることがスタイルの核を作ります
坂本 初めて美智子ちゃんにお会いしたのは23〜24年前。週刊誌の「原色美女図鑑」の撮影でした。(羽田美智子さんが出演した)映画『RAMPO』 が公開されて話題になった直後で、ミステリアスな役柄の印象から、オリエンタルなイメージが似合う大人の女性を想像していたのですが、当のご本人は透明感があって、誰にでも優しく、ふんわりしたかわいい人で、とても驚いたことを覚えています。
羽田 25〜26歳の頃でしたね。その日スタジオに入ると、集めてくださった衣装のコンセプトや撮影の方向性、私の表情やたたずまいのイメージまで、坂本さんが丁寧に説明してくださって、とっても感激したんですよ。
坂本 うれしいです。
羽田 仕事は完璧、それでいていつでも謙虚でいらっしゃる。ご自分は一歩引いて、クライアントや私のことをつねに第一に考えてくださるところ、ずっと尊敬していました。
坂本 美智子ちゃんが主役になって輝くことが一番ですからね。
羽田 集めてくださる服は毎回ため息が出るほどですが、何といってもご自身がいつも素敵なんです。ロケ先やプ ライベートでお会いしたときはもちろん、ギフト選びのセンスも抜群。おしゃれな人はすべてにおいて完璧なんだといつも感心させられます。以前、テレビドラマに出演したとき、おしゃれに定評があってファッションに一家言ある俳優さんから「羽田さんのスタイリストさん、カッコいいね!」って言われたことが。これも坂本さんの素敵オーラを物語るエピソードですね。
坂本 恐縮してしまいますね。
「どこのブランドのジャケット?」ではなく、
「あなたらしい服だね」と思われることが大事
羽田 坂本さんの着こなしは私の憧れ。シャツにデニムといった定番スタイルも、ボタンのあけ方や袖のまくり方、アクセサリーのつけ方が絶妙で、若い人とはひと味もふた味も違う。そのさじ加減をぜひ教えてください。
坂本 私はその人らしいスタイルのある人が魅力的だと思っています。流行はすぐに移り変わって古く感じてしまいますが、“その人らしさ”を見つけた人には特別な世界観が生まれるから。まずは服と自分自身をあらためて見つめ直してみましょう。
羽田 20代の頃は休みが取れるとニューヨークやパリに行き、服を買うのが楽しみでした。当時のものは高かったけれど質がよくて。なのに着てはすぐ手放す、ということを繰り返していました。でも好きなものって大きくは変わらない。あのときの服をもっと大事にしていれば、と少し後悔しています。
坂本 たくさんの服に触れて、感じてきたことはすごく大事。その中で少しずつ変化する「好き」と「心地よさ」のバランスを大切にして、“自分らしさ”を極めることで、“スタイル”は作られていきます。
羽田 私も今年50歳になります。髪も肌も以前と違ってくるので、似合うものが少しずつ変わってきていますね。
坂本 年を重ねたからこそ気負わずに着こなせたり、素敵に表現できることが、まだまだたくさんあります。苦手だった色を楽しく合わせることができるようになったり。日々、やわらかな心で服と向き合って、自分のスタイルを進化させていってください。
羽田 なるほど。ひとつのスタイルに固執しすぎず、柔軟でいることも大切ですね。流行に振り回されたくはないけれど、時代遅れにもなりたくない。 おしゃれをもっともっと楽しまなくては、ですね!
坂本久仁子さん Kuniko Sakamoto
桑沢デザイン研究所を卒業後、スタイリ ストとして独立。モードファッション誌、 女性誌、CMなど幅広い分野でキャリアを 重ねる。多くの女優やアーティストのス タイリングを担当。ファッションやジュ エリーについてのトークショーなども行 う。女子美術大学の非常勤講師も務める
[羽田さん]ワンピース¥59,000/スト ラスブルゴ(アリクアム) ブレスレット (PG×セラミック×ダイヤ)¥402,000・ リング(PG×ダイヤ)¥1,390,000/ダミ アーニ 銀座タワー(ダミアーニ) 靴¥ 82,000/ジミー チュウ [坂本さん]服・靴・小物/私物
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/木下 優(ロッセット) 〈羽田さん〉 ・薄葉英理(ロッセット) 〈坂本さん〉 スタイリスト/坂本久仁子 構成・原文/向井真樹