羽田美智子
“自分磨き”のための大人の手習い Vol.8
審美眼の高さ、洗練されたセンス、真似したい!
「坂本スタイル」を作る5つのセオリー
羽田美智子さんが厚い信頼を寄せるスタイリスト、坂本久仁子さん。学生時代から、第一線で活躍するクリエイターの仕事にかかわるなどして培った、そのセンスの神髄とは!?
坂本久仁子さん Kuniko Sakamoto
桑沢デザイン研究所を卒業後、スタイリストとして独立。モードファッション誌、女性誌、CMなど幅広い分野でキャリアを重ねる。多くの女優やアーティストのスタイリングを担当。ファッションやジュエリーについてのトークショーなども行う。女子美術大学の非常勤講師も務める
01 「自分スタイル」 を持つことが素敵への近道
着こなしに"その人らしさ"が出ると魅力が際立ちます、と坂本さん。「私はスタイリングするときはいつも、"立ち去ったあとにも残像が残る人"になることが理想だと昔から感じていました。服が一番に目立つのではなく、その人自身が素敵だった、という印象を作ること。私はシンプルなワントーンカラーのコーディネートであれば、シルクやカシミアの服を重ねるのが好きですが、それは、繊細な透け感や揺れ感のある素材の織りなす世界が、その人の美しさや魅力につながると思うから。自分で選んだ"好き"を積み重ねていくことが、ブレない自分スタイルを確立することにつながります」。右へ倣えのトレンドに振り回されない、内側からわき上がる気品とエレガンスがあるスタイリング、目標にしたい。
02 坂本さんのマイスタイルは「エレガンス&マニッシュ」
「辛口になりすぎず、でも甘すぎない、女らしさのバランスが絶妙!」と羽田さんが賞賛する坂本さんご自身のファッション。前ページでは、シルクカシミアのジャケット、側章入りのパンツ、足元はスニーカーという、こなれ感たっぷりの着こなしを披露。「レース素材やフルレングスのスカートもよく着ますが、どこかメンズライクだったり、ぴりっとしたものをミックスする、エレガンス&マニッシュな着こなしが好きです」(坂本さん)。上質なツヤのあるタキシードジャケットを、ロゴT&デニムでカジュアルに着こなしたら、スワロフスキーをちりばめたパンプス、パールのジュエリーでエレガンスを添える。そんな"テイストミックス"が坂本スタイルの真骨頂です。
残る3つのセオリーは、次のページで。
03 手元を彩るジュエリーは「重ねづけ主義」
「ものを作り出す手はいつまでもきれいにしていたい」と坂本さん。手入れの行き届いた指先にピンクベージュのネイルを施し、ジュエリーを重ねづけした手元は、いつ会っても見とれてしまうほどエレガント。「ジュエリーは色褪せることがないので、若い頃に買ったリングをピンキーリングにお直ししたりして楽しんでいます。重ねづけするときは、ひとつ主役になるものを決めるのがコツ。ピンクゴールド×ダイヤをメインにした場合は、ダイヤつながりで、ホワイトゴールド×ダイヤを重ねるという具合に。重ねる数はその日の気分で。つける指もいろいろと試してみると、しっくりくるところに落ち着きますよ」
04 シンプルシックな服のときは靴で「遊び心をプラス」して
「服で好きな素材はシルク。カシミアや、シルク混のコットン、リネンにも心惹かれますが、シンプルで上質なものだけでまとめると、コンサバになりすぎて老けて見えてしまう気がします。そんなときは靴で、新しいシルエットや遊びのあるテイスト、きれい色など、その時々で惹かれるものを加えていきます」(坂本さん)。"足元に遊び心"は、大の靴マニアでもある坂本さんらしいアレンジで、誰にでも取り入れやすい方法だとか。なかでもスエードやベルベットの質感が好きで選んだ2足がこちら。「このサンダルにはこのボトムで…」と、靴からイメージをどんどんふくらませて妄想するのも楽しいそう。
05 服1枚分以上のおしゃれ効果がある「アイウエア」 を楽しんでいます
数年前に自身でもメガネが必要となり、最初はオーバル型を素材や色違いで4本購入し、メガネライフを送ってきた坂本さん。「これがベストと思った形でも、フレームのカーブや色がほんの少し違うだけですごく印象が変わり、スタイリングの幅が大きく広がります。現在はボストン型、ウェリントン型も愛用。服やシーンによってさまざまに楽しめます」。下写真のサングラスは、坂本さんが開発にも携わった新ブランドのもの。紫外線を独自のフレームで大きくブロックして、アンチエイジングにも効果的、と評判です。「メガネやサングラスには、お気に入りの服1枚分以上のおしゃれ効果がある」を持論に、ファッションの一部として取り入れることを提案しています。
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/ 薄葉英理(ロッセット) 〈坂本さん〉 スタイリスト/坂本久仁子 イラスト/かくたりかこ 構成・原文/向井真樹