20周年を迎えた「セックス・アンド・ザ・シティ」 。番組が始まる時に流れる軽快なテーマ曲を聞くと、今でも心が弾みます。
このシリーズが始まった時は、毎週待ちきれないほどのSATCファンになってしまいました。1998年に始まってから6年間、主人公の4人、キャリー、サマンサ、ミランダ、シャーロットと人生の喜怒哀楽を共にした感じでした。
主人公は30代前半、シングルライフの真っ只中。妥協せずに理想のパートナー探しを続ける姿が、素敵に軽やかでファッショナブルで、時には優雅でうらやましくなる時さえありました。自分も仲間の1人になったような親近感を感じさせる、不思議な魔法の力を持ってました。
タイトル通り、セックスに関する話題がかなり露骨に会話&シーンとして登場してました。でも、どぎついのに嫌味がなく、拒絶反応はゼロでした。
年齢に関係なく幅広い女性層にアピールしたのは、このストーリーの真髄が女として生きることの楽しさ難しさをビビッドに描いていたこと、そしてキャリー、サマンサ、ミランダ、シャーロットが、実は我々皆の中にある要素を独立させたもので、4人全員と繋がりが感じられること。 そんなことを放映中の6年間、関係者へのインタビューで何回も聞きました。
何でも話し合え、無条件でサポートし合う仲良し4人組は、女友だちの大切さを象徴していました。「だから女友だちは最高なのよ」と女同士の絆の強さを再確認でき、パートナーなしでも充分素敵な人生が待ってるのだ、と励まされたものでした。
完璧に女中心のストーリーで、男は主人公たちの飾り物として登場し、あくまでも彼女たちが男女関係の手綱を握るというストーリー展開も斬新でした。 Me –Too運動もTIME’S UP も存在しない、セクハラ、パワハラ、男女の報酬の差があって当たり前だった20年前。むしろこのシリーズの中でそういった社会問題に触れていないことが非現実的、フェミニズムを後退させるものと批判する声もありました。
それでも人気は上がる一方。平たく言えば、見る人はそんなことより楽しく素敵にシングルライフを生きる4人に励まされ、夢中になったのです。
女友だちの素晴らしさ、重要性を強調しているこのシリーズの裏で、ジメジメした意地悪がまかり通っていたのが、20周年の年に暴露されたのは、皮肉な出来事でした。
シリーズ撮影中も常にサラ・ジェシカ・パーカーとキム・キャトラルの不仲が噂されてました。噂の真相は?と聞かれプロデューサーでもあるサラは、あくまでも楽しい撮影現場を強調し、「メディアは不仲説を書くと雑誌が売れるから書くのよ」と繰り返してました。
キムは3年目くらいから「彼女たちは仕事仲間で友だちではないわ」とはっきり言うようになってます。待ちに待たれていた3本目の映画版SATCは制作不可能と発表され、原因とされていたキムは「私はみんなより年上ですでに60代に入ってます。60代になってサマンサ・ジョーンズをやるのは無理だから断りました」と言ってます。
問題が起きたのは今年の2月、キムのきょうだいが亡くなった時でした。
サラがインスタグラムに「Dearest Kim, 今回は本当に大変でしたね。心からお悔やみを申し上げます」と書いたら、キムは「人の不幸を利用して良い子ぶるのはやめなさい。SATCシリーズの間中あれほど残酷な(彼女はcruelという言葉を使ってます)仕打ちをしておいて今さら何なのかしら。母が『あの偽善者(サラのこと)、一体いつになったらあなたへの嫌がらせをやめるのかしら』と言ってるわ。いい加減にしてよ」と書き込み、大爆発が起こったのです。堪忍袋の尾が切れたという感じでした。
SATCのキャストは当然ながら皆ノーコメントです。サラはSATC シリーズと映画両方のプロデューサーですから、権力も強大です。立場としてもキムより上ですから、キムに意地悪しようと思ったら、いくらでもできる立場です。
ロケーションで家を借りた時に、シンシアとクリスティンはサラと一緒の家なのに、キムだけ別の家に住まわせたと話してる関係者もいます。キムが演じるサマンサの人気がすごくて嫉妬した、とも言われてます。確かにサマンサ大好きファンはたくさんいます。男性ファンはサマンサ派が圧倒的に多数です。
撮影現場の女優さん同士の不仲&いがみ合いは、映画の歴史のスタートから存在してますが、表では親友4人組を演じ、見る人に女同士のサポートの重要性を見せたSATC の裏側が、醜い嫉妬とエゴのぶつかり合いだったというのは、ガッカリ度数が普通よりちょっと高い感じがします。それともさすが女優さんたち!と感心するべきなのでしょうか?