美容エディター・松本千登世さんによる、美容ジャーナリストの齋藤薫さんへのインタビューもいよいよ最終回。
私も、これからの人生が楽しみになる、心強いお話でした。みなさんも、ぜひ読んで、齋藤さんのエールを受け取ってくださいね。
齋藤さんが考える「大人の美」とは?
そして今、心と体の「たるみ」に悩み苦しむMyAge/OurAge世代に向けてのエールが!
50歳過ぎて美しい人はみんな会話が素敵
読者の中に、齋藤さんに憧れている人は多いと思う。
何を隠そう、私もその一人。
ずっとこの大人の美しさを追いかけてきたけれど、
いつまでたっても追いつけない。
しなやかで聡明、エレガントでユーモラス…
そして、さまざまな角度から自分を見つめ、
あきらめるものあきらめないもの、いるものいらないもの、
大切なことそうでないことが見えてきたという齋藤さんは、
さらにまばゆい輝きを放っている。
この輝きが私たちに勇気をくれる気がした。
そんな齋藤さんが思う真の大人の美しさ、その定義は何なのだろう?
「ある年齢から、美人の定義が変わると思うんですね。
30代後半か、あるいは40代からか…
頭が悪そうな美人ってあり得ないと明快に思うようになりました。
清潔感=美ということは大前提ですが、
いくら清潔感があっても知性がないと世間がそうは見てくれなくなると思うんです。
『あの人、顔はきれいなんだけど、ね』と」
例えば、岸惠子さん。
本当の大人の美人とはそういうこと。
もちろん、目指すにはあまりにハードルが高いけれど、
雰囲気はまとえるはず、と齋藤さん。
頭の中に知性があれば、それは必ず顔に出ると思うから、と。
「50歳過ぎて美しい人って、事実みんな会話が素敵。
話のつまらない美人じゃそれこそ退屈。
頭がよくて、バランス感覚があって、感性がいい大人は、当然趣味がよくなる。
服にも会話にも洗練として表れるんです。
もし、見た目が若々しいのに美しくない人がいたとしたら、
それは知性がないから。
大人になると知性とセンスと美はリンクしていますよね。
どれかひとつだけしか持たない美人なんて、
大人にはあり得ないのではないでしょうか?」
大人の美って、本当に難しい。
この迷いもつらさも苦しみも、
もっと先の輝きのためにあるのかもしれません。(松本さん)
これからは、自分で年齢観を構築するとき
大人の美って、本当に難しい。
だからこそ、ひときわ輝きを放つのだろう。
この迷いもつらさも苦しみも、もっと先の輝きのためにあるのかもしれない。
そんな私たちに齋藤さんからエール。
「今、女性の年齢観が大きく変わっているときだと思うんですね。
MyAge/OurAge世代は、
昔ならおばさんを通り越した年齢だったのかもしれませんが、
今はそう呼びたくなる人がいない。
これからは、自分の呼び名は自分で決める時代、っていうのかな?
一生『奥さま』と言われるかもしれないし、
下の名前で『○○さん』って言われるかもしれない。
自分でどう呼ばれたいかをつくっていける時代だと思うんです。
『おばさん』で振り返っちゃダメ。
これからもっと60代が若くなると思うし、
驚くほど若い70代ももう、生まれているんだと思う。
今までの年齢の物差しは、通用しないんです。
誰かがつくる年齢観を追いかけたり引っ張られたりする前に、
自分でつくっちゃえばいい、そう思います」
今は、何をしてもおかしくない時代なのだから、と齋藤さんは言う。
決して、若づくりをしましょうということでなく、
もっと知的で洗練された何か。
自分の可能性を広げる何か。
そのためには、何より心をたるませないこと。
「一生おばあさんにならなそうな人っていますよね。
夏木マリさんや松任谷由実さんとか、まさにそう。
今までの年齢観が完全に壊れ、
これから再構築していく時代なのだと思う。
まさにマイエイジ。
自分の年齢観を自分でつくっていきましょう、という提案をしたいですね」
(おわり)
[右]
齋藤 薫 Kaoru Saito
profile
1955年生まれ。女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト&エッセイストに。
女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。
『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)など著書多数。
[左]
松本千登世 Chitose Matsumoto
profile
1964年生まれ。美容エディター。
出版社勤務を経て、現在はフリーランスとして活躍。
齋藤薫さんとの出会いは編集者となるより以前にさかのぼる。
広告代理店勤務を通して知り合い、その後多くの美容特集で企画をともにしている。
撮影/杉山雅史(C-LOVe) 原文/松本千登世