十和子道 第2回
「不機嫌や悩みごとは老化のスピードを加速させます」
こんにちは。君島十和子です。
街も人も空もすっかり秋めいてきました。
過ごしやすい季節ですが、そろそろ夏の疲れがお肌やカラダに出てくるころです。
もちろんココロにも…。
「美しく年齢を重ねるために必要なことってなんだろう」
私が若いころからずっと考え続けている人生のテーマのひとつです。
美容家として、スキンケア、ヘアメイク、エクササイズ、サプリメント、食事…と、多方面から「老化」にアプローチしてきましたが、一番効果のあるアンチエイジングは?と聞かれたなら、「自分をいじめる時間は持たないこと」、「持ってしまったのならなるべく早く放すこと」だと、お答えすると思います。
自分をいじめる時間とは、「思い悩む」時間のこと。
「今さら、そんな精神論…」と、思われる方も多いと思いますが、精神的なストレスは老化のスピードを確実に加速させてしまいます。
私の場合、マイナスな感情にひたっている時間が長ければ長いほど、肉体の内側から老いる気がするのです。
ネガティブな感情が自分の細胞を痛めつけ、いじめられた細胞は活性化できずに枯れていく。
実際、不機嫌な感情が細胞にダメージを与え、細胞の寿命を縮めているそうです。
だとすると…不機嫌でいれば「アンチエイジングのために日々努力していることが、無駄になっちゃう!」
と、大いに焦りました。
どんなによいサプリメントを飲んでも、抗酸化作用の高い食べ物を摂っても、効果的なスキンケアやメイクをほどこしても、ストレスを抱えているだけで、老化が進んでしまうなんて。
これってとんでもなく損なことだと思うのです。というより、不条理すら感じてしまう。
私は、もともとのんきな性格で、主人や子どもたちに言わせると、「ヒトコトでいえば、能天気」だそうです(笑)。確かに感情を溜め込むことはあまりしませんし、人生で起こるであろう様々なトラブルをネガティブに受け取るタイプの人間ではないのですが、それでも仕事をし、家庭を持ち、49年も生きていれば人並みに悩みもあります。落ち込むことも、嘆くことも、泣きたくなることもあります。
そんなとき、「今日は飲んじゃお!」なんて、気の合う友人やときにはひとりでくつろぎながらお酒でも飲めればいいのですが、残念ながら私はお酒が飲めません。酔って、ストレスを発散することができないんですね。
そんな私の一番のストレス解消方法は、お風呂に入ること。それも、
熱い熱いお風呂です。
「とりあえずビール!」みたいに、「とりあえずお風呂!」そんな感じです。酒風呂ではないですよ(念のため)。
普段の入浴は、ちょっと熱め(39~40度くらい。季節によっても違ってきます)の、お湯につかり、心臓に負担がかからないようにときどき半身浴。
大好きな林真理子さんの本などを読みながら30分から1時間ほど、リラックスした至福の時間を過ごします。お湯の温度がちょっと高めなこと以外はごくごく一般的な入浴の仕方だと思います。
だけど、ストレスを発散したいときの入浴は、癒しというより、やや過激で、体育会系の部活に近い雰囲気のものとなります(笑)。
42度ぐらい(あくまで目安です。体調によってもっと低い温度のときもあります)の熱いお湯に最初は肩まですっぽりつかり、汗が出るのを待ちます。(発汗までの時間も5分~10分と、そのときの体調とお湯の温度によって違います)
汗が出てきたら、半身浴へ。
ポイントは「目に見えるほどの大量の汗をかき目視すること」。
大量の汗を目視することで、「内側に溜まっていた“ネガティブなもの”がカラダから抜けていく」と実感するのです。
顔や腕に汗が噴き出してくると、「よーし、出てる、出てる」「まだいけるわ!」なんて、がんばってしまうんですよね。(私はがんばり屋のA型です)。
浴槽につかっている間は重苦しいものを抱えた自分を煮出すような…そんなイメージです。まさに十和子煮(笑)。
(もちろん、浴槽につかりっぱなしでいるわけではなく、途中、シャンプーや洗顔などは通常通り行います)。
存分に汗をかき、のぼせる三歩手前くらいの状態で浴槽からあがったら、冷水のシャワーを膝から下の脚と腕、顔にさっとかけて、拡張した血管を引き締め、終了です。
あとは、「はい、もうこれでおしまい! おやすみ!」と、抱えていたストレスにサヨナラして(これもちゃんと声に出していうんですよ、私)バタンと寝てしまいます。
深酒ならぬ、深風呂…ですね。
入浴によるほどよい疲れと深部まで温まったカラダは、いつもより深い眠りをプレゼントしてくれます。こうしてリセット完了。
取材で、この熱いお風呂のお話をすると「HSP(ヒートショックプロテイン)入浴に似ていますね」と言われることが何回かありました。自分でも「やっぱり」と、思い当たる節も多く、決して自分が体育会系ゆえの入浴法ではないのかも…と、感じています。
※編集部注:HSP入浴法とは熱めのお湯に浸かり、体温を上げる入浴方法。そしてHSPとはストレス等で傷ついた細胞を修復するたんぱく質のこと。
①40~42度のお湯に10~20分つかる。
②体温が38度になるように体を温める(体温計を口にくわえて体温を確認)
③入浴後はバスタオルや毛布などにくるまり熱を逃さないように10分ほど安静にする。
④入浴前後に水分補給をしっかり行なうこと
細胞に熱ストレスを与えることで、傷ついた細胞を修復し、活性化させるたんぱく質が、増加するといわれている。
私の入浴法はHSPを意識したものではないのですが、ストレスの解放だけではなく、健康増進の作用もあるとわかり、(実は美容家としては、オススメするのはちょっとはばかれていたのですが)最近は躊躇することなく、熱いお風呂に入っています。
でも不思議なことに、熱いお風呂は精神的な疲れがあるときにしか入れません。
私の場合、ここぞ!というときの、精神の毒出し法なのだと思います。
私にとって、熱い熱いお風呂は「自分いじめ=思い悩むこと」をやめる、アンチエイジングのためには絶対に欠かせない場所と時間。
お風呂以外にも「自分をいじめる時間を手放す」方法はいくつか用意してありますが、効果的で汎用性のあるメソッドを増やしていこうと、あれこれ模索中です。そんな40代最後の秋です。
《日替わりでたのしんでいる入浴剤》
「その日の気分と体調によって使いわけています。運動した後は高濃度炭酸のバブやのどを酷使した日は天然ハーブの精油が入ったクナイプのユーカリとか。分包だと毎日違った入浴剤を使える楽しみがありますし、出張のときにもポンと一包、ポーチに入れて持っていけるので、とても便利」発汗のサポートにも温浴効果を高める入浴剤はマスト。
上の写真時計まわりに
(右) FTCの入浴剤(非売品)
(下) きき湯 マグネシウム炭酸湯 分包30g オープン価格/ツムラ
(左) クナイプ ユーカリの香り 分包40g オープン価格/クナイプ
(上) バブ メディケイティッド 柑橘の香り 70g オープン価格/花王
それではまた次回、お会いしましょう!
撮影/冨樫実和 取材/稲田美保 ヘア/黒田啓蔵
*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点
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電子版には特典としてプライベートを含む計276点の写真とコメントを特別編集した「エブリディ十和子」がついています!