髪の衰えはどんなふうに進行していくのかを紹介した前回。髪の変化に対応する4つのするべきことの中から、食の改善を髙橋栄里さんがご紹介します。
髙橋栄里さん
Eri Takahashi
イークリニック麻布院長。都内美容皮膚科の院長を経て、毛髪治療専門医として大手AGA専門クリニック院長を務めたのち、診療顧問に就任。2019年に美容皮膚科、発毛治療ができる「イークリニック麻布」を開院。毛髪と美容のプロフェッショナルとして活躍中
必須栄養素と
ビタミン&ミネラルでヘルシーな髪に
「心に留めてほしいのは、健康な体あっての髪ということです。まずは基礎となる3大栄養素。良質なタンパク質、脂質、そして糖質も、程よくとることが基本です」
髪をなんとかしなきゃ、と思うとひとつの食品だけに着目しがち。けれども髪にいい食生活とは、必要な栄養を過不足なくとるのが第一。その上で、髪の成分であるケラチンタンパクを体内で再合成しやすくするビタミン、ミネラル類を意識して摂取することが必要です。それが亜鉛、鉄、マンガンの3つの栄養素。
「亜鉛が不足すると毛周期の乱れが起こりやすくなり、抜け毛、白髪につながります。健康的で美しい髪を作るのには亜鉛は不可欠なのです」
ダイエットで不足しがちになることにも注意!
カキや豚レバー、チーズなどに多く含まれる。女性の9割が足りていないと、髙橋先生も臨床経験で実感!
鉄分は女性に不足しがちな栄養素。
血液を作るのはやはり鉄。ヘム鉄でとれば効率アップ
豚レバー、アサリ、納豆などに多い。閉経しても、すぐに必要量が確保されるわけではないので要注意
「全身の細胞に酸素を届けるのが、血液中のヘモグロビン。栄養と酸素を毛母細胞に届け、ケラチンの合成を促します。このヘモグロビンを生成するのに鉄分は必須です」
そして、マンガンは酵素の作用を活性化するといわれています。
さまざまな植物性食品に。酵素のお助けミネラル
酵素の働きを活性化し、成長因子にも関係するミネラル。しょうが、しそ、玉露、干しエビなどに多く含有
「体内に取り入れたタンパク質や脂肪を代謝するとき、ケラチンの合成をサポートする役割をします」
また、栄養素はチームで働くもの。この3つ以外にも、アミノ酸を分解するために必要なビタミンB類、抗酸化の要のビタミンC、粘膜や皮膚を強化するビタミンAなども髪の健康には不可欠です。これらの栄養素をバランスよくとることが、髪の衰えを防ぐための大前提と心得て。
撮影/玉置順子(t.cube) ヘア&メイク/広瀬あつこ モデル/水越日麻 スタイリスト/日置 彩 取材・原文/伊熊奈美