髪の衰えの原因となる紫外線や加齢。そこに新たに「菌」による老化という発見が! 最新の育毛科学を渡邉紘介さんに教えていただきました。
渡邉紘介さん
Kosuke Watanabe
ミルボン研究開発部 基礎研究グループチーフリサーチャー。チームで世界最高峰の放射光施設、SPring-8や大学との共同研究を進め、IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)での口頭発表や国内学会での受賞など数々の実績を重ねる。頭皮や肌の菌の研究でも知られる
頭皮の老化を引き起こす
思いがけない「菌」を発見
これまで肌や髪のエイジング要因といえば、紫外線や大気汚染などの外因性と、加齢による内因性のふたつに分類されてきました。そこに第3の原因「菌による老化」があることを最近、ミルボンの研究チームが明らかにしました。
「私たちは頭皮の上で思いがけない菌に出くわしました。口腔内や腸内にもすむ乳酸菌の一種、エンテロコッカスの生菌(生きた菌)です。女性においては年齢が上がるにつれて増えていくこともわかりました」と渡邉紘介さん。
私たちの頭皮にはこんな菌がいる!
加齢で頭皮上に生菌で増殖。活性酸素を生み出す原因となり、ハリ・コシ低下、うねり、脱毛など全般的な老化現象の元になる
通常量なら特に影響はない菌だが、異常増殖すると頭皮に炎症(赤み)を引き起こす。白髪、脱毛、細毛につながるので要注意
死んだ菌の状態であれば、善玉菌を増やす作用があると知られるエンテロコッカスですが、生きているとその作用は完全に真逆に。
「この菌は呼吸で過酸化水素を排出するのです。過酸化水素とは、活性酸素のひとつで、細胞を酸化し、老化を促進させるもの。この老化した細胞が頭皮の上で次々に広がり、ハリ・コシの低下やうねり、ごわつきなどの老化悩み全般を進行させることを突き止めました」
生菌に触れることで細胞が老化!
上は頭皮表面の角化細胞。拡大したのが右の2点。エンテロコッカス生菌に触れた角化細胞は、ほとんどの部分の細胞が老化している。菌に触れていない角化細胞(中央)は青いまま
この新発見は昨年、アジアの化粧品技術者の大会で若手奨励賞も受賞。美容界における細菌研究の突破口を開いたともいわれます。
「菌を抑制する成分と、できた老化細胞に働く成分も同時に開発。有効性を示す結果も出ています」
老化菌抑制でここまで効果が!!
ミルボンが発見したのが菌を抑制する成分、BT-クリア・エレメンツと細胞の老化を改善するCT-ケア・エレメンツ。
ふたつを配合した美容液を半年間使ったモニターの結果がこちら。
各成分が、多くの老化現象に対して広く有効であるのがわかります
取材・原文/伊熊奈美