頭皮にある毛根が根づく脂肪層に着目し抜けない髪を目指す、最新の育毛科学を野々垣雄太さんに教えていただきました。
今回の話を伺った先生
野々垣雄太さん
Yuta Nonogaki
資生堂プロフェッショナル マーケティング部。サロン用ヘアケアのサブリミックブランド全般のマーケティングを担当。「育毛剤はとかく発毛にとらわれがちなのですが、成長途中で抜けてしまう毛を減らすことこそ、最強の育毛です」
新しくなった国民的育毛剤。
目指すは“抜けない髪”
資生堂が新たに着目したのは、毛根自体ではなく、毛根が根づく脂肪層という“土壌”です。
「髪が皮膚の中で新生し、成長するときは、その脂肪層まで沈み込んで根づくことで、抜けにくい丈夫な髪になります。この層がふっくらしていないと毛包が深く潜れず、成長しきる前に抜け落ちてしまうのです」と野々垣雄太さん。
脂肪層が痩せる原因は、やはり加齢によるところが大きいそう。
「脂肪細胞は毛母細胞の増殖を促進するIGF-1を多く作り出しています。さらには毛乳頭細胞のコラーゲン分解酵素、MMP-1の産生も抑制。成長期の毛乳頭に豊富に存在するコラーゲンを分解から守ることにより、成長期を長く保てることを発見しました」
そこで開発したのが、脂肪細胞の増殖を促進する成分(ローズマリーエキス)と脂肪細胞を成熟させる成分(甜茶エキス)のかけ合わせ。「従来の育毛遺伝子アプローチにこの技術が加わり、育毛効果がさらにパワーアップしたのです」
遺伝子の不活性で弱っていく大人の髪
①黒髪遺伝子(MITF)
②ハリ・コシ遺伝子(KAP5)
③毛成長促進遺伝子(FGF7)
④脂肪層が不調
これまでに毛成長促進遺伝子(FGF7)、ハリ・コシ遺伝子(KAP5)、黒髪遺伝子(MITF)などにアプローチしてきた資生堂。今回は、脂肪細胞の毛成長にかかわる機能に着目して、頭皮の脂肪層をふっくらさせる技術を開発
明らかになった脂肪層の働き
健やかな頭皮
健やかでない頭皮
取材・原文/伊熊奈美