頭皮マッサージはちょっと面倒…でも、ブラッシングなら継続しやすく、効率的に頭皮をほぐせます。シャンプー時なら、血流アップも頭皮のクレンジングもできて一石二鳥!
今回の話を伺った先生
本山典子さん
Noriko Motoyama
国際毛髪皮膚科学研究所代表理事、毛髪診断士認定講師。漢方・アーユルヴェーダ、さらに皮膚生理学・身体心理学へも造詣が深い。血流や神経に働きかけるオリジナルのブラッシングメソッドは、日本のヘアサロンをはじめグローバルでも高い評価を受けている
におい、抜け毛の予防から
ボリュームアップまで!
ブラッシングは髪のからまりを解くだけでなく、頭皮の育毛ケアとしてもメリットがいっぱい。この時季、毎日のシャンプー時に取り入れてみては、と本山典子さん。
「過剰な皮脂や汚れがたまりがちな季節です。シャンプーでブラッシングをすると、細部の汚れがしっかり落とせ、におい予防やボリュームアップにもつながります。また、今年は脱毛のお悩みが増えているようです。自宅に閉じこもって体を動かさなければ代謝が悪くなり、リンパの流れも悪化。めぐりをよくする意味でもブラッシングはおおいに有効なんです」
さらに注目したいのは、ブラッシングによって効率的に頭皮の筋肉を動かせること。
「美髪を作るためには、何をおいても血流のよさが不可欠。それには頭部の筋肉のこわばりを緩めてポンプとしての機能を働かせることが必要です。ブラッシングは血流を促すのにも最適なんですよ」
下の図や手順を参考に、むくみやすい側頭筋から始め、背中の広い筋肉、僧帽筋と接続する後頭筋をほぐして血流を呼び込みます。最後に前頭筋から帽状腱膜へ血流を流すという順番で。
ブラシ選びも重要です。頭皮を傷つけない、柔らかく肌あたりのよいもので、地肌との密着面積が広いものを選びましょう。
ブラッシングでほぐせる頭皮筋
肩こりは、肩甲骨から後頭部にかけて広がる僧帽筋のこわばりによるもの。少しストレッチしてほぐしてからブラッシングすると、効率的に血液を頭部に送り込めます。帽状腱膜には筋肉がないので、頭頂部まで血液を行き渡らせるように意識しながらブラッシングを。
正しいブラッシングの手順
1.ブラシの通り道を作る
髪のもつれを解き、十分に予洗い。泡を全体に行き渡らせながら、手ぐしを通してブラシを通りやすく
2.生えぎわ手前から耳を囲むように
側頭筋から後頭筋へととかします。最初にここを動かすと、むくみをリリースして副交感神経も優位に
3.側頭・後頭・僧帽筋へ流す
側頭部から後頭筋を通り僧帽筋へととかします。ここは頭部と体の中継点。血流とリンパをしっかり流して
4.血液をさらに逆流させる
次は下から上に、首から後頭部へとかし上げます。後頭筋が緩んで、帽状腱膜への血流もよりスムーズに
5.前頭筋はリフトアップにも
額の生えぎわの少し手前から、帽状腱膜へととかします。眉間のシワやフェイスラインの引き上げにも有効
6.ブラシを縦にして前後に揺らす
髪が長い場合は、毛先までとかしきらなくても、ブラシを縦にして、前後に小刻みに揺らすだけでもOK
7.すべての毛細血管に触れるように
帽状腱膜の毛細血管へ血液を行き渡らせるように、右から左、左から右へと全方向から頭頂部をとかします
8.すすぎもブラシで泡残りなし
最後は流水で流しながらとかせば、泡のすすぎ残しもなし。トリートメントもブラシで行き渡らせるとよい
シャンプーブラッシングにおすすめ
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撮影/玉置順子(t.cube)〈人物〉 久々江 満〈物〉 モデル/水越日麻 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/伊熊奈美