ヘアカラーによって髪がどうやって染まるか知っていますか? 毛髪診断士・伊熊奈美さんに、ヘアカラーの基礎知識やメリット・デメリットを教えていただきました。
お話を伺ったのは
美容エディター・毛髪診断士 認定指導講師
伊熊奈美さん
Nami Ikuma
1972年生まれ。女性誌などで20年以上美容記事を執筆、編集。毛髪科学を踏まえたヘアケアに精通。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)がある
『頭皮がしみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』
伊熊奈美 著/小学館
ヘアカラーの基礎知識
染める方法は複数あります!
自分の頭皮や髪と相談を
髪がなぜ染まるか知っていますか?
30代前半までは「染める・染めない」が任意だったヘアカラーが、白髪の出現によって必須になってしまうのが50代。量が増えるほど染める回数も頻度も増えますが、同時に、慢性的な髪の傷みや、頭皮がしみたりかゆくなったりといった頭皮トラブルが増え、不安になる人も多いようです。これからも白髪染めと長くつき合っていくためにヘアカラー剤の基礎知識を知っておきましょう。
下図はヘアカラー(アルカリカラー/酸化染毛剤)で髪が染まる仕組みを示したもの。製剤に含まれる、キューティクルを開くアルカリ剤、白髪を暗い色にするのに必要なジアミン系酸化染料、発色に必要な過酸化水素などが、傷みや刺激を起こす原因になり得ます。サロンで使われるもの、市販のヘアカラー(1・2剤式のもの)も同様の仕組みです。
ヘアカラーによって髪が染まる仕組み
カラー剤を塗布。
キューティクルが開き染料が入ります。
メラニンが分解され髪が染まります。
髪が傷むと同時に色も落ち、髪内部の空洞化が進みます。
頻繁に行う根元染めも頭皮にはハイリスク
染めてしばらくすると目立つ根元の白髪が気になって、リタッチをする人も多いでしょう。でも、頻繁すぎるリタッチは、地肌が乾燥しやすく、免疫力が下降ぎみの世代にとって負担になりがち。頭皮のあれやアレルギーを起こすリスクが高まります。カラーとカラーの間はせめて2カ月ほどはあけたいところです。
つなぎにおすすめなのがカラートリートメント。コツを押さえれば十分染まるし、数日で落ちるのでサロンや市販の2剤式ヘアカラーとの併用も可能です。ヘナはヘアカラーとの併用が難しい場合があるので、取り入れる際はよく検討しましょう。
Ikuma’s advice
根元リタッチも要注意。
何回染めてもいいわけではありません
ヘアカラーのメリット・デメリット
◆アルカリカラー(サロンカラー、ホームカラー)
メリット
- ●どんな色にも自由自在
- ●短時間で染まる
- ●プロにおまかせできる
デメリット
- ●ケアが不十分だと傷む
- ●刺激につながる場合も
- ●セルフ染めは難しい
◆カラートリートメント
メリット
- ●自宅で手軽にできる
- ●ヘアカラーと併用が可能
- ●ダメージの心配がない
デメリット
- ●髪色を明るくできない
- ●数日で色が落ちる
- ●しっかり染まりにくい
◆ヘナ
メリット
- ●ナチュラルな植物成分
- ●髪にハリ・ツヤが出る
- ●環境に負荷をかけない
デメリット
- ●髪色を明るくできない
- ●色が限定される
- ●染まりに時間がかかる
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/広瀬あつこ スタイリスト/日置 彩<服> 構成・原文/伊熊奈美