女性の壮年性脱毛症についてお話しした前回に引き続き、薄毛に悩むアワエイジ世代の育毛剤選びと頭皮治療について、3人の素敵女医に対策について聞きました。
【専門女医3人による髪治療の最新情報】
育毛剤選びはエビデンス重視で
杉野 ミノキシジルはべたつく商品もあるのが難ですね。1日2回、朝晩の塗布が基本ですが、朝塗ったらスタイリングができない。あと、男性は育毛剤を使っている人が多いですしミノキシジルの存在も知っていますが、女性にはあまり知られていません。
住吉 ですよね。私は夜だけでも十分結果が出ると思っています。それと、よくわからない成分の育毛剤を使っている人が多いのも気になります。
坪内 今、女性の育毛はターゲットにされていますものね。エビデンスがなくても広告がうまい商品は目につきやすい。女性はオーガニックとか植物由来という言葉に弱いですが、仮にその成分自体はよいものでも、製品になったときに効果があるのか、安全かは別の問題です。
ちなみにミノキシジルには内服薬もあって、私も自分で試してみたのですが、初期脱毛がひどくて2週間でやめてしまいました。
住吉 ヘアサイクルを整える過程での脱毛ですね。1カ月ほどで治まるといわれていますが、個人差がありますよね。またミノキシジルには血流をよくする作用があるので、外用といえども心臓病や不整脈がある人は避けたほうがいいです。
私はそういう患者さんには、育毛作用のある薬剤やプラセンタを頭皮に注射するメソセラピーをおすすめしています。
杉野 毛が抜けている人は頭皮が薄くなっていて、触るとすぐ頭蓋骨という感じなのですが、メソセラピーを続けていくとだんだん厚みが出て、ふわふわと柔らかくなってきます。
坪内 成長因子的な作用のある治療法の、ヘアフィラーもいいと思います。通常の成長因子製剤だと血管に入った瞬間にバーッと流れてしまうのですが、ヘアフィラーは基材がヒアルロン酸ジェルなので、粘性があってゆっくりじわじわ効いていくんです。
住吉 ただ頭皮に注射するとき、痛いんですよね。ドロッとしているから。
杉野 皮膚の中に入る圧力が大きく、1回に入れる量も多いですしね。
坪内 そうなんです。でも続けていると痛みが薄れてきて、患者さんも3回目くらいからは平気になります。
杉野 うちでは5年ほど、PRP育毛メソセラピーをやっています。これは自分の血小板から抽出した成長因子を頭皮に注射する治療法です。自分のものなのでアレルギーなどの心配がありません。
ただ、文献を見ても若い人のほうがよい結果が出ているので、やっぱり頭皮ケアは早いうちから始めるべきだとつくづく思います。
坪内 今はエイジングで毛根が弱るのもわかってきています。毛髪が気になる人は、顔のシミを取るのはあとにして、まずは薄毛の対策を先に。そして効果が出はじめたからといってすぐにやめず、気長に治療を続けることが大切です。
薄毛で治療が必要な場合、スタートが早いほど健康な髪を維持できる期間が長くなります。日々のケアであとあと差がつくので、髪の悩みがある人は気軽に皮膚科医に相談を
<坪内理恵子医師のおすすめ>
●ヘアフィラーを4回施術した人のビフォー(左)とアフター(右)
薄毛が気になる箇所に注射器で薬剤を注入します。髪の色が濃くなる、ハリが出る、密度が上がるなどの効果が。2週間に1度の治療で1クール計4回の施術が理想的です
●ペロバームのシャンプー、コンディショナー、ローション
髪の成長促進に必要な成分が配合されたシリーズ。育毛に必要な刺激を与えて、髪と頭皮を強くします。ローションは頭皮にスプレーしてマッサージを
●ミレット&L-リジン
ケラチンの原料となるシスチンや、ケイ素、ローズマリー酸などの栄養素が豊富に含まれたミレットと、必須アミノ酸のリジンが配合されたサプリメント。髪にハリとボリュームが出ました
お話を伺った素敵女医は
住吉周子さん
Shuko Sumiyoshi
57歳 美容皮膚科・漢方内科 Shuko Clinic
杉野宏子さん
Hiroko Sugino
65歳 美容外科・形成外科 青山エルクリニック
坪内利江子さん
Rieko Tsubouchi
60歳 皮膚科・美容皮膚科 銀座スキンクリニック
撮影/フルフォード海 ヘア&メイク/木下庸子(プラントオパール) イラスト/ミック・イタヤ 取材・原文/上田恵子