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「もう年だから…」とブルーにならず、白髪を楽しむ!「白髪」だからこそ楽しめる髪色とは? 若い頃のような明るいファッションカラー? グレーヘアに挑戦?「50代白髪調査隊がゆく! 白髪の悩みQ&A」

白髪お悩み歴15年。50代後半の今も白髪対策迷走中のセトッチが、白髪の悩みを解消すべく、白髪研究のプロに教えてもらう連載。若い頃のような黒髪を目指しても、すぐに根元から白髪が見えてくる…。それに疲れたセトッチがすすめられたのは、白髪を黒く染めるのではなく、白髪を生かした染め方。白髪だからこそ楽しめる色とは?

この回の質問に答えてくださった方

島津綾子
島津綾子さん
花王ヘアケア研究所 主任研究員

入社後7年、洗剤用酵素の研究を担当。その後、ヘアケア研究所にて、黒髪メラニンのもとを使った白髪染めの商品開発(リライズブランド)に10年携わる白髪ケアのエキスパート。 〔撮影:山田英博〕

田中二郎
田中二郎さん
アリミノ 研究開発部 総合研究所 基礎研究室兼業務管理室室長

2003年入社以来、美容室専売品のパーマ、ヘアカラー、ヘアケア、スタイリングの製品開発に従事し、ヘアケアブランド「コアミー」の開発も担当。現在は頭皮や毛髪の基礎研究のマネジメントを行っている。

大原未咲姫
大原未咲姫さん
イーラル株式会社 化粧品研究部

2019年に日華化学株式会社に入社。シャンプー、ヘアトリートメント、頭皮用エッセンスなど、サロン専売のヘアケア商品の処方開発を担う。入社当初より、イーラルブランドに携わり、開発担当者として処方設計やエビデンスデータの取得に携わる。

 

 

白髪を黒く染めるだけではつまらない! 若い頃のように髪色を楽しみたい!

 

 

セトッチ:白髪が気になり出した40代後半から、「白髪染め」をしてきましたが、最近は、せっかく時間とお金をかけて「染める」のに、毎回黒っぽい色に染めるのもつまらないなと思うようになりました。

 

というのも、若い頃は美容院に行って髪型を変えるたびに、オレンジ系やイエロー系などの明るい髪色を楽しんできたので、同じヘアカラーをするならいろいろな色を楽しみたいなと思って。

 

でも、白髪染めの色って濃い色ばかりですよね。「ファッションカラー」と呼ばれるような、黒髪を明るい色に染めるヘアカラー剤を使用して染めてはだめなのでしょうか?

 

花王 島津:白髪のある方が、黒髪を染めるための「ファッションカラー」を使用したとき、どのような色に染まるかは、白髪の割合や、染める前の黒髪の色や明るさにもよって違いますが、「ファッションカラー」だと白髪がきれいに染まらないとか、思い通りの色に染まらないという可能性はあります。

 

というのは、そもそも、「白髪染め」と「ファッションカラー」は設計が異なります。

どちらも基本的な「染めのメカニズム」は同じで、「脱色作用」の成分と「染色作用」の成分の両方が含まれていますが、どちらの作用を強くしてあるかというところが違います。

 

白髪染めは、白い髪を染めるのが主目的なので、色をつける「染色作用」が強いです。また、白髪をしっかり染めつつ、一方では黒髪の染まり具合とバランスをとるよう染料が配合されています。なお、「脱色作用」は染めたい髪の明るさによって調整されています。

 

それに対し、ファッションカラーは黒い髪に色をつけるためというのが目的のため、まずは髪にあるメラニン色素を抜く必要があります。そのため、「脱色作用」が高めになっています。そして、「染毛作用」は色によって異なりますが、同じブラウン系の色味で比べると白髪染めに比べてやや控えめになっています。

 

ですから白髪に使うと、白髪がよく染まらない、きれいに馴染まない、ということが起きる場合があります。

 

セトッチ:そうですか…。では、私のように白髪が増えてきた人はやはりファッションカラーは諦めたほうがいいですね。

 

花王 島津:いえいえ、白髪が出てきたら、明るい色はもう楽しめないということではないですよ。

 

例えば、これ(ルミエスト)は、白髪が少なめの方向けですが、白髪と黒髪のコントラストを少なくしながら染料を入れるので、明るい色でも白髪がしっかりなじむように作られています。

ブラウン系やベージュ系のほか、バイオレット系、ピンク系、アッシュ系など全12色がそろっていますよ。

〔上の写真:花王 「ブローネ ルミエスト」。白髪も黒髪もバランスよく染まり、上の写真のボルドーピンクのほかアッシュなど明るくておしゃれな色ぞろえで、「白髪を気にせず、明るい髪色を楽しみたい」という方におすすめ。1箱でセミロングヘア1回分だが、残りは次にとっておけるのもうれしい〕

 

セトッチ:今までの白髪染めにはなかったような、明るめの色が選べてうれしいです。

 

花王 島津:毛髪保護成分が配合されているので、指通りがなめらかで、つややかな仕上がりでおすすめです。

 

もし、白髪が多めで、もう少ししっかり白髪を染めたいということであれば、最近では、ヘアカラーもいろいろ改良されていて、白髪染めの中でも比較的明るめの色みに染められるものもあるので、そういったものを選ぶとよいと思います。

 

美容師さんのセンスと技で、白髪から明るい髪色にチェンジ

 

 

セトッチ:美容室ではどうなのでしょうか?

もう10年くらい前になりますが、美容室で髪を染めようとした際に、美容師さんから「白髪をしっかり染めたいなら明るいカラーは難しい。白髪染めでないと…」と言われたことがあります。

 

でも、最近では美容室でも、私のように白髪になっても明るい髪色を楽しみたいというお客さんが増えているのではないでしょうか。

美容室専売品を取り扱うアリミノの田中さん、いかがでしょうか?

 

アリミノ 田中:そうですね。まずは、お客さまがどんな色、どんな仕上がりを求めるかを美容師さんに伝えれば、使用する薬剤や染め方など、いろいろなヘアカラーの方法を提案してもらえると思います。

 

しっかりと「真っ黒な髪」にすることが目的であれば、やはり白髪染めを使う必要があるかと思います。

 

一方、白髪を黒髪にするというよりは、目立たなくすればOKで、それよりも明るめの髪色でおしゃれに見せることをご希望でしたら、それにも応えてくれると思います。

 

ヘアカラー剤自体も、「白髪を染めながら明るい髪色に染める」ことに対応した商品も多く開発されているので、そうしたものを使用してもらうというのもひとつの方法でしょう。

 

または、白髪をしっかり黒く染めるのではなく、髪全体を軽くブリーチしてトーンを上げつつ、白髪は少し茶色っぽく明るい色に染めるという方法もあります。

〔上の写真:白髪をしっかり黒く染めるのではなく、髪全体を軽くブリーチしてトーンを上げつつ、白髪は少し茶色っぽく明るい色に染めた例。画像提供/SHEA(東京)〕

 

黒髪の中に白い髪があると目立ちますが、こうした染め方であれば、全体が明るい色になるので白髪が気にならなくなりますよ。

 

セトッチ:なるほど。白いものを黒くするのではなくて、黒いほうのトーンを明るくして白を目立たなくする…。逆転の発想ですね。

 

アリミノ 田中:そのほか、根元は白髪染めでしっかりと染めて、それ以外の部分は好みのカラーに染める、というようなテクニックもあります。

自然なグラデーションになるよう仕上げてくれます。

上の写真:根元は白髪染めでしっかりと染めて、それ以外の部分は好みのカラーに染めた例。画像提供/SHEA(東京)〕

 

セトッチ:それはうれしいですね。

確かに、白髪を「隠す」ことだけを考えるよりも「生かす」という方法があるのはうれしいですね。

 

アリミノ 田中:どんどん美容師さんに相談してみてください。

 

セトッチ:そういえば、20代、30代のとき「きれいなストレートの黒髪ロングヘア」がトレードマークだった女優さんが、今、ベリーショートで、きれいなミルクティーカラーに染めていて、素敵だなと思いました。

お若い頃のキリッとした雰囲気とはまた違った、ふんわりと優しい雰囲気だなと。ぜひトライしてみたいです。

 

そのほかに、明るい色を楽しみたい場合に、美容室ならではのテクニックはありますでしょうか?

イーラルの大原さん、いかがでしょうか?

 

イーラル 大原:一時的に黒い色に染めたいけれど、その後はまた明るいカラーに戻したいというようなときに使うもので、複数の染料を組み合わせることで、黒に近い色に仕上げる技術もあります。

 

セトッチ:染料を組み合わせて黒っぽい色? どういうことでしょうか?

 

イーラル 大原:絵具で絵を描くときのことを思い出してみてください。赤や緑など、いろいろな色を混ぜると、最終的に黒に近い色になってきますよね。

それと同じ原理で、複数の染料を組み合わせることで、黒に見せていきます。

一次的にでも黒く染めたいからといって、黒染めのような濃い色に染めてしまうと、次に明るい色に戻そうとしても、濃い色が抜けず、目指す色に仕上がりにならないことがあると思います。

そういうときに、活用できる技術です。

 

セトッチ:あぁ、学生の頃習った、色をどんどん重ねていくと黒に近づいていく、というやつですね。

 

イーラル 大原:そうですね。こういった技術には、毛髪内部に残留しにくい彩度の高い染料(明るい色)を使用します。

髪に色が染まるメカニズムは、ヘアカラー剤に含まれる酸化染料同士が、手を取り合うような形で毛髪内で巨大化する、「重合」という現象が起こることで色として見えるようになります。

 

ブラウンなどの彩度の低い染料(濃い色)はこの重合の度合いが高く、大きい塊をつくるイメージで分子量が大きくなっています。そうなることで、キューティクルの隙間から外部へ染料が流出しにくく、色が抜けにくい色です。

 

一方、ピンクなどの彩度の高い染料は重合度が低く、分子量が小さいため、毛髪内部に残留しにくく、逆に言えば、髪色をチェンジしやすいということになります。

頻繁にカラーチェンジしたい方は、このような技術によって黒に近い色で染めていくのもおすすめです。

〔上の写真:染毛剤デミ コスメティクス トイロクション8/MB(モードブルー)とサポートブラウンD(ディープ)をミックスして、髪全体のうち30%が白髪である毛を染色した毛束〕

 

セトッチ:黒髪も明るい色も思いのままに楽しめるのはいいですね。

今の40代、50代の女性は、若い頃から髪の毛を明るい色に染め、髪色を自由に楽しんだ世代なので、少し上の世代の「黒髪に対するこだわり」よりも、髪色を楽しみたいという気持ちが強いのかもしれませんね。

 

 

自分らしいグレーヘアに挑戦してみたい!

 

 

セトッチ:明るい色…といえば、もう少し白髪が増えたら、いずれはグレーヘアにしようかなと思うことがあります。

最近は、白髪を生かして、グレーヘアにするという方も増えていますよね。

 

アリミノ 田中:それもやはり、美容師さんに相談するとよいですよ。上手に白髪を生かす方法を提案してくれると思います。

 

白髪とひと口に言っても、人によって白髪の多い部分や色みが違いますので、その方の白髪をどうグレーヘアに生かすのか。美容師さんのセンスや染めるテクニックの見せ所です。

 

例えば、明るい差し色のハイライトとして白髪を残す方法。または、白髪をなじませるように部分染めでメッシュにするなど。

こめかみ、生え際、頭頂部など、色を入れる場所や色みで印象はがらりと変わります。

 

ぜひ、ご自身に合ったデザインのグレーヘアを楽しんでいただきたいです。

 

セトッチ:なるほど。ひと口にグレーヘアといっても、いろいろなスタイルや色があるのですね。

いつかグレーヘアに挑戦するのも、楽しみになりました!

 

花王 島津:髪色メラニンのもとで髪の表面を染める弊社の「リライズ」を使用しているお客さまの中には、「リライズ」を使って、上手に白髪染めヘアカラーを卒業した方もいらっしゃいます。

〔上の写真:「生え際まで染められる」「5分おいて流すだけだから、とにかく使いやすい」とOurAge編集部員やライターたちにも愛用者の多い花王「ブローネ リライズ 白髪用髪色サーバー」。好みの仕上げに応じた2タイプがあり、写真左が毛先まですっとまとまる「まとまり仕上げ」、右が根元からふんわり仕上げたい人向けの「ふんわり仕上げ」〕

 

セトッチ:どんな方法ですか? 知りたいです。

グレーヘアに挑戦する最大の難関は、移行するまでいかにきれいな髪をキープするかだと思います。

ただの「白髪放置頭」にならないようにするテクニック、知りたいです。

 

花王 島津:ずっと白髪染めできっちり染めていて、急に白髪染めをやめると、白髪染めで黒くなっていた部分と、新しく生えてきた白髪との色の違いが目立ってしまうので、それが気になる方も多いです。

 

そこで「リライズ」を使って、新しく生えてきた白髪と染めていた部分の境目をなじませていきます。

リライズは徐々に白髪を色付ける商品で、使用する回数で染める濃さを調節できます。白髪と染めていた部分との境目をなじませながら、伸びてきた白髪の染め具合を弱めていき、最後にヘアカラーで染めていた部分の髪をカットすると、自然な印象のグレーヘアにすることができます。

 

セトッチ:なるほど。それはよいアイデアですね。グレーヘアを目指す私たちの力強い味方になってくれる製品があることもわかって、なんだかとっても安心しました!

取材・文/瀬戸由美子

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