【お話を伺った方】
2012年美容師免許取得。青山・原宿エリアの有名店で研鑽を積んだ後、2021年に1店舗目の「Heart's 脱白髪染め専門サロン」を原宿、2022年に2店舗目の「Heart's 脱白髪ぼかし専門サロン」を青山にオープン。わずか3年で、2店舗合計で1年間に約1万人が訪れる人気店に。白髪の悩みに寄り添った丁寧なカウンセリングが好評。
ギリコ:この白髪の連載も23回目。カラー剤の開発員さんの取材に始まり、自分の血小板を培養したものを用いた再生医療による白髪治療のほか、ホームカラーの商品や白髪染めによるダメージを回復するヘアケア商品を40種以上も紹介するなど、白髪に悩む40代、50代に向けさまざまな対策を発信してきましたよね。
セトッチ:私にとっては驚きの連続の取材でした。白髪対策の知識が20年前くらいで止まっていて、全然アップデートできていなかったことに気づきました。
「白髪になったら白髪染めするしかない」、「白髪染めしたら髪が傷むのは仕方がない」と思っていましたが、カラーのテクニックもヘアケアの方法も技術が進んだ現在は、本当にいろいろあるんだなということを知って、白髪に感じるストレスがすごく軽くなってきました。
ギリコ:それは何より! 私も最近は「何かよい白髪対策はないか」と夜な夜な検索するのが趣味のようになってきてしまって…。
実はまたもうひとつ興味深いサロンを見つけたんです。
原宿に店舗がある「Heart’s 脱白髪染め専門サロン」です。
セトッチ:「脱白髪染め」ってなんでしょう。それは確かに気になりますねー。
ギリコ:1号店が原宿にオープンしたのはわずか3年前ですが、翌年すでに2店舗目として「Heart’s 白髪ぼかし専門サロン」を表参道に出店しているところをみると、かなり人気のサロンのようです。
2店舗合わせて1年間におよそ1万人のお客さんが訪れているとか。
あれこれ検索してみたら、代表の矢作信人さんが、カウンセリング動画をアップしているインスタグラムはフォロワーが2万6000人。白髪に悩む女性がカットとカラーで素敵なスタイルに変身した動画がいっぱい上がっているんですよ。
例えば、この方の髪↓。素敵じゃないですか?
セトッチ:うわ。いいですね。私もこんな髪色&スタイルにしてみたいです。
ギリコ:でも、この方のBeforeを見ると、以前はこの状態↓(白髪が全体の70%)。
セトッチ:えー。全然違う!
ビフォーの写真の傷んでパサついていた髪が、アフターの写真を見るとツヤも出ていますね。これはすごいかも。
ギリコ:そうでしょう? まさに髪が若返ってるんです!
ぜひ、どんな施術を行っているのか、一緒に取材に行ってみませんか。
「白髪染め」は使用せず、独自のテクによるファッションカラーでどんな髪色にも
ギリコ:こんにちは。今日は「脱白髪染め」について、いろいろお話を伺いたく、取材でお邪魔しました!
矢作:はじめまして。Heart’s 脱白髪染め専門サロン、代表の矢作信人です。今日はよろしくお願いします!
セトッチ:さっそくですが、こちらの美容室は「脱白髪染めサロン」と謳っていますが、「脱白髪染め」というのは、具体的にどういう施術をするのでしょうか?
矢作:ひと言で説明するのは難しいのですが、世間で一般に「白髪染め」と呼ばれている薬剤を使用せずに、ファッションカラーで染めるということ、それを脱白髪染めとしています。
セトッチ:ん? 白髪染めを使わない? ファッションカラーで染める? それは一般的な白髪染めと比べて、どんな点がメリットになるのでしょうか?
矢作:もう少し詳しく説明していきますね。髪を染める薬剤には大きく分けて2種類あります。
ひとつは「白髪染め」。これは、白髪がしっかり染まるというのがメリットですが、デメリットは、色が黒から濃い茶色しか選べず、明るい色にはできない。加えて、髪へのダメージや頭皮への刺激が大きいということです。
そして、もうひとつがファッションカラーと呼ばれるもの。
これは若い頃におしゃれで髪の色を楽しんでいた方はおわかりになると思いますが、茶色にしたり、金髪っぽくしたり、ちょっとピンク系、グリーン系、オリーブ系など、好きな色みを楽しむことができます。
色の幅が無限に選べるというのがファッションカラーの最大のメリット。また、髪や頭皮へのダメージも、白髪染めより軽いというのもよい点です。
セトッチ:それでファッションカラーを使うのですね? あれ? でも、私はここまでの取材で、「若い頃に好きな髪色を楽しんでいた際に使用されていたファッションカラーでは、白髪は染まらない」と聞いたのですが…。
矢作:はい。そうですね。一般的にいわれているのはそのとおりです。ファッションカラーの明るい色で、ただ普通に染めただけでは、白髪は染まりません。
そこで、考え出したのが、うちの店のオリジナルテクニックによる「白髪ぼかし」。
ひと言で言うと、ファッションカラーで白髪を染めるという技術です。
この「白髪ぼかし」という方法で染めるメリットはいろいろありますが、
(1)自分の好きなカラーにできる
(2)伸びてきた根元の白髪が気になりにくい
(3)頭皮や髪へのダメージが軽くなる
(4)個人差はあるが、染める周期が1.2〜2倍長くなる
というのが主な点です。
セトッチ:いいことずくめではないですか! ということは、特別なファッションカラー剤を開発したということですか?
矢作:いえ、そうではありません。染毛剤は既存のもの。それらのどの染毛剤を組み合わせて、どのくらいの配合で使用するかで、白髪であっても、明るい色も暗い色も自由自在に出せるカラーリングのテクニックをオリジナルで生み出したということです。
一般的な白髪染めをして、暗い色でしっかり染めると、根元から白髪が伸びてきたとき、その境目がくっきりとすごく目立つ。これが皆さんとても嫌ですよね。
セトッチ:はい。白髪を染める際の一番の悩みはそれでした。
矢作:例えば、うちのサロンが行っている白髪をぼかす方法のひとつとしては、うっすらと白髪を染めつつ、地毛の黒い色のほうは少し明るくする。
そうすることで、今までだったら、黒と白でくっきりコントラストが出て白髪が目立っていたところが、ベージュと茶色くらいのコントラストになります。そうすると、白髪が伸びてきたときもあまり目立たない。
これを「白髪ぼかし」というふうに呼んでいます。
セトッチ:なるほど。そうすると生え際に白髪が見えてきて、「早くサロンに行かなきゃ〜」というストレスがずいぶん軽くなるということですね。
でも、白髪を目立たせなくするには、かなり明るい色にしないとだめですか?
矢作:いえ、明るくすることも暗くすることもできます。お仕事の関係であまり明るい色にはできないという人もいますので。そういう人の場合は、ベースは暗い、ほぼ地毛の色でということもできます。
あとは、デザインですね。
白髪の量が少ない人は、ハイライトを入れて白髪の仲間みたいな毛束を作ってあげる。「木を隠すなら森の中」と同様で、「白髪を隠すなら明るい髪色の中へ」という感じ。
白髪の真っ白さに近い明るい色の髪をたくさん作ることで、それがデザインになり、なおかつ白髪も目立たなくさせるという方法があるんです。
この写真がそれを行っているところです。
↓
セトッチ:先ほどおっしゃっていた白髪ぼかしのメリットのひとつ、「頭皮や髪へのダメージが軽くなる」というのは、「白髪染め」を使用しないからですか?
矢作:はい、そうです。ファッションカラーに比べて、白髪染めは髪へのダメージが大きく、頭皮への刺激も強いです。ですから白髪染めをやめることでこういったダメージは軽減されます。さらに、ヘアカラーの頻度も抑えられるので、髪へのダメージはより軽減されます。
すでに白髪染めをしている人は、まず「白髪染め落とし」からスタート
セトッチ:自分の好きな色に染められるというのはうれしいですね。
矢作:そうですよね。ただ、すでに白髪染めをしている方の場合は、そこに明るいファッションカラーをあとから入れることはできないので、これからご説明するふたつのどちらかの方法を選ぶことになります。
ひとつは、全体をブリーチして髪に残っている染料を落とし、それからカラーを入れるという方法です。
<全体をブリーチして髪に残っている染料を落とし、それからカラーを入れるという方法>
①来店時。 全体に黒っぽい白髪染めをしており、頭頂部に伸びた部分が白く見えている状態の人の場合。
↓
②まずは全体をブリーチして白髪染めを落とす。するとこんな髪色に。
↓
③オリジナルのカラーで自然なブラウンに染める
セトッチ:わー、素敵に仕上がってます。来店時とは別人のようです。
矢作:そしてもうひとつは、「育てる」という言い方をしていますが、根元をうちの店のカラーで染めて、その部分が増えていくのを待つという方法です。
髪が伸びていったら先端をカットしていくので、徐々にうちのカラーで染めた部分が増えていくという感じです。
セトッチ:どちらの方法を選ぶかはどうやって決めるんですか?
矢作:現在の髪の状態と、お客さまの希望によってですね。
来店時に白髪が多い人はブリーチで白髪染めを落とす必要がなく、うちのお店のカラーだけですごくきれいな色が出ます。要は元の髪色が白なので、何色を入れてもきれいに出るわけです。極端に言えば真っ青にもできるし、ピンクにもできる。もちろんベージュや茶色にもできる。
ご自身の白髪が多ければ多いほど、色をつけやすくなるんですよ。
ギリコ:白髪があることがアドバンテージになるということですね! それはうれしいです。今まで白髪は厄介ものだと思っていたので、隠すどころか、白髪があるおかげで若い頃にはできなかった色にできるなんて!
矢作:もともとうちの店で使っているカラー剤は、「白髪染め用」よりもダメージが少ないですが、白髪が多くてブリーチが不要の場合は、さらにダメージが減るので、それもメリットです。
施術にかかる時間もブリーチをしない分、短くなりますし。
何よりも髪の毛がどんどんきれいになっていきますね。
他店の「白髪ぼかし」との違いは?
ギリコ:それにしても矢作さん、お若いのに(取材後に聞いてみたら31歳でした)どうして白髪悩みに向き合おうと思ったのですか? 私たちと同年代の方がやっていらっしゃるのだろうとイメージしていたので、最初は内心びっくりしてしまいました。
矢作:それは、やはり以前勤務していたサロンで白髪の悩みを持っていらっしゃるお客さまを担当することがあって、「どうしたら白髪が気にならなくなるかなぁ」と考えることから始まったと思います。
それに、僕自身にも白髪はあって、外国人風カラーと呼ばれているようなハイライトを入れることも多く、白髪がある状態でどういう施術をしたらよいかみたいなことは考えていました。どういう染め方をしたらいいかとか、よい染毛剤はないかとか、そんなふうに考えていたことを、白髪ぼかしの技術に応用していったのかなと思います。
ギリコ:なるほど。そうやって生み出したオリジナルの技術なんですね。
インターネットで検索すると、ほかにも「白髪ぼかし」というような技術を謳っているお店はあると思いますが、他店との一番の違いはなんでしょうか?
矢作:おそらくですけど、他店では白髪の部分は染めずに、白髪ではない部分にハイライトを入れて、白髪を目立たなくするというのが主流だと思います。
うちの店の場合は、白髪自体を好きな色に染められるというのが一番の違いだと思っています。言ってしまえば「白髪をなんでも好きな色に染められる」のです。
グレーヘアもミルクティーカラーにも、濃いマロン系の色みにも。
そうやって白髪だからこそ、きれいにできるカラーやスタイルがあって、それを楽しんでもらうというのがうちのお店ならではと思います。
セトッチ:どんなスタイルにもできるって、なんだかワクワクしてきました。実際、どんなスタイルができるのか見せていただけますか?
住所:東京都渋谷区神宮前6-10-4 COMS神宮前3・4階
電話:03-6427-3564
営業時間:9:00~22:00 最終受付カット21:00/カット+カラー20:00
住所:東京都港区南青山5-13-2 CISCビル5階
電話 :03-6451-1730
営業時間:9:00~22:00 最終受付カット21:00/カット+カラー20:00
●メニューと料金の一例
脱白髪染めカラー+白髪ぼかしハイライト ¥16,500 (税込)
白髪染め落とし(ダブルカラー) ¥17,600(税込)
取材・文/瀬戸由美子 画像提供/Heart’s 脱白髪染め専門サロン