【お話を伺った方】
2012年美容師免許取得。青山・原宿エリアの有名店で研鑽を積んだ後、2021年に1店舗目の「Heart's 脱白髪染め専門サロン」を原宿、2022年に2店舗目の「Heart's 脱白髪ぼかし専門サロン」を青山にオープン。わずか3年で、2店舗合計で1年間に約1万人が訪れる人気店に。白髪の悩みに寄り添った丁寧なカウンセリングが好評。
なんと白髪が多いほどきれいに仕上がる!オリジナルの「染めテク」
セトッチ:この連載の担当となってからというもの、夜な夜な、よい白髪対策はないかとネットを検索しているというOurAge編集部のギリコさんが、あるときたどり着いたのが原宿にある「Heart’s 脱白髪染め専門サロン」でした。
私もギリコさんにサロンのホームページを見せてもらい、そこにある「脱白髪染め」とか「白髪ぼかし」とはどういう施術なんだろうと興味を持ち、こうして二人で取材に訪れたわけですが、代表の矢作さんの説明(前回の記事URLを貼る)で「脱白髪染め」「白髪ぼかし」の内容がだんだんわかってきました。
白髪を黒く濃い色に染める一般的な「白髪染め」は行わず、ファッションカラーを使って好きな髪色を楽しみながら、新しく生えてくる白髪が目立たないようにするという染め方なんですね。
矢作:はい。「白髪だからこそ好きな色が楽しめる」という技術ですから、白髪が多ければ多いほどきれいに染まります。
セトッチ:つまり、白髪があることがアドバンテージになるということですよね。今まで白髪なんて厄介なものだと思っていたOurAge世代にとって、これほどうれしいことはありません。希望が湧いてきました!
矢作さんが、カウンセリング動画をアップしているインスタグラムは、フォロワーの数が2万6000人とのこと。
白髪に悩む女性がカットとカラーで素敵なスタイルに変身した動画がいっぱい上がっています。
<来店時>
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<施術後>
これ見ていたら、きっとみんな「私もこうなりたい」と思うでしょうね。
髪の悩みや希望の色・スタイルを、丁寧に尋ねるカウンセリング
ギリコ:それにしてもお客さんの髪質や髪悩みは、人によってさまざまですし、これまでにどんな白髪染めをどのくらいしてきたのかという〝履歴〟も、人によってまったく異なります。
それに加えて、これからやりたいスタイル、なりたい髪色も違う。
矢作さんは、こんなに複雑な要素にどうやって対応しているのでしょうか?
矢作:まず徹底的なカウンセリングです。
うちのお店の最大の強みは「カウンセリング」が充実していることだと思います。
どんな髪色、スタイルにしたいのか、今までどんなヘアカラーをしてきたのかなどを、すごく時間をかけてお客さまにヒアリングします。
セトッチ:そのヒアリングは、お一人にどのくらい時間をかけますか?
矢作:新規のお客さまでしたら、施術前のカウンセリングだけでも20分以上はいろいろお話しさせていただきます。
そしてそれで終わりではなく、施術を開始してからもさらに情報を引き出します。
例えば今までどんな髪悩みを持っていたのか、どんなライフスタイルなのか、好みの色は何、今後どんなイメージにしていきたいのかなど。
ヘアスタイルを作っていくうえでヒントになりそうなことをいろいろ伺っていきます。
特にヘアカラーの履歴については、かなり詳しく教えていただくようにしています。
どういう美容室に行って、どういう染め方をしたことがあるのかとか。
来店2~3回目くらいまでは、このように施術中もずっと、なるべく髪に関する情報を引き出そうとして話をしていますね。
セトッチ:そういえばこのサロンはマンツーマンで施術をしている、ということでしたね。
矢作:はい。最初から最後まで、一人の担当者が施術します。
セトッチ:こんな色、こんなスタイルになりたいという見本として、画像を持ってきてもいいですか?
矢作:もちろんです。お客さまの好みを知るための情報はなんでも貴重です。
とはいっても過去にしたヘアカラーの色が残っている場合など、今のお客さまの髪の状態によっては、その日すぐにご希望の色にはできないと判断することもあります。
そういう場合には、きちんと「できない」ということ、そしてなぜできないのかその理由をお伝えするようにしています。
「できること」と「できないこと」をしっかり理解していただいたうえで、一緒に理想の髪を目指していきましょうというのが僕のスタンスです。
もともとヘアマニキュアやヘナをしているお客さまの場合なら、1回の施術ではお好みの色にできない場合もあります。その場合は施術前にそのことをお伝えするのですが、それもただ「ヘアマニキュアをされているのでできません」ではなくて、なぜできないのかを染毛のメカニズムから説明します。
セトッチ:メカニズムからというと?
矢作:髪が染まるとき、染毛剤がどのような働きをして髪が染まるのかということです。
「髪の毛の表面はキューティクルで覆われていて、ヘアカラーとは、染毛剤をつけることで、髪のキューティクルを一度開いて、中の黒い色素を抜いて新たに色を入れること。
一方、ヘナやマニキュアは、キューティクルを開かず、キューティクルの表面にペンキのようにコーティングをするという方法。
だから、表面がカラー剤でかっちりコーティングされていると、キューティクルをあけて、中に新しい色を入れることはできないです」という感じの説明ですね。
カラーもスタイルも「おまかせ」というオーダーには、骨格診断やカラー診断の知識で
セトッチ:こんなにいろいろな白髪悩みに対して個々に対応してくださる美容師さんだと、「カラーもスタイルも矢作さんにおまかせ」というようなオーダーも多いのではないですか?
矢作:そうですね。ありますね。
セトッチ:そういう場合は、どういうところを見て、似合いそうな髪色、スタイルを決めていくのですか?
矢作:僕は、骨格診断やカラー診断も学んでいるので、そういったところからのアプローチもしていきます。
顔の形、肌、瞳、眉の形や色などを見て判断します。
あとは、こちらから質問をすることもあります。「チークだったらピンクとオレンジどちらが好み?」とか。
<来店時:よく見かけるいわゆる〝茶髪〟だった方>
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<施術後:こんなニュアンスのあるカラーに>
矢作:これは相当いろいろな要素が絡む複合的なことなので、ひと言では説明できないのですが、それらの情報をもとにカラーやスタイルを判断するのが美容師の経験とか知識、センスの見せどころです。
髪のうねりや縮れは酸性ストレートパーマで
セトッチ:私たちの年代になると、白髪だけでなく、髪のボリュームダウンとか薄毛などさまざまな髪の悩みが出てきますが、こうした悩みにも対応していただけるのでしょうか?
矢作:もちろんです。うちのお店で多いのは、年齢を重ねたことで出てくる「うねり」や「縮れ」といったクセ毛ですね。それでスタイルが決まらないと悩んでいる方はすごく多いです。
こういった方たちには、縮毛矯正よりもダメージの少ない酸性ストレートパーマをおすすめしています。
髪にツヤも出て、すごくきれいな髪になります。
<酸性ストレートパーマをかけた髪>
また、通常のパーマは髪や頭皮へのダメージを考えるとおすすめしていませんが、この酸性ストレートパーマであれば、カラーと同じ日に施術できます。
セトッチ:白髪を染めるだけではなくて、いろいろな髪の悩みに応えてくださるんですね。
矢作:僕たちの仕事は一度サロンに来ていただいて、そのときにスタイルを作ったら終わりではないんです。
その方の髪に長くお付き合いしていくことで、一緒に理想の髪を作っていくということをテーマにやっています。
ですから長期プランを立てて、生涯お付き合いをさせていただきたいと思っています。
ですから、最初に来ていただいたときには髪の状態を見ながら、
「お客さまがなりたい髪」
「僕が今、施術でかなえられること(今できる施術の限界)」
そして、
「2年後にはどうありたいのか、お客さまが理想とする髪の状態」
の3つを明確にし、この3つがうまく噛み合う着地点(施術プラン)を探します。
もちろん、初回来店時にも、お帰りになるときに満足していただけるスタイルに仕上げる自信はありますが、その先のお客さまが望むもっと高い理想へと向かうお手伝いをしていきたいですね。
<うねりが強く白髪率60%の方>
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<施術後:矢作さんのセンスとテクニックでこんなに素敵に!>
医療でいえば「かかりつけ医」みたいな存在に。長く付き合い、理想の髪をお客さまと一緒に作り上げていく
セトッチ:ここまで聞いていて本当にいいことずくめだなぁと思うのですが、気になるのは料金です。
これだけ手間と時間をかけ、オリジナルの技術で仕上げてくださるわけですから、やはりお値段は高くなりますよね?
矢作:うーん。どうでしょう。もちろん安くはないです(※脱白髪染めカラー+白髪ぼかしハイライト ¥16,500)。
でも、かけている時間と手間を考慮すると決してものすごく高いわけではなく、このエリアの他のサロンの料金からから見ても一般的な相場だと思います。
繰り返しになりますが、僕の「白髪ぼかし」の技術はオリジナルなもの。
どこかに存在していたものでもはなく、誰かに教わったものでもありません。
自分で試行錯誤を重ねて、経験を積み、作り上げてきたものです。
そうやって積み上げてきたことに対して、料金という対価をいただいていると思うのです。
それくらい自分自身「頑張ってきた」「積み上げてきた」という自負はあります。
だから培った技術の安売りはしたくないと思っています。
セトッチ:サロン紹介サイトのようなところでもらえる割引クーポンを使うと、少しお安くなったりしますか?
矢作:いえ。うちは初回がいちばん高いんです。
僕は初回を安くするのではなく、長く通ってくださる方の料金のほうをリーズナブルにしていくべきでは、と思うのです。
セトッチ:なるほど。それにしても、それだけの技術をスタッフに浸透させていくのは大変ですね。
スタッフの指導は矢作さんご自身でやられるのですか? お店は2店舗(原宿の「Heart’s 脱白髪染め専門サロン」と南青山の「Heart’s 白髪ぼかし専門サロン」)ありますが、スタッフは何人いますか?
矢作:スタッフは僕を含めて2店舗で13名になります。
技術はもちろん僕が教えていますし、僕自身もまだまだ勉強をし続けているところです。
染毛剤も商品設計は日進月歩で、どんどん新しいものが出てきますし、お客さまの嗜好も時代とともに変化していきます。
ですから美容師という職業は、一生勉強を続けていく職業だと思っています。
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ギリコ:取材お疲れさまでした。白髪に悩む人たちの心強い味方というサロンでしたね。
セトッチ:お話を聞いていたら、私もぜひ矢作さんに髪を染めてほしい〜と思いました。
ギリコ:そうだ!セトッチさん、このあと同窓会やお祝い言などのイベントはありませんか?
そこに向けて、素敵に変身するなんていう計画を立てるのもいいかもしれませんよ。
たとえば同窓会が半年後にあるとすれば、そこに最高の髪で行かれるように今のうちから矢作さんに相談してみるとか。
セトッチ:同窓会! 確かに一大イベントです。いちばんキラキラしていたい場です!
住所:東京都渋谷区神宮前6-10-4 COMS神宮前3・4階
電話:03-6427-3564
営業時間:9:00~22:00 最終受付カット21:00/カット+カラー20:00
住所:東京都港区南青山5-13-2 CISCビル5階
電話 :03-6451-1730
営業時間:9:00~22:00 最終受付カット21:00/カット+カラー20:00
●メニューと料金の一例
脱白髪染めカラー+白髪ぼかしハイライト ¥16,500(税込)
白髪染め落とし(ダブルカラー) ¥17,600(税込)
取材・文/瀬戸由美子 画像提供/Heart’s 脱白髪染め専門サロン