忙しい、面倒……言い訳ばかりしていると、キレイはどんどん遠ざかります。
~書籍「十和子道」P11より~
<担当編集者からみたこの言葉の背景>
「十和子道」の撮影は80%をご自宅で行わせていただき、10%が十和子さんの勤務先であるFTC、最後の10%がロケ(誉幸さんとよく行くお店やお子さんがまだ小さい頃住んでいたエリアの児童公園にてなど)だ。
実は十和子さんのご自宅で撮影させていただいたのは「十和子道」が初めてではない。
10数年前、取材でお邪魔したのが最初だ。
当時のお住まいはキッチンのすぐ横にこじんまりとした部屋があって、伺ったときドアは開け放たれていた。
中をちらっとのぞくとそこには娘さんの絵本やぬいぐるみ、おもちゃなどが。
キッチンで家事をしながらお子さんを見守ることができるようにその部屋を子ども部屋にしたのだとすぐわかった。
リビングで取材の準備をしている私たちを好奇心いっぱいの様子で見ていた上の娘さんがしばらくすると「○○さん(ギリコの苗字)こっち」と私の手をとって家の奥へ引っ張っていった。
連れていかれたのは洗面所。
そしてこう言った。
「あのね、ママはここでお化粧するんだよ。ママのものはここに入ってるよ」
傍らの棚の扉をパッと開けて中を見せてくれた。
そこにはボディクリームやシャンプーがしまわれていた。
幼いのに(確か小学生になったばかりか幼稚園の年長さんだったと思う)私たちの来訪目的、つまり〝ママがふだんおうちでどう過ごしているかを聞きにきた〟をいつのまにか理解している利発さに驚いた。
そして取材の役に立ちたいと思ってくれているんだな、とうれしかった。
あとで十和子さんに娘さんの案内で棚の中を見せてもらったことを話し、なぜシャンプーが棚の中に入っているのかきいた。
私にとって使いかけのシャンプーとはお風呂場に置かれているはずのものだった。
「お風呂からあがるときシャンプーとかボディソープなんかのボトル類は水滴を拭いて棚の中にしまっているんです。
お風呂に置きっぱなしだと容器の底がぬるぬるしてくるし、ない方がお掃除もしやすいですよ」
〝忙しい、面倒……言い訳ばかりしていると、キレイはどんどん遠ざかります〟
これは美容だけではなく家事にも当てはまる言葉だと思う。
取材を終えて片づけをしていたら、今度は下の娘さんに手を引っ張られた。
「ねぇ、こっちこっち。
○○さん(ギリコの苗字)に内緒のことを教えてあげる」
内緒のこと?
誰もいない廊下へ出ると、しゃがんだ私の耳に顔を寄せ、声を潜めて言った。
「あのね……
パパとママってケッコンしてるんだよ」
えぇ本当?知らなかった、と驚いたふりをしたら
「ね、すごいでしょ。
内緒だよ」
とにっこりした。
(今もシャンプー類はバスルームに置きっぱなしにせず水滴を拭いてから洗面所の棚に/「十和子道」電子版「エブリディ十和子」より)
あのときのかわいい取材協力者たちは、大きな瞳が印象的な素敵な女性に成長している。
冒頭の写真で十和子さんが来ている赤いシャツはこの娘さんたちと共有のものである。
十和子道を始める際、服は全部私服で登場してもらえるようお願いし、巻末には『本書の取材で着用した十和子さんのファッションアイテム』というページを設けた。
服だけはなく靴やバッグ、アクセサリーも紹介されているのでぜひのぞいてみてほしい。
撮影/本多佳子、冨樫実和
*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点
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電子版には特典としてプライベートを含む計276点の写真とコメントを特別編集した「エブリディ十和子」がついています!