天野佳代子さん
1957年生まれ。音楽ライター、美容専門誌「美的」の編集者、「美的GRAND」の編集長を経て、美容ジャーナリストとして独立。豊富な美容知識と経験に裏打ちされた説得力あるアドバイスで大人気に。美容だけでなく、作家や漫画家、作詞家としての経歴もある多彩な才能の持ち主。
変わってきた顔の印象に戸惑い、「どうメイクしていいのかわからない」と迷う人も多いOurAge世代ですが、天野さんのメイク理論は実に明快です。
「老けた印象をつくり出す部分にポイントを絞るんです。まず何より目元や口元のしぼみ感。カラーにこだわるより、まずここにひと手間ふた手間かけるようにしています。
まばらになったまつ毛や足りない目力を補うために、私は目的別にアイライナーを3本使います。アイライナーにはリキッドやジェルなどの形状がありますが、線を際立たせる、影をつけるなど、それぞれに向く“仕事”があって、併せて使うとアイメイクが効果的に仕上がります。
しぼみが気になる唇のフォルムも、リップペンシルで必ず輪郭を調整。ベージュのライナーで少しオーバーぎみに描くと、どんな口紅を重ねてもふっくら仕上がります。このふたつをしっかりフォローするだけで、印象って意外と簡単に変わるんです」
大人の目元を若返らせる3つのアイライナー
【上】下まつ毛際にはワントーン明るめのブラウンを使用。ラブ・ライナー リキッドアイライナーR4 ダークブラウン¥1,760/msh
【中】上まぶたの際に自然な影を演出してくれるジェルライナー。CLIO エクストリーム ジェルプレッソ ペンシルライナー 02¥1,540/CLIO COSMETICS
【下】上まつ毛の根元を埋めるのに最適な細筆。ヴィセ エクストラシャープ リキッドライナーBR311¥1,320(編集部調べ)/コーセー
アイシャドウをなじませたあと、【下】のヴィセのリキッドライナーを、まつ毛の間を埋めるようにのせていきます。「まつ毛とまつ毛の間が空いていると目が小さく見えて、どんなアイメイクをしても目力が弱いままです。まずはここを細筆でしっかり埋めます」
下まつ毛の際にも同様にアイラインは必要。「上まぶたに使ったものより、ワントーン明るいブラウン【上】で仕上げて、ライナー感を主張しないのがコツです」。リキッドタイプのアイライナーで筆先を置くようにして埋めていきます。
【中】のジェルライナーを、先にまつ毛際を埋めたラインの上に引いて、まぶたの際に影を足していきます。「少し内側の粘膜にかかる感じでのせ、最後にまつ毛の内側の粘膜に黒目の幅だけラインを入れます。黒目が大きく見えて目力が格段にアップします」。 このあとマスカラを塗って、アイメイクを仕上げます。
肌なじみのいいベージュのリップライナーは、しぼみ唇解消の切り札に
唇の形を補整するリップライナー。なじみカラーで自然な血色感を演出。RMK リップベースライナー 01¥2,750/RMK Division
リップライナーは、実際の唇よりほんの少し大きめに描くのがコツ。「忘れがちな上下の口角を際立たせることで、唇全体がボリューミーになるので、このように口を開けて口角までしっかりと。ラインはあくまで唇のフォルムを調整するためのものなので、目立ってはダメ。肌なじみのいいベージュを使うのがポイントです。輪郭を調整して内側を塗りつぶせば、ベースのリップは完成。この上に口紅を重ねて、いろんな印象を楽しんでいます」
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/広瀬あつこ 取材・文/北林道子