微生物の働きを肌にも生かす菌活スキンケアが人気に
新型コロナウイルス感染者の急増で、一時は世界一のホットスポットとなったNY。自粛生活期間にニューヨーカーが注目したのは、腸だけでなく肌にもいる常在菌に着目した「マイクロバイオーム(ヒト体内の微生物叢)」を生かした美容法。NY在住のエディター・黒部エリさんが話題の製品をリポートします。
健康のために腸内フローラのバランスに気をつけ、善玉菌を増やすという考え方は、すでにアワエイジ世代にはおなじみのもの。2016年にオーストラリアで設立された「ビューティ シェフ」は、アメリカでの腸活美容の先駆者といえます。バイオ発酵させた玄米、ターメリック、ざくろなど自然の素材を配合したパウダーを毎日摂取することで、腸内フローラを健やかに保ち、内側から健康と美に導きます。
「グロウ インナー ビューティ エッセンシャル」。18種類のオーガニックなホールフーズを原材料とし、内側から美肌に。毎日ティースプーン1杯のパウダーを、水か常温の食べ物に混ぜて摂取するのがおすすめ。
皮膚の常在菌を活性化させて、肌本来の力を引き出すスキンケア
プロバイオティクス(人体によい影響を与える微生物)をスキンケアに応用したのが「マザー ダート」。腸内と同じく、皮膚にも本来はいい菌が常在しています。洗顔で衛生を保つのはいいことですが、常在菌を排除しすぎると、自然な肌の力が生かせなくなります。
そこで善玉菌を補充するのが「AO+ミスト」。生きたプロバイオティクスを含むスプレーで、アンモニア酸化細菌(略してAOB)を配合していることがポイントです。
この細菌はもともと皮膚にいるもので、汗(アンモニアと尿素)の刺激成分を変換し、皮膚に利益をもたらす副生成物に変換。その働きで肌を健やかにします。
主要商品の「AO+ミスト」には生きた培養アンモニア酸化細菌(AOB)を配合。洗顔後に吹きつけることで、皮膚のバイオームを活性化させます
泡状のクレンザーが善玉菌を取りすぎることなく、汚れを除去します。「バイオーム・フレンドリー フォーミング クレンザー」。
プロバイオティクスとスーパーフード! マイクロバイオーム活用のスキンケア
そして自粛生活期間中に前年比6倍と驚異的な売り上げを達成したのが、NYを拠点とする自然派スキンケアブランド、「トゥーラ スキンケア」です。NY大学の胃腸専門医であるロシニ・ラージ博士とビジネスパートナーによって設立されたブランドで、マイクロバイオームのスキンケアであるのが特徴。ラージ博士が患者の肌にプロバイオティクスのクリームを施したところ大きな改善が見られたことから、スキンケアにも微生物を生かすことを発案したそう。
プロバイオティクスとスーパーフードが原材料として使用されていて、肌を自然なバランスに整えて潤いに導きます。腸だけでなく、肌にも菌活の時代がやってきそうです。
左:ベストセラー商品「24-7 モイスチャー ハイドレイティング デイ&ナイト クリーム」。プロバイオティクス成分に米由来のペプチド、すいか抽出成分、スクワランなどを配合。
中:「フェイスフィルター ブラーリング モイスチャライジング プライマー」。プロバイオティクス成分にリコリスやチアシードを配合。皮膚の色調を明るく整える効果があります。
右:「ピュリファイング フェイス クレンザー」。プロバイオティクスを生かしたジェルクレンザー。ビフィズス菌培養溶解質が、肌の潤いを保ちながら汚れを取り除きます。
NY大学の胃腸専門医であり、トゥーラの創業者、ロシニ・ラージ博士。プロバイオティクスの専門家としてスキンケアを開発
取材・原文/黒部エリ