できてしまったシワは二度と消えないもの、とあきらめていませんか? 大人ならではのシワができる仕組みを知れば、シワ撲滅への道が見えてきます。そう、シワは心がけと取り組み次第で消せるのです!
お話を伺ったのはこの方々
皮膚科医
髙瀬聡子さん
ウォブクリニック中目黒総院長。東京慈恵会医科大学卒業。皮膚の知識の深さ、肌悩みを解決するケアの解説のわかりやすさから、各メディアで引っ張りだこ。お問い合わせはコチラのHPから
ポーラ 研究員
斉藤優子さん
1999年、ポーラ化成工業入社。美白製品(ホワイトショット LX、MX)やシワ改善製品(リンクルショット メディカル セラム)など数々のヒット作の開発に携わる
原因はひとつじゃない!
大人のシワは複合的に起こっている
一度できてしまうと、なかなか消えないシワ。それは原因がひとつではないから、と髙瀬聡子先生。
「乾燥や表情グセがシワを作ることは皆さんご存じですが、実は光老化などその他の原因を放置し、知らず知らずのうちにシワを加速させていることに気づいていない人も。特に、光老化はシワの元凶。紫外線はしみを作るだけではないのです。またブルーライトや近赤外線もダメージを与えますので、さまざまな光から肌を守る必要があります」
今は、これらの光からマルチに肌を守ってくれる日焼け止めがあるので、それを日常的に塗ることが、シワ対策の第一歩です。
「潤い不足は肌の柔軟性を奪い、表情による『折りジワ』がつきやすい状態になってしまいます。朝晩のスキンケアで、しっかり水分と油分を補うことが必須です」
夏の間、暑さのせいでお手入れが不足していたら、秋からはシワが急増。今こそ、お手入れの見直し時です。ポーラの斉藤優子さんは、シワを修復する肌本来の力を呼び覚ますことが大事だと指摘します。
「肌には、本来シワを修復する力があります。シワが増えるのは、受けるダメージが修復力を上回ってしまうから。ストレスを感じたらリフレッシュしたり、排気ガスの多い道を歩いた日は帰宅後すぐに洗顔するなど、ダメージをなるべく減らすよう心がけましょう。十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事、日々の丁寧なスキンケアは、シワを修復する力を伸ばします」
シワのできる主な原因とは…
肌は光をブロックしきれず吸収してしまう
屋外では太陽光に含まれる紫外線や近赤外線、室内でも、パソコンやスマホ、テレビなどのディスプレイから発せられるブルーライトなど、肌はいろいろな光を浴びています。それぞれ肌のさまざまな深さまで到達し、組織にダメージを与えてシワの原因に。
UVA
紫外線の中でもUVAは、真皮の下層まで到達。UVBに比べてエネルギーは弱いものの、繰り返し浴びることで真皮のコラーゲンを破壊。弾力を失い、深いシワを招きます。
UVB
紫外線の中で、UVBは表皮から真皮上層までの浅いゾーンに届く光。エネルギーが強く、短時間でも炎症を起こし、表皮を乾燥させて真皮のコラーゲンを分解、シワを招きます。
ブルーライト
パソコン、スマホ、テレビから発せられるブルーライトは、紫外線に比べエネルギーは弱いものの、真皮まで到達。至近距離で長時間浴び続けることで、ダメージが蓄積されます。
近赤外線
太陽光に含まれる近赤外線は、エネルギーは弱いけれど皮下組織まで到達。皮下組織の皮膚支持帯を分解し、たるみを招きます。ほうれい線などたるみからできるシワの原因に。
柔軟性を失い、表情による折れ曲がりがシワ化
保湿不足や夏の間の紫外線によるダメージ、エアコンなどの影響で、肌は乾燥し、角層の水分量が低下。潤っていない肌は、柔軟性がダウンし、表情による肌の折れ曲がりが深くなります。繰り返し同じ場所が折れ曲がることで、それがシワとして定着!
糖質過多、タンパク質やビタミンの不足がシワを呼ぶ
糖質のとりすぎで糖化した「黄ぐすみ肌」は、角層の水分量が低下し、コラーゲンが弾力性を失います。またタンパク質の摂取が減ると、コラーゲンの元となるアミノ酸が十分に供給されないため、シワができる原因に。代謝に必要なビタミン、ミネラルの不足による肌の代謝ダウンもシワを招きます。
活性酸素を発生させ、ダメージからシワに
大気汚染物質には、窒素酸化物や硫黄酸化物、PM2.5などの微粒子があります。肌の上の汗や皮脂に溶け込んだり、毛穴やきめに入り込んだりして、そこに留まることで活性酸素が発生。肌に炎症が生じ、シワの原因になります。
ストレスホルモンの影響でシワができやすい肌に
精神的にストレスを受けたり、睡眠不足だと、血液中にコルチゾールというホルモンが増加。コルチゾールは、表皮細胞の潤いの元であるフィラグリンを減らし、真皮細胞がコラーゲンを生み出す力を阻害。カサついて弾力を失った肌はシワができやすくなります。
女性ホルモンの応援がなくなり、コラーゲンが激減
そもそも女性ホルモンには、真皮細胞がコラーゲンを生み出すのを促す働きがあります。更年期以降、女性ホルモンの分泌が大幅に落ち込むと、作り出されるコラーゲンの量も激減。肌に内側から押し上げられるようなハリ感がなくなり、シワができやすい状態に。
イラスト/きくちりえ(Softdesign)<肌断面図> いい あい<キャラクター> 取材・原文/小田ユイコ