こんにちは、『元気が出るお金の相談所』所長の安田まゆみです。
今回は不動産会社事務員T子さん(55歳)を例にあげ、
「〝友達親子〟は老後貧乏になりやすい?!」
というテーマでお話ししたいと思います。
〝友達親子〟って、きいたことありますか?
友達感覚で何でも話したり、一緒に遊び行ったりする親子関係のことです。
実は最近、この〝友達親子〟という関係ゆえに起きるお金のご相談が多いのです。
T子さんは、夫(58歳)、社会人2年目の長女(22歳)と専門学校を来年卒業予定の次女(18歳)と暮らしています。
自宅は築30年を超えたものの、東京の下町エリアにある持ち家で戸建て。
現在の貯蓄は500万円だそうです(次女の学費分を除く)。
現在T子さんの年収は約200万円、下町エリアにいくつか店舗を持っている不動産会社の経理担当をしているそうです。
自営業の夫の年収は約400万円。
夫婦合わせて年収は約600万円です。
T子さんの悩みは
〝とくに贅沢をしているわけでもないのに、お金が貯まらない〟
〝夫は自営業で退職金は出ないし、これからお金のかかることが出てきそうだというのにどうしよう〟
T子さんがいう〝これからお金のかかること〟とは、具体的には
「上の子が、この先3年以内には結婚するかもしれない」
ということでした。
「結婚式には、お金がかかるでしょう。
かといって、親戚の手前、地味婚なんてお金が無いみたいで恥ずかしいし……
私の両親にとっても長女は初孫で、孫の中でも特別な子なので、
ちゃんとしたホテルで披露宴をして、立派な晴れ姿を見せてやりたい。
けれどそれに出費しちゃうと、今度は私たちの老後資金が激減します。
自宅のローンは完済しているので、夫婦合わせて年収600万円なら、世間から見たら驚くような低い年収じゃないですよね?
ふたりの娘を短大と専門学校へ何とか進ませ、これからはやっと老後のための貯金ができると思ってたんですけど
なかなか貯まらないんですよねぇ。
なのに電車で雑誌なんかの吊り広告をみると〝老後の資金は最低3000万円必要〟なんて書いてあって、ギョッとします。
ほかの皆さんは、どうやっているんでしょうか?」
つまりは
・共働きにもかかわらず、マスコミがいうような老後資金は、貯まっていない。無理だ。でも気にはなる。
・子供の教育だけは、最低限のお金はかけてきたが、それ以外の支出、とくに贅沢だと思うような支出はしていない。
・うちと同じような状況なのにお金を貯めることができている家は、本当にあるのか。あれば、その方法を知りたい。
ということ。
実は私のところへご相談にいらっしゃる方の多くが、この
「共働きしているのにお金が貯まらない」
「贅沢をしていないのにお金が貯まらない」
パターンに当てはまる方。
これって、T子さんには失礼ですが、
典型的な貯まらない病
なんです。
「共働き=お金が貯まる」。
「贅沢をしない=お金が貯まる」。
と、多くの方は思っているんですが
違います。
確かに
夫一人が働くより、妻も働けば、世帯収入が増えますので、お金が貯まる可能性は広がります。
贅沢をしない=その家庭にとって不必要な物や不必要なことにお金を使わない、のであればお金は貯まります。
でも、、、
この考えには、大きな落とし穴があるんですよ~。
さぁ、一体それはどんな落とし穴なのか、これからT子さんの例で具体的に解説していきますね。
※典型的なお金が貯まらない病のT子さん。
その治療法とは?
では、T子さんの状況を詳しくみていきましょう。
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T子さん 55歳……地元の中堅の不動産屋さんの本社で契約社員として働いていていて年収は手取りで200万円。
夫 58歳……会社員から転職をし、今は自営で住宅設備の工事会社を営んでいる。年収は手取りで400万円。
家計で使えるお金は夫婦合わせて手取りで約600万円。
自宅……築30年の戸建て。
住宅ローンは、夫が会社を辞めた際の退職金の一部も使い、コツコツと繰り上げ返済を続け、昨年に完済。
お子さん……社会人2年目の長女と専門学校生の次女の2人(次女は、あと1年で卒業)。
現在の貯金……次女の学費分を除いて500万円程度。
「やっと、これから自分たちの老後のお金を貯められる時期になったのに貯まらない」
「贅沢をしていないのに」
と繰り返し言うT子さんに、詳しく日ごろの生活の様子について、聞いてみました。
「掃除も片付けも嫌いではないので、家の中はきれいな方だと思います。
子どもも二人とも女の子ですから、部屋を汚すこともありませんし、壁紙の張替えなどのリフォームはしなくてもまだ当面は大丈夫だと思います。
お料理は特に得意な方ではないですが、作るのは苦にならないので、お惣菜を買うことは少ないですね。
家族で奮発した外食をするのも、娘や私の誕生日のような記念日くらいしかないですし。
住んでいるのは下町で物価もまあ安い地域だと思うので、食費にはあまりお金がかかってない方だと思います」
と、ここまでは、「贅沢をしていない」ようです。
そこで
「趣味とか楽しみは何ですか?」
ときいてみたら……
「趣味っていえるほどのことってないんですよねぇ。
老後の楽しみのために何か習った方がいいのかしら?
でも習い事すれば、またお金かかりますよねぇ。
……あ、楽しみはあります!
娘たちと休みの日に出かけることです。
先生、娘って厳しいことを言ってくるときもあるけど、年頃になってくると一緒に買い物したり、お茶したりと親子で楽しめることがでてきて楽しいですよねぇ。
女性って、もともとお買い物大好きじゃないですか。
でも、ひとりで買い物するより、娘たちとお買い物したりする方が何倍も楽しいんですよ。
安田さんも娘さんがいるからわかるでしょう?
〝ママそれ似合うよ。買いなよ。で、時々私にも貸して~〟とか、化粧品売り場で〝これいい色だね~〟っておしゃべりしながら買い物してるとき……
あぁ、娘がいてよかったって実感します。
買い物の後のランチもまた楽しいんです。
娘にパンケーキ屋さんやおしゃれなカフェに連れて行ってもらっておしゃべりするんですけど、カレの話や友達と今度行く旅行の話、職場で起きたできごとや人間関係の悩みごとなんかも友達感覚で話してくれるんですよ。
息子しかいない友達に話すと、ほんと羨ましがられちゃって大変(笑)」
おやおや?問題点のしっぽが、T子さんの発言から見えてきましたね。
「夫は〝またそんなに買い物して〟って非難がましくいうんですけど、〝私の働いているお金で買っているんだから、文句言わないでよ!〟って言い返しています。
まったく男親って……
おしゃれをしたい盛りの年頃の女の子の気持ちが、わからないですからね。
そもそもデパートでブランド品を買っているんじゃないし。
買い物っていったってショッピングモールで、数千円程度の物ばかり。
贅沢しているわけじゃないんです。
下の子は、まだ学生ですから、やっぱり洋服とか買うとなると親が出さなくては、十分なものを買えないですからね」
ここで、T子さんに聞いてみました。
「日ごろ贅沢をしていないとおっしゃっていますが、T子さんの考える〝贅沢〟って何でしょうか?」
「高いブランド品や化粧品を買うことだったり、高級なレストランに行って外食することだったり、派手な海外旅行だったり……
贅沢にお金を使うことだと思いますけど」
なるほど。
「贅沢にお金を使うっていうのは、他にはどのようなことが考えられますか?」
とさらにT子さんにきいてみました。
「うーん、そうですねぇ……。
どうしても必要なものじゃないものでも、欲しいものがあれば衝動的に買ってしまうことかしら」
「T子さんはそういうことはないですか?」
「衝動的に買ってしまうということはないですけど、娘たちと一緒にショッピングするときは、楽しいのでつい、予定以外の物も買います。
でもショッピングモールや近所の大型スーパーでのことだから……
安いものばかりだから……
贅沢ではないと思いますけど……」
T子さんの声が小さくなってきました。
「では、娘さんたちとのショッピングの予算はいくらと決めていらっしゃいますか?」
「えっ?予算ですか?
そうですね、、、、
特に決めていません。
その場のノリで、ランチにも行ったりしますから」
「先月はいくら使いましたか?」
「3~4万円だったと思います。
きちんと集計していないですけど」
「T子さんの考える贅沢にお金を使うというのは、お金のことを気にせずに欲しいものを買うことだっておっしゃっていましたよね。
娘さんたちとのショッピングは、どうでしょうか?
予算も立てずに買い物をして、いくら使ったかを集計もしていないって、お金のことを気にしないで買っていることと同じではないでしょうか?」
「……言われてみれば、確かにそうかもしれません。
贅沢な使い方をしていたのかもしれません。
でも、娘たちはおしゃれをしたい年ごろなのに、手持ちのお金が少なくて、少しは援助してあげないとかわいそうだと思うんですよ、親としては」
「カフェランチも必要ですか?」
「必要かと言われると、それは……。
ただ私のストレス解消にもなるし、娘たちの悩みを聞いたりするので、親子の大事な時間なんです」
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そうですね。
親子の時間を持つことはよいことだと思いますし、〝贅沢にお金を使う〟ことがあってもよいと思います。
私は、贅沢をしてはいけないと言いたいわけではないのです。
なぜかというと〝贅沢〟をしていても、お金は貯めようと思えば貯まるからです。
※〝贅沢〟をしてもお金は貯まる? 一体それはどういうこと?
気になる続きは次回をお楽しみに!
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