2014年より、日本気象協会と共同研究を行っているポーラ。「肌」と「気象」というそれぞれのビッグデータを活用し、気象環境が肌に与えるエリア別傾向などを探っています。
今までも、以前の記事「美肌グランプリ・ナンバー1美肌県はどこだ!?」で紹介した「肌荒風(はだあらしかぜ)」や、夏に山と海から吹き込んで毛穴の開きに影響する「毛穴熱風(けあなねっぷう)」という2つを発見・発表していますが、今回、3つめの新たな外部環境要因「肌荒大気(はだあらしたいき)」を発見したとして、記者会見が行われました。
左から、ポーラ化成工業 肌科学研究部 主任研究員の水越興治さんが「夏の肌に影響を与える要因」、ポーラ 美容研究室 研究員の紅本祐佳さんが「最適なお手入れ方法」、日本気象協会 気象予報士の平泉浩一さんが「夏の肌アレの原因となり得る気象環境」について説明してくださいました。
夏の肌に影響を与える要因
まずは、夏の肌に影響を及ぼす要因についてです。
「紫外線や乾燥に加え、大気汚染も肌に直接影響を与えることがあきらかになってきました」と水越さん。
PM2.5などの大気汚染物質、黄砂、タバコの煙、花粉などは角層細胞よりもはるかに小さいため、肌に付着すると進入しやすいのだそうです。そして肌に進入すると炎症が起こり、ターンオーバーの乱れを引き起こし…。その結果、角層が乱れて肌表面のゴワつきやくすみ、さらにはシミやシワへとつながってしまうことも!
スクリーンには、肌最表面から採取して染色した角層細胞の拡大写真が映し出されました。
「右の角層が乱れた肌は隙間が出来てしまっているため、外的刺激から肌を守る機能が低下している状態です。大気汚染物質もますます進入しやくなり、悪循環となってしまうのです」
う〜む。これは由々しき問題ですよ。
夏の肌アレの原因となり得る気象環境
次は、大気汚染の影響はエリアによってどんな傾向があるのか、気象の観点からのお話です。ポーラが集計した7月・8月(2010年〜2013年)の都道府県別の角層ランキングを基に、同時期の気象データと大気汚染物質データを組み合わせて分析したんですって。
「まずは角層ランキングワースト16道県に、UVインデックスと水蒸気密度のランキングを照らし合わせ、紫外線や乾燥で角層の状態が悪くなったと考えられる県を探りました」と、平泉さん。
そのどちらにも当てはまらなかった県に対して、大気汚染物質との関連性を調査し、「肌荒大気(はだあらしたいき)」があること、気象や地形の違いによって2つのタイプがあると発見したそうです!
その2つについて、次のページで紹介します。
「肌荒大気(はだあらしたいき)」には、「滞留型」と「流入型」の2つがあります。
「滞留型」に該当するのは新潟県、富山県、千葉県、滋賀県、広島県。が〜ん! ふみっちーの産地である「千葉県」が含まれています…。
上記5県は人口が多く、工業地帯があり、近くに山地がある地域。夏は風が弱いため、発生した大気汚染物質が滞留しやすく、肌荒れを起こしやすくなるのだそう。
「流入型」に該当するのは栃木県と茨城県。
他の地域で発生した大気汚染物質が海風に乗って運ばれてくることにより、肌荒れを起こしがちになるのだとか。皆さんが住んでいる地域は、どちらかに当てはまっていましたか?
最適なお手入れ方法
最後に、「肌荒大気」対策についてのお話です。
「私が住んでいるところは『肌荒大気』該当地域じゃなかったから安心」なんて思っていた人、そうも言ってられませんよ。どのエリアにも大気汚染物質の悪影響はあるわけですし、ポーラ 美容研究室の調査によると、汗や皮脂の量が増える夏の肌は、大気汚染物質の付着量が他の季節の肌と比較すると約3.7倍になることを確認したとか。
顔のどこにつきやすいのかも検証したところ、凹凸の凸部分のそば、つまり鼻の脇やほほ骨、眉骨、口の下のくぼみなどに多く付着することがわかったそうです。
「対策として、肌荒大気を洗い流すこと、肌への付着を防ぐメークを心がけていただきたいです」と、紅本さん。洗顔では、特に洗い流せているようで残りがちな部分、目頭、小鼻、あごのくぼみを意識して洗い、洗顔後の保湿もしっかりと! また、ベースメイクの仕上がりはサラサラ肌キープが肝心。夏は汗で落ちやすいし…などと日焼け止めや下地のみで済ませてしまう人もいるようですが、「下地+リキッドファンデ+仕上げパウダー」が肌荒大気を防ぐポイントになるそうですよ。
肌の天気予報をチェックして先取りケアを!
ポーラと日本気象協会による「美肌予報」のサイトでは、都道府県別に気象予報を基にした美肌指数が紹介されています。地域名をクリックすると、必要なケアのポイントなどがわかる仕組みで、毎月20日に更新されます。定期的にチェックして、肌トラブルに悩まされない先取りケアに役立てたいものですネ。