こんにちは、『元気が出るお金の相談所』所長の安田まゆみです。
前回の「仲良し〝友達親子〟は老後貧乏になりやすい?!」の続きですよ~。
相談者T子さんのプロフィール*************
T子さん 55歳……地元の中堅不動産会社で契約社員として働いており、年収は手取りで200万円。
夫 58歳……会社員から転職をし、今は自営で住宅設備の工事会社を営んでいる。年収は手取りで400万円。
家計で使えるお金は夫婦合わせて手取りで約600万円。
自宅……築30年の戸建て。
(住宅ローンは、夫が会社を辞めた際の退職金の一部も使い、コツコツと繰り上げ返済を続け、昨年に完済)
お子さん……社会人2年目の長女と専門学校生の次女の2人(次女は、あと1年で卒業)。
現在の貯金……次女の学費分を除いて500万円程度。
口癖……「贅沢をしていないのにお金が貯まらない!」
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私のところに相談に来られた方の多くが、今回のご相談者T子さんのように
「贅沢をしていないのにお金が貯まらない!」っておっしゃいます。
でもそれは……
自分のお金の使い方を正当化しているだけなのです。
贅沢をしていると認めてしまえば、
「ほら見たことか、贅沢をしているからお金が貯まらないんだ」
「そういう使い方をやめればいいんだ」
と周囲から指摘される、と内心ではわかっているんです。
でも
贅沢をしていても、お金を貯めようと思えば貯まります。
なぜかというと、お金を貯められないのは、「贅沢をしている」だけの問題ではなく〝計画的にお金を使っていない〟からなのです。
それを許しているのが
「共働き」という大義名分。
「自分も働いているんだから、この程度は、自由にお金を使ってもいいはず」
と思ってしまうこと。
ところが「この程度」の金額を具体的に決めていないので、ずるずるとお金を使ってしまう……
T子さんの現状もこれに当てはまります。
老後に必要なお金を貯めつつ、今後も娘さんたちと楽しく買い物やランチをしたいのであれば次ページでご紹介することをやればよいのです。
※老後資金も確保しながら、現在(いま)を楽しく暮らす方法があるなんて!
気になる続きは2P目をお読みください!
それは……家計簿をつけることではありません。
予算を立てること
です。
な~んだ、そんなことか。
と思ったあなた。
そうなんです!
〝そんなこと〟が、のちの人生(老後生活)を左右するのです。
T子さんの場合、まず予算を決めるのは、次の3つ。
①老後の生活のため毎月の貯金額を決める
②娘さんたちとのコスメやファッション雑貨といった買い物やランチ代は「レジャー費(お楽しみ費)」として考え、月に使う上限を決める
③自分の月のお小遣いをはっきり決め、それはどう自由に使ってもいいとする
そして月々のやりくりを考える際は、①~③を最初から支出に入れ、家計が赤字にならないように予算を立てるのです。
娘さんたちと使えるお金を「レジャー費」と決め、お買い物をしたりランチをしたりすれば、今までのようにレジャー費に「なんとなく」とか「とくに何も考えないで使う」というわけには行きません。
だってレジャーは、あくまでもレジャー。
なくなったら生きていけないようなものではないからです。
「この前はランチをしたけど、今日はお茶にしておこう」
「あともう少し待てばセールになるから、どうしても欲しいならそのときにまた来ようか」
というように工夫するようになります。
③の自分のお小遣いは1万円でも2万円でもいいのです、とにかく金額を決めてそれを自由に使うことは、ストレス対策になります。
例えば気分があがる素敵な日傘を買ったり、憧れの美髪のために高級ヘアケアアイテムを買ってみてもいいのです。
予算の範囲内なら。
家計の管理は簡単ではありません。
自分なりのやりくり法を見つけるには、時間もかかります。
でも面倒くさくても、自分でやるしかない。
なぜかというと、
誰も代わりにやってはくれない
からです。
でも知恵や工夫で貯めたお金は、老後、それまで頑張ってきた人生のご褒美として楽しめるお金になります。
お金は、予算(ルール)を守ろうと努力をする人を裏切りません。
前回の記事を読むと、T子さんはなんだかグズグズのお金の使い方をしている人のようにみえますが、実は老後の貯蓄にも気を配ってきた人です。
夫がサラリーマンを辞めて自営業になったときに、自分たちの老後のために年金保険に加入。
それぞれが65歳になったときから10年間、年に夫50万円、妻30万円の年金が支払われるプランです。
独立したばかりで夫の収入が少なく、小さな娘ふたりを育てるため専業主婦だった時でも、この年金保険だけは何が何でも払い続けようと保険料の捻出をしてきたT子さん。
家計管理の基礎体力はある方なのです。
家のローンも終わり、子育てが一段落して自分も働き始めて、ちょっと気が緩んでしまった(?)ゆえの現在の使い方を振り返りれば、「レジャー費」を使い過ぎていることに気が付くでしょう。
軌道修正は、比較的ラクにできるはずです。
そうすれば、老後資金はこれからでも十分に貯められます。
また「友達親子」は素敵な母娘関係でいいのですが、子どもの自立を阻む要因にもなりますので、注意が必要です。
2つの問題をはらんでしまうのです。
ひとつは親への依存体質。
若いころは収入が少なく、おしゃれをするにもひと苦労したという自分の経験から、子どもにねだられてつい買い与えたりしてしまうと、ずっと親に経済的に依存する体質になってしまう可能性があります。
もうひとつはやりくりを身につける機会を、子どもから奪ってしまうということ。
なんでも買い与えていると、ほしいものを自分のお金で買うためのやりくりを学ばせないことになり、いつまでたっても家計管理が身につきません。
自分でお金を貯めて買ったときの喜びや達成感も奪うことになります。
そしてそれが嵩じるとさらにコワイのが、、、、、
子どもが家庭を持ったとき
です。
家計管理ができないまま結婚した「オトナ」は、どうなると思いますか?
何かと親に頼る可能性が高いのです。
子ども(親にとっては孫)が生まれたりすれば、なおさら親にお金を出してもらおうとするのです。
例えば、、、、、
「七五三はレンタル衣装はいやだなぁ(=ママ、買って)」
「お友達はみんな幼児教室に通うんだって。うちも通わせたいんだけど…(=ママ、負担して)」
「ランドセルって長く使うんだから、いいものを買ってあげたい(=ママ、買って)」
などなど枚挙に、いとまはありません。
そのうちエスカレートして、孫の進学費用の援助までも……。
子どもと孫可愛さに、いちいち言うことをきいていたら、親の老後資金は確実に減っていきますね。
しかも親が高齢になり働けなくなると、収入は年金のみになるのです。
収入は年金のみに!
収入は年金のみに!
収入は年金のみに!
何度でもいいます。
収入は年金のみに!
そうなるとさらに貯蓄の取り崩しに拍車がかかり、そのうち今までのような援助はしたくてもできなくなります。
自分たちの老後のためにとっておいた資金は、そもそも子どもたちに将来迷惑をかけないようにと準備してきたお金なので、使うわけには行きません。
ところが娘は、親への依存体質が抜けきらない。
こんなはずじゃなかったと、この先30年後に悔やむことになりかねないのです。
T子さんの場合は、まず上のお子さんに対して、少ない給料だとしても自分の結婚式や新婚生活にそなえ、お金のやりくりを教えるようお勧めしました。
そのうえで、親からの結婚資金の援助も限度額を決め、それを娘さんに伝えること。
そして限られた予算の中でどうしたら素敵な結婚式を挙げることができるか、知恵を絞るように話してあげることも勧めました。
私のアドバイスを受けてT子さんは
毎月の貯蓄額(老後資金)を決め、
娘たちとのレジャー費の予算を決め、
自分のお小遣いを決めました。
それを反映して未来予想年表を作成したところ、できあがった〝貯蓄予想額〟はなんと18年後には
2300万円に!!
※次ページでは総額2300万円となったT子さんの未来予想年表をご覧いただけます!
T子さんの未来予想年表
まず現在500万円ある貯金のうち、長女と次女の結婚資金にそれぞれ200万円ずつ援助するとして残高は100万円と想定。
(片方だけ援助する、というわけにはいきませんから)
その残高100万円に、老後資金としてどれだけプラスしていけるかを予想してみたのです。
次女が学校を卒業したあとの18年間で貯金できる総額は2200万円。
そこにもともとあった貯金100万円を足すと、、、、
総額2300万円になるのです!!
T子さんが何も対策を講じていなかったら、どうなったか……。
考えるだけでも怖いですよね。
では最後に今日のまとめです。
〈贅沢をしていてもお金を貯める心得〉
其の一、
「共働き」をお金を遣う大義名分にしない
其の二、
娘たちとのランチなどお楽しみのための費用は、レジャー費と捉える
其の三、
家計簿よりもまず予算立てをする
全国の「友達親子」のみなさん!
予算立てをして、心おきなくお子さんと楽しい時間を過ごしてください。
そして子どもの自立力を萎えさせないような関係を築いてほしいです。
ご自身の老後のためにも……。
●明るく気さくな人柄の安田さんが所長の「元気が出るお金の相談所」↓