現代人の深刻な「冷えと疲れ」
タイプ分けすると、一番多かったタイプは…
医師・専門家・企業が集い、心と体の健康情報を発信しているウーマンウェルネス研究会。今年6月に、首都圏に在住する1,200人(20〜50代の男女)を対象に「冷えと疲れ」に関する意識調査を行ったところ、深刻な実態があきらかになったのだとか!
この調査は、自律神経研究の第一人者である、順天堂大学総合診療研究室・病院管理学研究室教授の小林弘幸先生監修の自律神経自己チェックを基にしています。
「自分の意思とは関係なく、血流などを調整しているのが自律神経。身体のライフラインであり、自律神経のバランスは冷えや疲れにも大きく関わっているのです」と、小林先生。先生は、数多くのトップアスリートやアーティストのコンディショニング、パフォーマンス向上指導なども行っているそうです。
自律神経には、活動しているときに優位になるいわばアクセルの交感神経と、休息のときに優位になるブレーキの副交感神経があることは、皆さんご存知でしょうか。
今回の調査では、意識ベースの自己チェックにより、自律神経のタイプを4つに分類(上のスライド参照)。Aは、アクセルもブレーキもきいている絶好調タイプ、Bはブレーキがきかないがんばりすぎタイプ、Cはアクセルがきかないねむだるタイプ、Dはアクセルもブレーキもきかないぐったりタイプです。
「自律神経には気候も関係しますから、理想はAでも、雨の日などはなかなか絶好調とはなりにくい場合も。Bタイプは張り切っちゃう人ですね。周囲まで気が回らず余裕がなくなりがちなタイプとも言えます。Cは、まったりしたタイプ。ともすると、周囲にだるそうな印象を与えているかもしれません。Dタイプになると、日常生活もキツいはずです」
さて、どのタイプが多かったと思いますか? ちなみに、「自分がどこに当てはまるのか知りたい!」という人は、ウーマンウェルネス研究会公式サイト「ウェルラボ」内にある「疲れ&冷えタイプチェック」で自分のタイプを探ることができますよ。
なんと、調査では現代人の6割以上がぐったりタイプという結果だったのです! まさにストレス社会を表している、と小林先生。朝から晩まで緊張感が続くことで、交感神経が優位のままに。すると副交感神経が働かなくなってしまい、疲れはいつまでも取れないまま。結果、アクセルもきかない状態になってしまっていたわけです。しかも、副交感神経は加齢によって、どんどん低下してしまうそうで…。
「交感神経が優位に働いているときは血管が収縮して血流が悪くなりますから、心筋梗塞などを引き起こしやすくなります。Bタイプはこの傾向にあります。また、副交感神経が働かない人は、ガンになりやすくなってしまいます。」
というのも、私たちの体には1日5000個もガン細胞が作られているそう。これを退治しているのが、ナチュラルキラー細胞。副交感神経がきちんと働かないと、この細胞はどんどん減ってしまうというから、由々しき問題です。
ちなみに、現在、小林先生の便秘外来の初診は9年待ちなんだとか。
「昔は、若い女性の便秘の患者さんで大腸がんを心配する例はほぼ皆無でした。現代は女性のがん死亡率の1位が大腸がんで、20代でかかる人も珍しくありません。冷えやむくみも、体の不調を訴える1つのシグナルです。それにどう対処していくかが、重要です」
では、どうしたらいいのでしょう? 日々の暮らしに取り入れられる対策とは? 次のページで、紹介します。
自律神経のバランスを整えるために
日常生活に取り入れたいこと
「人間の体は複雑ですが、実はシンプルでもあります。副交感神経の働きを良くするための方法として、首温活があります。体の中で、一番太い血管があるのが首ですから、簡単に影響を与えやすいのです」
首には、副交感神経のセンサーもあるのだそう。近頃はスマホ首なども問題になっていますよね。これこそ、副交感神経の働きを鈍らせる原因を自ら作っているのかもしれませんよ。
手軽にできる首温活の方法として、小林先生が教えてくださったのは
●ホットタオルや温熱シートで「首もと温め」
●1日の終わりの「首まで炭酸入浴」
の2つ。首もと温めは、血流もアップするのでコリや疲れをやわらげることにも。また、首まで炭酸入浴については、多くの人の勘違いについて指摘が。
まず、ほとんどの人がぬるめとされる38〜40℃よりも高い42℃くらいのお湯に浸かっているとか。温度は思っている以上に影響力があるそうですが、炭酸入浴なら、低めでも血流が良くなります。炭酸入浴を続けることで自律神経機能がアップするという研究結果もあるそうなので、まさに一石二鳥ですよね。また、半身浴がいいとされているのは「冷えた部位を温めるため」ではなく「肩まで浸かると心臓を圧迫してしまうから」が正解だそう。だから、ぬるめのお湯がいいのです。ぬるめのお湯なら、一番太い血管がある首もとまで浸かって、より効率よく全身を温められることができます。まず首まで5分浸かって首を温めます。その後、胸までの深さで10分浸かるのがおすすめだそうですよ。
そのほか、腸のぜん動運動には副交感神経が関係しているため、腸内環境を整えること、また「エスカレーターではなく階段」を心がけることも適度な運動になって副交感神経の機能アップにつながるそう。
「健康とは何だと思いますか? 私たちの体には37兆個の細胞があります。この1つひとつの細胞に、どれだけ質のいい血流があるか。それが健康を左右するのです」
という、小林先生の言葉に、改めて血流の大事さを感じました。
セミナー会場には、ウーマンウェルネス研究会協賛社の新製品紹介コーナーが展示されていました。花王の炭酸入浴剤「バブ」や「めぐりズム 蒸気の温熱シート」が展示されていたほか
パナソニックの高周波治療器「コリコラン」のお試しも!
セミナーを受けていた間、約30分ほど肩に貼って体験です。
貼る前とセミナー終了後に腕が上がる高さを測定してもらったのですが、グンと上がるようになっていたのにはビックリ! いやぁ、血流って、本当に大事ですね。多くの人が悩む疲れや冷えも、血流次第! 自律神経のバランスを整えるためにも、巡りを良くする習慣を心がけたいものです。
秋も深まり、朝晩はぐんと寒さを感じるようになってきました。元気に冬を迎えるためにも、ぜひ冷えや疲れの対策「温活」を上手な取り入れる方法について、今一度見直してみませんか?