タブーから脱出、本物の大人の女性になる
著者interview
必要なのは正しい知識。
アンチエイジングはセルフケアが基本
アマゾンの書籍総合カテゴリーでベストセラー第1位に輝いた『ちつのトリセツ』。原田純さんがこの本の出版を決断したのは、若い頃重症な生理痛に悩まされた経験から、女性たちを少しでも楽にしてあげたいという思いからだったそう。
原田 純さん
Jun Harada
そこでまず、アーユルヴェーダに関する書籍の編集を手がけたときに知ったヨニ・ピチュ(腟ケア)について、Be born助産院院長のたつのゆりこさんに教えを請うたのでした。
ところが、たつのさんから聞かされたのは、若い女性だけでなくアラフィフ女性をも待ち受ける衝撃の事実。
「更年期や閉経を迎え腟の潤いが減ると、尿もれや痔、便秘が起こりやすくなり、日本ではそれが若年齢化し、尿もれに悩んでいる女性は20代で25%、50代では50%以上に上ると聞き、びっくり! しかも、腟の乾燥は、冷え、つまり血行不良のせいで、血行不良が続くと骨盤底筋も衰えて尿もれが起きる。さらにそれが進行すると子宮脱や膀胱脱といった骨盤臓器脱の発症リスクも高まる事実に、またまたびっくり!」
アメリカでは、閉経後の女性の40%は(腟内にとどまるとしても)骨盤臓器脱になっているとの調査結果も報告されているそう。
当時、父親から受け継いだ出版社の代表取締役として多忙を極めていた原田さんは、冷え症、肩コリ、腰痛、便秘など体の不調はあったものの、それまで自分の健康について深く考えたことはなかったのだとか。そして夫と熟年離婚。女としてはそろそろ卒業? と思いはじめたときに、初めて女性としての自分の体に真正面から向き合うことになったのでした。とはいえ、腟ケアの重要性について頭では理解できても、いざ実践となると二の足を踏む状態。
「ヨーロッパでは各家庭にビデがあり、腟のセルフケアは当たり前。対して日本では、話題にすることさえ避けるというこの認識の差。私もそうでした。たつのさんに『男性には触らせるのに、自分で触るのはいやですか?』と言われ、私は一言もなかった…」
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そこで、比較的ハードルの低いオイルケア入浴から始め、ステップアップ。毎日続けるうちに、あら不思議。若い頃からずっと縁が切れなかった冷え症が改善、便秘も解消、頭痛・肩コリ・腰痛もなくなり、結果的に腟も柔らかさと潤いを取り戻したのだそう。
性をタブー視する日本女性の典型だった原田さんでしたが、それまでずっと避けてきた性にきちんと向き合うにつれ、心身ともに健康になっていく過程は、まさに目からウロコの経験。
「顔がたるむということは、内臓も同じようにたるみつつあるということ。皆さん、顔はせっせとお手入れするのに、肝心の女性として大切な部分はほったらかしでは、劣化するのは当たり前。世界一の長寿を誇る日本女性なのに、骨盤臓器脱のリスクを知らないで、女性としての幸せな人生をむざむざ葬ってしまうのは、あまりにも無残です」
アラフィフ年代は、自分自身ときちんと向き合うときなのかもしれません。羞恥心を克服し、身をていして腟ケアの効果を検証した原田さんの、厳しくも親身なアドバイスは、すべての日本女性への贈り物。一緒に、一歩踏み出すことから始めましょう!
『ちつのトリセツ』
原田 純 著 たつのゆりこ 指導・監修/径書房
1,400円
加齢とともに女性機能も衰えます。そのスピードを緩やかにするために欠かせないのが正しい知識に基づいて自身で行う腟ケアと骨盤底筋体操。アーユルヴェーダをもとに日本女性に合うよう改良された方法を、イラストで解説。原田さんの正直な感想は、楽しくためになります。
撮影/矢部ひとみ〈原田さん〉 久々江 満〈本〉 取材・原文/佐野美穂