昨年、デビュー30周年にして初の全国47都道府県ツアーを成功させ、NHK紅白歌合戦にも初出場。
今年3月のさいたまスーパーアリーナ2daysは、即日完売・満員御礼。31曲を歌い切った初日ワンマンと、デビュー時からエレカシファンを公言するスピッツとMr.Childrenを対バンに招いた2日目『 ド・ド・ドーンと集結!!~夢の競演~』は、まさに30周年を締めくくり、新たなスタートを宣言するにふさわしいライブだった。
その勢いを止めることなく、6月6日にニューアルバム『Wake Up』をリリースしたエレファントカシマシの宮本浩次さんに話を聞いた。
撮影/萩庭桂太 取材・文/本誌編集部
宮本浩次さん
Profile
みやもと・ひろじ●1966年6月12日、東京都生まれ。中学・高校のクラスメイトからなる4人組ロックバンド、エレファントカシマシのボーカル&ギターを担当。81年にバンド結成、88年3月にデビュー。94年にレコード会社との契約が切れ、事務所も解散するが、96年に再デビューを果たす。97年には『今宵の月のように』が80万枚を超える大ヒット。2017年、デビュー30周年記念の全国47都道府県ツアーを成功させ、NHK紅白歌合戦に初出場。2018年6月6日に23枚目のオリジナルアルバム『Wake Up』をリリース。6月17日・大阪城野外音楽堂、23日・日比谷野外音楽堂(29年連続!)を経て、25日から全国5か所9公演のライブハウスツアー「TOUR 2018 “WAKE UP!!”」、そして全国の夏フェス9公演に突入する。http://www.elephantkashimashi.com/
人生一番の充実期が
去年からずっと続いています
「30周年のツアーとアルバム制作という、音楽的に非常に充実している時期に、『今宵の月のように』という自分たちの代表曲で紅白に出られたのは、最大のご褒美だったと思うし、堂々と歌うことができて自信がつきました」
50歳を過ぎて、今が一番の充実期だと語る宮本さん。
それはアルバムの1曲目、いきなり宮本さんの声で始まるタイトル曲『Wake Up』を聴いても明らかだ。何なの、このカッコ良さ!!
「全都道府県ツアーや紅白といった祝祭感のある中で、より前向きで、ファンの人たちとともに、なにしろ高揚する歌が作りたかった。優しい曲調じゃなくて、非常に力強い曲と言葉、「行こうgo go go」というこの雰囲気が気に入ったので、アルバムタイトルも『Wake Up』にしました」
46歳のとき、左耳の病気(外リンパ瘻)で、約1年間コンサート活動の休止を余儀なくされた。
「病気して入院して、『20代、30代の習慣を続けていたら、歌も歌えなくなっちゃうし、若いままではいられない』って自覚したんですよね。毎日100本は吸っていたタバコも、それ以来完全にやめたし、食事もファッションも気を使うようになりました。
長髪で頭グシャグシャってのも、ひとつのスタイルとして僕は気に入ってるんだけど、でもどこかでピシッとしてないと薄汚くなっちゃうかなと(笑)」
「ネガティブで弱っていた」という40代後半を経て、今また高らかに『RESTART』と宣言する。それは、初披露したライブでは息継ぎがうまくできなかったというパンクナンバー『Easy Go』(ドラマ『宮本から君へ』主題歌)だったり、優しく伸びやかに「行き先は自由」と歌う『風と共に』(NHKみんなのうた)だったり、音楽的な表現方法は違えど、込められた思いは同じ。
人生いろいろあるけど、行こう、行くぜ、出かけよう。
単純な応援ソングでは決してないからこそ、多くの人が「エレカシに勇気づけられる」と言う。
その一方で、エレカシ初のレゲエという新鮮な手法で、心地よいリズムに乗せながら、歳を重ねた自分の「深い皺」や「ごましお頭」や「ショボつく目」をスケッチして歌う『神様俺を』の素直さにもグッとくる。
「結局、どんなにお金があっても頭が良くても150歳までは生きられない。自分は今、人生のどのあたりにいて、この先どんなチャレンジをして、どう生きていくのだろう?って、切実度は違うかもしれないけど、老若男女、みんな思うことなんじゃないかな」
(太りたくないという宮本さんが「体型維持と健康」について語った、インタビュー後編はコチラ)
『Wake Up』
前作『RAINBOW』から約2年7か月ぶり、エレファントカシマシ23枚目のオリジナルアルバム。『夢を追う旅人』『i am hungry』『風と共に』『RESTART』『今を歌え』といったタイアップシングル5曲を含む全12曲。通常盤・¥3000のほか、ミュージックビデオ集やデモ音源のついた初回限定盤、7月17日13時までの期間限定受付・デラックス盤も。詳しくはコチラ