カッコよくかわいい黒木さん、いつも女性の憧れの存在なのはなぜ?
年齢を重ねるごとに、健やかな輝きを増していく黒木瞳さん。そのかわいらしさと美しさは驚異的です。デビュー以来のスレンダーな体やツヤのある肌感も変わらず、この日の撮影でも愛用のバランスボールを、無邪気な子どものように誰よりも楽しんでいました。「健康と美は、積極的に自分で手に入れていくもの」。黒木さんの毎日は、ベーシックな生活習慣と尽きない好奇心、迷わず一歩を踏み出していく行動力とに満ちています
黒木 瞳さん
Hitomi Kuroki
福岡県出身。宝塚歌劇団月組のトップ娘役を務め、退団後の1986年、『化身』で映画初主演。数多くの映画、ドラマで活躍。’97年『失楽園』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。2016年には初監督作品『嫌な女』公開。その活躍はとどまることを知らない
冷えは大敵。腹巻きと靴下は一年中つけています
昨年、20 年ぶりに写真集を発売した、黒木瞳さん。「創るなら今だと。女優として機が満ちた、その一瞬を切り撮ったという自負があります」。一編の映画のような作品には、年齢を経てきた大人の女性の愁いや華やかさがあふれています。「(美しさを保つことについて)よくストイックでしょう、と聞かれますけど、 全然違います。私はジムに行きませんし、毎日続けているのは、ほとんど家でできるベーシックでむしろ素朴なことです。
生活のローテーションはほとんど決まっていて、映画やドラマの撮影で変動はあっても、基本は早起き。これがまずは健やかさの原点のよう。「だいたい4時か5時には起きます。早朝は季節感をいちばん感じられる、大好きな時間。夜は10時か11時には寝て、6時間睡眠を必ずキープ。枕はテンピュールを使っています」
起床後、毎日、体重計に乗りチェック。そして半身浴でその日をスタート。「私はお風呂を朝と決めています。長年ゆっくり湯船につかることが苦手だったのですけれど、代謝が下がっていく年齢だからと始めたら、実に快適で体調がいい。同時に顔のパックは欠かしません。すごい乾燥肌なのでメイクはクレンジングで落とすだけ。その後、脂分を取らないよう洗顔はしないので、パックで潤すんです。保湿は私にとって命!(笑)メーカーは決めてなくて、韓国に出かけたときなど、どっさり買ってきたりしますね」
入浴後は「絹屋」の腹巻きや靴下で、冷えを防ぎ、演技の本番以外、夏でも一年中、寝るときもつけているそう。「冷えは万病のもとですよね。女優の仕事はロケ先の天候や条件が変わりますし、プロとしてつねに体調を万全にしておきたいんです。
3年前からNHKのラジオ体操も始め、iPadに入れた曲のイントロが流れると「やる気スイッチが入る」そう。「あの体操は体の構造がすごくよく考えられていて、とても効率的なストレッチができると知りました。例えば人は普段、手を上に上げないけれど、上げることで交感神経と副交感神経のバランスが整います。"ぶら下がり健康器"にも毎日、ぶら下がっています。腕を曲げた形でするので、相当腕の筋肉に負荷がかかって、今は15秒が限度ですね」
バランスボールも黒木さんの必需品。仕事先の楽屋、メイク中も乗っています。「きっかけは腰痛改善でしたけれど、美しい姿勢は体幹を鍛えることから。コツは(へそ下の)丹田にギュッと力を入れること。そうすればグラグラしません」
月に一度の歯のクリーニングも、何十年と欠かしたことがないとのこと。
ブラウス¥40,000/ナゴンスタン ス デニム¥10,900/ザ センス (ドクターデニム) ピアス¥ 15,800/セシル・エ・ジャンヌ スニーカー/スタイリスト私物
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50代の女優が魅せる美と色香
「好きな写真家、リチャード・アヴェドンのような写真集を創るのが夢でした」と、信頼するスタッフと創り上げた写真集。何人もの女を演じて美しい。『Timeless』幻冬舎
いつもポジティブな言葉だけを口にする習慣を
「歯は健康に直結しますし、美的な印象に大きくかかわるので、つねにメンテナンスをすることで自信になりますね。最近、目のことも考えて、『遠く近く』と視線を交互に動かして鍛えはじめました。 ほとんど"ながら"ですけどね。じっとしていることが苦手なのかも(笑)」
最もアクティブなのは、宝塚時代に習得したタップダンス。週に一度はスタジオに通い、Tシャツとレオタード姿でレッスンを重ねているそう。みごとな足さばきは、黒木さんの舞台でもたびたび披露されています。「タップは脚が太くなるというのは誤解。むしろ細くきれいな筋肉になるので、読者の皆さまにもおすすめしますよ」
いずれにしても、と黒木さんは言います。「どんなことでも、基本は続けることですね。でも、私は好きで楽しいから続く。やらなくてはと義務になると続きません」
最近、とある脳学者の話を聞いて、フィジカルとメンタルはつながっていることを再認識したのだそう。「脳はすぐ怠けるから、適当な言葉、適当な動きをしていると、適当な成果しか得られないと。つねに目標を細かくイメージして、ポジティブな言葉を口にする。ただきれいになりたいではなくて、どうきれいになりたいのかを言いきることが大切です」
そして、これからの人生に大切なのは「欲と好奇心、行動ですよ!」と力をこめます。「欲は学びへの欲。私たちの年代はあきらめがちですがとんでもない、地球上は知らないことであふれている。そうそう、最近、西洋わさびが花粉症に効くと知って、種球を育てはじめましたよ」と目を輝かせていました。「人生は本当に瞬く間です。存分に味わいたい、生ききりたいと思っています」
このひたむきさこそが、黒木さんの美の源泉のようです。
トップス¥15,000/ナゴン スタンス スカートパンツ ¥70,000・サ ン ダ ル ¥ 30,000/エンフォルド ピ アス¥45,371/GINZA TA NAKA
次ページに、黒木さんの最近のお気に入りをご紹介。
ベーシックな実力派石鹼を愛用
1957年に誕生し、今なおロングセラーを続けている、ウタマロ石けんを愛用。舞台ではく白足袋の汚れも、これをつけてもみ洗いすると真っ白に。¥160/東邦
滑らかなかかとは女性の魅力
大正時代創業の愛知県の老舗メーカー「絹屋」の腹巻きと靴下を手離せない。超極細の絹糸に天然の綿を合わせて編み込んだ製品は、肌を保護し、しっとりさせると大評判
ケミカルでない自然茶を愛飲
[右]長年行きたかったアイスランドの旅で知った「苔茶」。煎じて飲むと胃痛によく効きます。[左]ハワイの友人からすすめられた「目薬の木茶」。疲れ目に効用が
撮影/浅井佳代子 ヘア&メイク/藤原美智子(LA DONNA) スタイリスト/後藤仁子 取材・原文/水田静子