10月末の爽やかな秋の午後。妙齢の男性方が、いそいそとエレベーターに向かう姿が目立つ一角が。
そこは紀伊國屋書店新宿本店。9階のイベントスペース前には、1時間以上前から開場を待つ人たちの列ができています。
そう、それは待ちに待った日。十朱幸代さんが出版した自伝、
『愛し続ける私』(集英社刊)
の刊行記念トーク&サイン会が行われる日なのです。
会場を埋めた参加者は、40代~?代の男性たちが圧倒的多数。全国から集まったみなさんを前に、十朱さんが明かした「女ごころ、女優ごころ」。そのエッセンスを盗みに、アラフィフライターふーみんが出動! ぜひとも知りたい十朱さんが「モテる秘密」について、しっかりルポしてもらいましょう!
瞳はキラキラ、頬はピカピカ。年齢を忘れさせる艶っぽさに驚き!
記憶を鮮明に書き留めたシーンでいっぱいの一冊!
10月に発売された初の自叙伝『愛し続ける私』が話題沸騰中の十朱さん。この本の刊行記念トーク&サイン会が10月28日(日)、紀伊國屋書店新宿本店で開催されました。
ファンの前に姿を見せるのは久しぶりと、会場は新潟や京都から駆けつけた(!)ファンもいらして超満員。一番前の人は1時間以上前から並んでいたそうです。
そこに登場した十朱さんは、軽快なパンツスタイル。
つやのあるお肌、輝くばかりの笑顔。往年のイメージと変わらない若々しさ、華やかさに驚きです。足もスラッと細くて素敵!(いや、こんな75歳、マジでズルい……!)
まずはこの本を書いたきっかけからお話は始まりました。
ちょっとした表情に色香が漂い、来場者のみなさんの目も釘付け!に。
今まで「前だけを見て走り続けてきた」「過去は意識して忘れてきた」けれど、15歳から始めた芸能生活が60周年を超え、しかも年齢が75歳というキリのいい数字が並んだ昨年末、一度ここで立ち止まって過去を振り返ってもいいかなと思いたった、とのこと。それから約1年をかけ、本書ができるまでの過程では「忘れたはずの思い出がどんどん蘇って……」。それらを鮮やかなままに書き留めたシーンが、本書では随所に見られます。
会場では、十朱さんの直筆の原稿がスクリーンに映し出され、その達筆ぶりに「おお~!」と声が上がる一幕も。続いて十朱さんの10代のころの秘蔵映像も次々と紹介され、気分は昭和にタイムスリップ! デビュー当時の共演者のお話なども交えて、十朱さんの歩んだ道が実感されます。
芸能界の内幕を体感するエピソードも……
若くして黎明期のテレビ界に飛び込んで以来、60年もの間、第一線で活躍を続けてきた十朱さん。人気ドラマの国民的アイドルから始めて以来、女優として今まで生き抜いてきた陰には、私たちには計り知れない苦労もあったはず。
当日は、本には収録されていないエピソードとして、ある大女優との「確執」トークもありました。
大きな舞台の主演、そして「座長」に抜擢された十朱さん。名だたるベテランが脇を固める中でご苦労されたそうですが、中でもある往年の名女優は、
「あんなぽっと出の子が座長なら、私はこの役、下りるわ」
とまで言ったそう。結局は周りの説得で出ることになったのですが……。
いきなり逆風を浴びた十朱さん、「でも、やるしかない」と腹を決めて見事に演じ切り、その舞台は大好評に! 以来、十朱さんが20年にわたってお正月に座長公演を張るきっかけになりました。
その女優さんも、いざ現場に入ると不満も洩らさず、圧巻の演技を見せたそうです。
その初座長から十数年後、山田五十鈴さんと舞台で共演していた十朱さん。件の女優さんがとなりの楽屋に山田五十鈴さんを訪ねて来たと思いきや、十朱さんの楽屋ののれんをひょいと上げて顔を見せ、笑顔でひと言。
「十朱さん、あんた、うまくなったねぇ!」
この言葉を聞いた十朱さん、「今日まで女優を続けてきた良かった!」と心から思ったそうです。
地道に努力を重ねることの大事さに気づかされ、勇気をもらうエピソードでした。
→続けていよいよ、十朱さんの「モテる秘密」に迫ります!
知りたい! 十朱さんの「モテる秘密」とは?
そして十朱さんと言えば恋多き女。
十朱さんの率直なトークに、聴き入るみなさんも一緒に笑顔になってしまいます
本書には誰もが知りたい恋の真実について、驚くほど率直に書かれています。
長年、週刊誌やワイドショーを騒がせてきた十朱さんですが、恋について自分の言葉で語るのは初めて、とのこと。トークでは、そんな十朱さんの恋のスタイルについての質問も。
「恋愛をすると、いつも全力投球をしてしまうんです」と十朱さん。
仕事をしていても「早く会いたい」「彼、今頃なにをしているかな~」と、「ふっと心が飛んで行ってしまう」という一途ぶり。
限られた時間の中でのデートではとにかく「相手に楽しんでもらいたい」と、一生懸命になってしまう。でもそれが時には女優という仕事にとって邪魔になることもあって……。
「仕事と家庭の両立が難しかった時代に、自分でつかんだこの仕事だけは絶対に、手放せなくて」。それが今日まで結婚をせず、仕事を貫いてきた理由のひとつだそう。
トークをうかがっていて、全力で恋人に向き合う十朱さんのキラキラした姿が、目に浮かぶ気がしました。
男性にとってきっと十朱さんは「理想の恋人」なのでしょうね。
その一途さこそが、(本書によれば少なくとも3人の素敵な男性からプロポーズされている)
「恋多き女・十朱幸代」最大の「モテる秘密」
なのではないでしょうか。
孤独すら楽しみ、毎日を明るく生きる姿勢に共感
たくさん恋をしても、結婚を選ばなかった十朱さんは、75歳の今、ひとり暮らし。でも、「まあまあ、いい人生だったな」とご自身の人生を振り返ります。
やりたい仕事をやれて、全力で恋をして。ときに批判を受けても折れることなく、世間の尺度にとらわれず、自由にしなやかに生きて来た女性。
あの時代にそれを続けるのはとても大変だったでしょうに、肩肘張った感じなど、まったくないのが不思議なほどですが、
「いつも明るくして、いい面を考えるようにしているの」と、十朱さん。お母様譲りという、その明るさ、強さは見習いたいと思いました。
そして現在75歳。十朱さんの日常は、ちょっとのぞいてみたくなるような、オシャレでステキな暮らしぶりです。
朝起きて、目下の恋人(?)である愛犬キララちゃんのお散歩、帰宅後はフルーツいっぱいのヘルシーな朝食。
ガーデニングを楽しみ、週に3,4日はスポーツジムで体力作りも欠かさないそうです。
家族はいなくても、「人生、誰も最後は一人なんだもの」とサバサバ。
その言葉が出るのも、「自分で選んだ人生」という意識があるからでしょう。
その潔さに感服して、和やかにお話しながら来場者に丁寧にサインをする十朱さんのオーラにうっとりしながら、会場を後にしました。
噂の朝食セット。ご自身で用意する、品数豊富で栄養バランスも整った、理想の食卓
年齢を重ねてもずっと美しくエレガントに、そしてしなやかに生きる十朱さんのトークでポジティブシャワーを浴びた秋の一日。
本を何度でも読み返して、もっとたくさん十朱さんから学びたくなりました。
「まだ読んでいないわ!」 という方は、ぜひ本書をご覧ください!
本を手に会見に臨んだ十朱さん。恋のお話をなんとか聞き出そうとする報道陣にも、誠実に対応。真摯な思いが伝わりました
・・・あ!
もうひとつ、大切なことを忘れていました。
トークの最後に、担当編集者が言っていた一言が気になっていて。
「十朱さんのパネルを前に、記念写真はいかがですか?
この表紙のポーズ、『耳に手』が可愛いと大反響。同じポーズで写真を撮って持ち歩くと、
たちまちモテるようになる! ……かもしれませんー!」
なになに? 「モテる」と聞いたら試さずにはいられないワタクシ! 早速パネル前で記念撮影を敢行しました。
「アイシツヅケルわー、たー、しー」パチリ!
もう、効果絶大? 本当に、このポーズするだけで、なんだか可愛い女になれる、と評判!
もう、この写真さえあれば、この冬は十朱さんみたいにモテオーラが? と考えるだけでワクワクします!
取材・文/高橋扶美、撮影/山下みどり