「こんにゃく」が肌のバリア機能を高めるってホント？

この日のセミナーは「こんにゃく」がテーマでした。

テーマにちなんで、写真の生芋こんにゃくケーキや生芋こんにゃくメンチカツ、それに生芋こんにゃくスムージーも拝聴前に美味しくいただきましたよ。

ということは、ヘルシーメニューの楽しみ方？なんて早とちりしそうですが、実はこんにゃくには、もっと注目すべき点があったんです。それは

セラミドを多く含んでいる

ということ。セラミドは私たちの皮膚にも備わっていることは、ご存知ですよね。なんと、バリア機能を担っている大切な成分なのだそうです！

まずは、そんなセラミドの最新知見について、北海道大学名誉教授であり「セラミド研究会」の会長を務める五十嵐靖之先生が説明してくださいました。

「アトピー性皮膚炎の患者は、皮膚のセラミド量不足からバリア機能が低下しているとかなり前からあきらかになっています。また、魚鱗症も表皮バリア機能の異常によって引き起こされています。

世界におけるセラミド研究はこの15年間で多くの進展があり、皮膚特有のセラミド群発見や、バリア機能に重要なアシルセラミドの合成酵素なども同定されました。これにより、治療薬や機能性食品が開発できるようになったのです」

2016年には、こんにゃくセラミドを配合した機能性食品が皮膚分野で初の特定保健用食品（肌トクホ）として認可され、飲むセラミドでの皮膚機能改善が注目されるようになりました。

「効果を及ぼす仕組みや、大腸フローラによる代謝の可能性など、検討すべき点は多く残されていますが、皮膚に直接作用するのではなく、小腸細胞内で分解・再合成されて間接的にセラミド合成を刺激すると解明されています」

そのほか、こんにゃくセラミドはアルツハイマー病の原因となるタンパク質を抑制する作用も示唆され、研究が進められていることも大きなトピックスなんですって。

若々しい肌を保つためにも重要視したい、セラミドの可能性

健康な肌に必要不可欠なセラミドは、年齢を重ねるにつれその量が減少してしまうもの。美肌とセラミドの関係性については、銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子先生が解説してくださいました。

「たとえ調子が悪くても、命に関わることではないと思われがちなのが皮膚です。しかし、生体防御や体温調節、水分保持、免疫やエネルギー備蓄など、その機能は多種多様。とても大切な臓器なんです」

そんな大切な臓器である皮膚のバリア機能が低下する、すなわちセラミド不足の皮膚になると、皮脂や汗など、自分の皮膚から分泌されるものも刺激になってしまうのだそうです。

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「バリア機能が弱い肌は、内部で微弱炎症が起きやすくなるため、かゆみなどの症状が出るだけではなく、ターンオーバーが乱れやすく、肌老化も進行しやすくなります。肌の美しさは、角層やバリア機能の状態の現れです。バリア機能が高ければ、ターンオーバーが整い、肌に必要な水分量も保たれるので透明感も引き出されるのです」

では、バリア機能を正常に保つためには？　毎日の適切なスキンケアが大切なのはもちろんですが、インナーケアを積極的に取り入れても、と慶田先生。

「10年前は、サプリメントや機能性食品による保湿効果は半信半疑だったんですね。でも、セラミド合成のスイッチを入れるとわかり、インナーケアの効果が検討されるようになりました。5年後、10年後にはさらなる可能性に対しての研究が進んでいると思います。これはとても興味深いことです」

こんにゃくセラミドは「食べる」のではなく「飲む」ほうがいい理由

さて、私たちにとって大切なセラミドがこんにゃくに多く含まれているというのなら、こんにゃくを食べるようにするといいのかと思いきや、市販されている普通のこんにゃくには含まれていないのだそう。