6月4日〜10日は「歯と口の健康週間」。毎日のケアが口の中の健康維持に重要なのはもちろん、実は、口内フローラは全身の健康にも関わっているとご存知ですか?
「口内フローラとは、私たちの口腔内に生息する細菌叢のこと。腸内フローラと同じように、口内常在菌(善玉菌)、増殖すると悪玉化する日和見菌、悪玉菌がお花畑のように群れを作って棲みついています」とは、日本歯周病学会理事・専門医・指導医、日本大学客員教授 の若林健史先生。
若林歯科医院(恵比寿)、オーラルケアクリニック青山(表参道)の院長でもあります。
300〜700種類もの細菌からなる口内フローラは人によってバランスが異なり、日和見菌や悪玉菌はさまざまな要因から増殖してしまう、と若林先生。
「喫煙は口腔内を燻製にするようなもので、血流を悪化させることから口腔内の免疫力低下も引き起こします。また、活性酸素を発生させるストレスは唾液の質を悪化させる原因にも」
そのほか、糖質の過剰摂取に不十分な口腔ケア、OurAge世代にとっては「加齢による唾液の分泌量減少」も深刻な問題。これらの要因から口内フローラが悪化すると、むし歯や歯周病が発生しやすくなるのです。
むし歯や歯周病になったら歯医者さんに行けばイイ、などと侮っている場合じゃありません。歯周病菌は血液を通じて全身に巡り、さまざまな疾患を引き起こすこともわかっています。
「最新のトピックスとして、今年1月にアルツハイマー病患者54人の脳の96%から歯周病の原因菌であるジンジバリス菌と有毒酵素“ジンジパイン”が発見されたという論文が発表されました」
今年4月から、全米90以上の施設でアルツハイマーの治療に歯周病菌抑制剤を投与する臨床試験が始まったのだそうです。
むし歯や歯周病が進行してしまったら治療が必要ですが、そうならないためには、日々のケアが肝心。予防医療大国スウェーデンで生まれ、今や世界中で取り入れられているのが、善玉菌を摂取することで口内フローラのバランスを整えるバクテリアセラピー、いわゆる菌活なのだとか。
「悪玉菌に対して菌で対抗するため耐性株が出現することなく、また、ヒト由来の菌を活用するので子どもからご年配の方まで安心して取り入れることが出来ます」
さて、お口の菌活に注目されている善玉菌とは?
腸内フローラを整える善玉菌と言えば、ビフィズス菌などとすぐに思い浮かびますよね。では、口内フローラを整える善玉菌って? 世界的に注目されているのが「ロイテリ菌」という乳酸菌なのだそうです。
これからの予防歯科は
歯みがき・検診・ロイテリ菌!
「ロイテリ菌は、ペルー人の母乳から発見された乳酸菌です。日本人は7人に1人が保有し、アメリカ人は保有していない菌だと言われています」
そう説明してくださったのは、銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81の院長、坂本紗有見先生です。口腔内の悪玉菌を抑制する善玉菌には以前から着目していて、ロイテリ菌はご自身や家族も摂取、また患者さんにも薦めているのだとか。
「ロイテリ菌はほかの乳酸菌より圧倒的に臨床データが多く、副作用の報告は1件もありません」
口腔治療以外でも、胃腸炎や免疫関連疾患など世界中で幅広く治療に使用され、スウェーデンでは赤ちゃんの夜泣き防止に使われているんですって。
歯周病菌抑制に対する効果として見せてもらった興味深いスライドがこちら。
歯周病菌をシャーレに入れて37°で培養。すると右上のシャーレは歯周病菌が恐ろしいくらい増えたのに対し、ロイテリ菌を足した下のシャーレでは、培養したのにもかかわらずロイテリ菌の周りは菌が増殖していないのです。この差はスゴイ!
実際に歯周病患者19名を対象に行った調査でも、ロイテリ菌を含んだタブレットを1日1回摂取したところ、歯茎からの出血が47%減少、プラーク(歯垢)や歯周ポケットの改善も確認出来たのだとか。
こんな調査結果を聞くと「私も早速!」と身を乗り出したくなりますよね。歯医者さんで処方してもらえるのでしょうか? 実は、身近なドラッグストアやスーパーマーケットなどで販売されている商品があるんです。
オハヨー乳業とオハヨーバイオテクノロジーズから、ロイテリ菌を活用した機能性表示食品が2つ登場しています。
ヨーグルトとタブレットで、ヨーグルトはこの春から全国販売がスタートしました。
「ロイテリヨーグルト」(希望小売価格¥150※税別、以下同)は砂糖不使用。キシリトールの甘みで乳の風味を活かしたやさしい味わいです。
近頃はさまざまな菌を採用したヨーグルトが市販されていますが、お口のケアになるヨーグルトとは珍しいですよね。坂本先生曰く、「ロイテリ菌を口内に留まらせるために、ヨーグルトをよく嚙んで食べると良い」とのこと。
「ロイテリ お口のサプリメント」は1日1粒が目安。10粒入り(¥1,000)と30粒入り(¥3,000)があり、下記の公式オンラインストアでは注文の手間がない定期便も用意されています。
歯みがき後に口の中でゆっくり溶かすのがおすすめとのことなので、「夜寝る前に1粒」を習慣にしても。早速試してみたところ、翌朝の口のねばつきが軽減されているような感じがしました。
歯周病は、今や最も患者が多い病気としてギネスブックにも認定されていて、日本でも成人の80%以上が罹患&予備軍と言われています。
毎日の歯みがきと定期的な検診に加え、ロイテリ菌で口内フローラを整える新習慣、あなたも早速始めてみては?