動悸がする、塩分を控えてもむくむ、気力がわかない、疲れやすい、急に太った、そしてやせにくい…
「更年期症状かな?年齢的にも仕方ないよね」と思いがちですよね。確かに更年期にはそのような症状は出がちですが
それ、もしかしたら
甲状腺ホルモン、もしくは甲状腺の病気
かもしれません!?
「甲状腺の病気」にかかっている人は意外に多く、
推定で日本人の20人に一人、500~600万人が
将来的には10人に一人、1000万人以上が罹患する、と言われています。
こんなに多いのに発見されにくいのは、ひとえに症状が「加齢」「更年期」「ただの体調不良」のためと思われがちだから。そこで、上のような症状でお悩みの方、そうでない方にもぜひオススメしたいのが、この本!
「これって『甲状腺の病気』のせいだったの?」です。
監修は甲状腺専門医の山内泰介ドクター、漫画は…そう、「半ダース介護~6人のおジジとおババお世話日記~」で、OurAgeでもお馴染み、
井上きみどりさんです!
井上きみどりさんといえば、数々のヒット漫画の”生みの母”。震災復興、放射能、女性と子どもの病気、国際協力など、ジャーナリスティックな問題を親しみやすい漫画で、わかりやすく解説してくれます。今回も、まだまだよくわからないことが多い「甲状腺の病気」について詳しく取材、体験者の話を楽しい漫画にまとめてくれました。
この本で取り上げられた「甲状腺の病気」は、7つ…えっ、甲状腺の病気って7つもあるの!?とまずビックリした方も多いのではないでしょうか?「バセドウ病」、「橋本病」くらいは耳にしたことはあっても「亜急性甲状腺炎」「無痛性甲状腺炎」「甲状腺乳頭がん」など、初めて聞いた症状もあるかもしれません。
この本ではそれらの体験者のリアルな声を、生活や時系列を追って詳しくまとめています。たとえば…
「バセドウ病」、甲状腺の病気では代表的なものですが、どんな症状が出て、どんな検査をして、どう診断されるか、なんて罹患しなければわかりませんよね。しかもこのケースで取り上げられた「さやかさん」の場合、本人がバセドウ病ではないかと疑って病院に駆け込んだのに診断が違っていた、というケース。そのせいで6年もの年月、回り道をし、やっとバセドウ病と診断されて正しい治療を受けることができたのです。
「バセドウ病は珍しい病気じゃないのに、世間はもちろん医師も知識のない人が多いのでは…?そして『バセドウ病かも?』と不安を抱えている人は絶対に無理せず休んで!ちゃんと検査してくれる病院へ早めに行ってくださいね!」
というのが、長年の闘病を振り返って「さやかさん」が思うことだそう。体験者の言葉は説得力があります。
次に登場するのは「橋本病」体験者の清水さん(男性)。
え、男性も橋本病にかかるの!?と驚いた方もいるかもしれません。確かに甲状腺の病気は圧倒的に女性の方がかかる率が高いのですが、男性にも起こり得るのですね。清水さんの場合は疲れやすさ、気力低下、高血圧、むくみ、体力低下、などなど様々な症状が出て、仕事を辞めるところまで追い込まれたそう。退職後はうつ病のような状態で自宅に引きこもる生活に……。「甲状腺の病気」にたどりつけたのは、「大腸がんの疑い」の検査で受けた血液検査の結果で、というから清水さんも本当に大変な日々を過ごされました。
こんな風に「甲状腺の病気」は診断にいたるまで、が大変!
「ほかの病気を疑っていろんな病院を転々としている間に、症状が進んでしまう人も少なくないんですよ。だから僕は『なんかおかしい…もしかして甲状腺の病気も!?』と、ピンとくる人を増やしたいんです」と、監修のドクター山内。きみどりさんのルポ漫画の後に、必ず症状の解説が入っているのも、この本の特徴です。
これもわかりやすいので、漫画を読んで自分に症状を疑ったら、こちらを参照するといいかもしれません。医師の立場から病気の種類、診断法、治療法、合併症などの注意点を詳しくわかりやすく書いてあるので、読んでいるうちに冷静になれるし、知識を増やすことができます。
「甲状腺疾患は誰でもなるリスクがある、だから検査を適切に受けることが大切」というフレーズが何度も出てきます。もしかして原因不明の体調不良に悩まされているとしたら、「甲状腺の病気」を疑ってその検査をしてみてもいいかもしれません。「甲状腺は検査も治療もグンと進歩していますから、甲状腺の病気にかかったとしても前向きに立ち向かってほしいです」と、ドクター山内の最後のコメント。正体不明な病におびえず、一歩を踏み出す勇気を与えてくれる本です。