熊坂仁美のYouTubeセレクション、今回は「ファッション」。
視覚に強く訴えることができる動画はファッションと抜群に相性がいいのは言うまでもありません。
にもかかわらず、YouTubeを活用しているファッションブランドは意外に少ないのです。
有名ブランドのほとんどが公式チャンネルは持っているものの、コマーシャルやコレクション(ファッションショー)など、既存の映像の保管庫的な利用にとどまっていて、登録者数も2〜3万人、下手をすると1万人に満たない有名ブランドもあり、ブランドにとってまだまだYouTubeが「未開の地」であることが見て取れます。
そんな中、一線を画すのがディオールとシャネルです。
Googleの一部門であるYouTubeでは、所定以上の広告費を使ってくれる「お得意様」は、チャンネルの「カスタムタブ」を作ることができます。
カスタムタブは自由にデザインできるので、YouTubeチャンネルのカッコいいトップページにすることができます。
そのため、広告予算があってなおかつYouTubeに力を入れているブランドは業種を問わずカスタムタブで差別化を図るのですが、有名ファッションブランドでカスタムタブを使っているところは意外に少なく、私が見た限りはシャネルとディオールだけです。
特にシャネルは、デザインだけでなく動画そのものも内容が濃くおすすめです。
シャネルというブランドを表現するYouTube向け特別シリーズをいくつか用意しているのです。
シャネルのYouTubeチャンネル
特別にデザインされたシャネルのYouTubeチャンネル。登録者数も27万人と、他のファッションブランドを圧倒している。
たとえば 「Inside CHANEL(インサイドシャネル)」シリーズは、ココ・シャネルについて、シャネルがこだわる色について、舞台であるパリについて、シャネルスーツについてなどを特集した、ため息がでるようなハイクオリティ動画が集めてあり、シャネルというブランドを多角的に理解することができます。
日本語字幕もついていますので、シャネルに少しでも興味がある方はぜひ一度見てみてください。
また「FASHION」シリーズで私が感動したのは、オートクチュールのメイキング動画。シャネルのオートクチュールという、私たちが普段目にすることのできないファッションの頂点の現場が美しい映像で描かれています。
身にまとう宝石といった表現がぴったりの素材たち、そしてそれらを一糸一糸紡ぐ様子。
選ばれた人だけが知る究極の世界をYouTubeによって垣間見ることができるのです。
Making-of the CHANEL Fall-Winter 2014/15 Haute Couture Collection
ブランドのこだわり、そしてその価値を誰もが納得することができるすばらしい映像コンテンツの数々は時間を使って見る価値は大いにあります。シャネルだけでなく他のブランドのストーリーも見てみたいものです。ぜひ、ファッションブランドはシャネルに追随し、面白く素敵な映像を作って私たちを楽しませ、より強固なファンづくりをしていただきたいと思います。