今ペルー料理の世界的な人気の影響を受け、グルメ国家として空前のブームを迎えています。今回はペルーの料理界を牽引するフラヴィオ・ソロザーノ氏にお話を伺いました。
「ペルーの伝統的な食材と食文化を世界へ伝えたい」
定番のキヌアサラダ。ゆでたキヌアにグリーンアップル、ピーカン、アーモンドとルッコラを加えて、自家製のアップルビネガードレッシングで
今やペルーはペルー料理の世界的な人気の影響を受け、グルメ国家として空前のブームを迎えています。2015年で8年目を迎える食の祭典「M istura(ミ ストゥーラ)」には、世界中からメディアや有名シェフが訪れるほか、一般向けの旅行会社の美食ツアーにも組み込まれているほどです。
ペルー出身のスターシェフの中でも、3代にわたってペルーの料理界を牽引し、人気レストラン「El Señorío de Sulco」の総料理長を務めるフラヴィオ・ソロザーノ氏にお話を伺いました。
「祖母の代から、ペルーの伝統的な料理のレシピを若い世代に伝えるという試みを行ってきました。最近では、ペルー原産の食材とペルー料理を世界に広める活動もしています」
フラヴィオ氏が最も力を入れて世界に宣伝している食材は「インカの黄金の粒」キヌア。2013年、キヌア百科事典と言ってもよい「Ayara-MadreQuinua」という本を出版したばかり。
「豆とは比べ物になりませんが、キヌアはほかの穀物と比べてタンパク質が豊富です。グルテンもデンプンも含まれていないうえに13〜15%の良質のタンパク質を含み、必須アミノ酸など約20種類のアミノ酸が含まれます。GI値が低く、食べても眠くなりません。
こうした穀物から肉を食べるのと同じくらいの良質のタンパク質を摂取する利点は、消化に優しいこと。牛肉なら消化するのに8〜12時間くらいかかるところ、穀物なら2〜4時間で消化吸収できます。体に負担をかけずに栄養がとれるのです」
カウサと呼ばれるイエローポテトのサラダ。マッシュした甘く栄養価の高いポテトを香辛料でピリッと味つけし、アボカドとカニのサラダをトッピング
とれたての白身魚を使ったセビーチェ。味つけは香り高いペルー産ライムとアンデスの塩、それに唐がらしを少々
Flavio Solórzano
profile
ペルーの首都リマにあるレストラン「El Señorío de Sulco」の総料理長。祖母の代から3代続く料理研究家の家に生まれ、現在は世界中でペルー料理を紹介する活動とともにペルーの若い世代に伝統的ペルー料理を教える教室も主宰
El Señorío de Sulco(エル セニョーリオ デ スルコ)
DATA
Malecón Cisneros 1470, Miraflores, Lima, Peru
TEL +51 1 441 0183
[営]12:00~24:00、~17:00(日曜) 無休
http://www.senoriodesulco.com/
次回はペルー・ボリビア原産のキヌアにオーガニックが多い理由をご紹介します。
撮影/たかせ藍沙
イラスト/かくたりかこ
取材・原文/井原美紀
ペルー取材協力/Kentos Network Co., Ltd.
写真協力/ラティーナ〈マカ〉