スーパーフードの代名詞「キヌア」。なぜペルー・ボリビア原産にはオーガニックが多いのでしょう?また、その他の注目食材は?前回に引き続き、ペルーのスターシェフ、フラヴィオ・ソロザーノ氏にお話を伺いました。
ペルー・ボリビア原産のキヌアにオーガニックが多いわけ
タンパク質(アミノ酸)を摂取できるキヌアは、プチプチとした食感も楽しくさまざまな料理に使われています
「ペルー産のすべてのキヌアがオーガニックだとは言いませんが、標高が3500m以上の所に行けば、無農薬のキヌアの畑くらいしか見あたりません。ご存じのようにペルーとボリビアにはアンデス山脈があり、標高の高い土地がたくさんあります。そういう場所で栽培できる食物は限られていますが、キヌアなら栽培が可能なのです。まさに21世紀の主要食と言ってよいすばらしい食材です。現在では、健康志向のためだけではなく食糧危機の問題に対処するため、世界中でキヌア栽培が試みられています」
「僕がもうひとつ世界に紹介したいのはじゃがいもです! 世界には2種類のポテトがあります。世界中で食べられている白いポテトとアンデス山脈にしかないイエローポテトです。CIP(インターナショナル・ポテト・センター)によると、イエローポテトはホワイトポテトにはない抗酸化物質を含み、少量のタンパク質とアミノ酸まで含まれていることがわかっています。さらに水分が30%少ないため、フライドポテトを作るときに1回でカラッと揚がります。でき上がりの脂質も30%少なくなるので、これまでのフライドポテトよりぐっとヘルシーになります。私の店でもカロリーを抑えるためにイエローポテトをよく使います」
ひき肉とレーズンを炒めた上にペルー原産のとうもろこしをクリーム状にしてかけてオーブンで焼いたもの。とうもろこしの自然な甘味が引き立つ一品
イエローポテトにバジルやディルで風味をつけて団子状にしたあと、スライスしたアボカドで俵の形に仕上げた前菜。トッピングは燻製の鱒のサラダ
食物繊維たっぷりのおつまみ。カリッとした焼きとうもろこしと甘い揚げたキャッサバいもとサランダハ豆の煮物
女性にとっておすすめの食材は?
「女性にはカムカムですね! ペルー原産でライムジュースの40倍のビタミンCがあるのに酸っぱすぎず、シュガーフリーでおいしいうえに、美容に最適です。アマゾン流域に暮らす女性たちは美肌のためにカムカムの実をつぶしてマスクとして顔に塗るんですよ」
最後にシェフのこれからの抱負を。
「ペルー料理は、先住民族のインディヘナ、スペイン、日本、中国、アフリカ、イタリアという多民族文化に影響を受けたため、誰にとっても食べやすいことが特徴です。私はさらにこの料理を進化、洗練させ、フランス料理と同じくらいの格に押し上げたいと思っているのです」
2016年には3度目になる来日の予定もあるそうです!
Flavio Solórzano
profile
ペルーの首都リマにあるレストラン「El Señorío de Sulco」の総料理長。祖母の代から3代続く料理研究家の家に生まれ、現在は世界中でペルー料理を紹介する活動とともにペルーの若い世代に伝統的ペルー料理を教える教室も主宰
El Señorío de Sulco(エル セニョーリオ デ スルコ)
DATA
Malecón Cisneros 1470, Miraflores, Lima, Peru
TEL +51 1 441 0183
[営]12:00~24:00、~17:00(日曜) 無休
http://www.senoriodesulco.com/
次回からはスーパーフードを利用したハーバルトリートメントを受けられるスパをご紹介します。お楽しみに。
撮影/たかせ藍沙
イラスト/かくたりかこ
取材・原文/井原美紀
ペルー取材協力/Kentos Network Co., Ltd.
写真協力/ラティーナ〈マカ〉