こんにちは、おでかけ女史組で、おでかけマイスター〈寺社部長〉をしている吉田さらさです。
いつもは寺と神社の旅に関する情報をお届けしていますが、
番外編として、わたしの人生においてもっとも大切な趣味のひとつ、
フィギュアスケート鑑賞について語る短期連載の3回目です。
今回は、フィギュアシーズンの最後を飾る世界選手権について。
2016年はアメリカのボストンで開催され、日程は、3月28日~4月3日(日本時間)
詳細は、こちらをごらんください。
2016 ISU World Figure Skating Championships®
世界選手権は、フィギュアスケート選手にとって
オリンピックと並ぶ重要な大会で、この試合で優勝すること、
すなわち世界チャンピオンのタイトルを取ることがひとつの大きな目標となります。
これまで日本人で世界チャンピオンになったのは、
男子は、高橋大輔さん、羽生結弦選手の2名
女子は、伊藤みどりさん、佐藤有香さん、荒川静香さん、安藤美姫さん、浅田真央選手の5名。
世界中から集まる選手たちの頂点に立つのは容易なことではありませんし、そもそも世界選手権に出場すること自体がたいへんな栄誉なのです。では、どんな選手がどのような選考基準で選ばれ、晴れのリンクで滑ることができるのでしょうか。
選手たちと共に一喜一憂する
グランプリシリーズ
昨今はフィギュアの人気が高いため、しょっちゅうテレビでも放送されていますが、春~夏場に開催されるのは主に試合ではなくショーです。本格的なフィギュアシーズンは、毎年10月からはじまるグランプリシリーズから翌年の3月(年によっては4月)の世界選手権まで。近年は4月ごろに国別対抗戦も行われるようになりましたが、これは団体戦なので、個々の選手にとっては、グランプリシリーズと世界選手権が特に重要な国際大会となります。
では、グランプリシリーズはどのような大会なのか。
まず、出場権を得るのは、前シーズンの世界選手権の上位者、ISU(国際スケート連盟)の世界ランキングやシーズンベストスコアの上位選手など、ということで、普段目にする機会が多い現役選手はたいていが出場権を持っています。
シリーズは、アメリカ大会から始まり、カナダ、中国、フランス、ロシア、日本の6カ国で行われます。例外的な年もありますが、日本の大会であるNHK杯は、シリーズ最終戦でもあり、かつ、そのシーズンに日本で行われる最初にして、多くの場合は唯一の国際的な大会であるため、非常に盛り上がります。
(「多くの場合」というのは、グランプリファイナルや世界選手権が日本で行われる年もあるからです)
選手は、6回のうち1回、もしくは2回の試合に出場します。各試合で、順位によって点数が与えられ、2回出場した選手のうち点数が上位から6名が、グランプリ・ファイナルの出場権を得ます。有力選手であってもグランプリシリーズにエントリーしないケースもあるため、グランプリファイナルは、テレビで「頂上決戦」と煽るほどまでには重要な大会ではないと思いますが、シーズン前半の山場であることは間違いないです。また、シリーズの各試合も、選手たちの今年の調子、新しいプログラムの仕上がり具合、各国の有力選手たちの動向などをチェックする機会となります。
黄金時代を迎えて以来、日本人選手たちも男女ともに大活躍してきました。
ファイナルでは、男子のこれまでの優勝者は高橋大輔さんと羽生結弦選手の2名ですが、織田信成さんや小塚崇彦選手も、複数回、表彰台に上がっています。わたしの場合は、何と言っても、高橋、織田、小塚のスリートップが競っていた時代が一番楽しかったなぁ~。
女子は、優勝者は村主章枝さんと浅田真央選手の2名ですが、村上佳菜子選手や、安藤美姫さん、中野友加里さん、鈴木明子さんなどが、入れ替わり立ち替わり表彰台に立ってきました。しかし近年はロシア選手の勢いが勝るようになり、シリーズでもファイナルでも、以前のように複数の日本人選手が同時に表彰台に上がるケースは少なくなってきました。若い選手たちの成長が待たれます。
次は全日本選手権、四大陸選手権について。
何より大事な全日本選手権
12月になり、グランプリファイナルが終わると、すぐに全日本選手権がやってきます。
これは、国際大会に出場するレベルでない選手にとっては、一年の総決算となる大会です。
世界選手権を視野に入れている選手たちにとっても極めて重要。
この大会での成績が出場権を得るための大きな要素になるからです。
試合終了後、グランプリファイナルや世界ランキングも加味して、
世界選手権と、四大陸選手権に派遣する選手が発表されます。
選ばれた選手たちは、喜びに満ちた表情で滑り出てきて、リンク上でファンたちに挨拶します。
年末恒例のこのシーンを見届け、われわれファンは、「やれやれこれで今年も無事に年が越せる」と安堵するわけです。
しかし、昨シーズン2014年12月のこのシーンの直後には、
ファンを絶叫させるような忘れられない出来事がありました。
町田樹さんが、世界選手権出場の意気込みを語るべき時に、マイクを握って突然の引退宣言をしたのです。
「僕はこの全日本をもって現役を引退します。世界選手権の出場も辞退します」。
大ちゃん引退後、わたしはまっちーこと町田さんの、オリジナリティあふれる表現力を愛して来ました。才能が開花するまで時間がかかったため、年齢的な限界は近づいていたのかも知れませんが、その前シーズンは、ソチオリンピックで5位、世界選手権では羽生選手に続く2位と素晴らしい成績を残したので、まだしばらくは現役で滑ってくれるものと思っていました。しかし、まっちーにはまっちーなりの人生設計があり、次のステップに移るべき時が来ていたのです。
大好きな選手が引退するたびに、心の中に穴があいたような喪失感を味わってきました。この年は、大ちゃん同様に愛してきた織田信成さんも引退を決めていたので、ますますもって意気消沈。黄金時代を支えてきた選手たちがほとんど引退してしまったのだから、わたしもフィギュアファンを引退しようと、その時は真剣に考えたものです。
存在感を増してきた
四大陸選手権
四大陸選手権は、アフリカ、アジア、アメリカ、オセアニアの四つの地域の選手が出場する大会です。
国際スケート連盟が主宰する、ヨーロッパ選手権と同等の重要な大会ですが、
いっときは、世界選手権出場者の次のレベルの選手が出場する大会、
もしくは、有力選手が調整のために出場する大会というイメージもありました。
しかし近年は、すべて同じではないものの、世界選手権と重複する選手も派遣され、注目度が増してきているように思います。
今シーズンは今年2月に台湾で開催されました。
日本からは、宇野昌磨選手、無良崇人(むら たかひと)選手、田中刑事選手の3名。羽生結弦選手は出場しませんでした。
海外の有力選手は、カナダのパトリック・チャン選手、中国の金博洋(ボーヤン・ジン)選手など。しかし、パトリックは、グランプリシリーズを見るところ、一年間の休養明けで、ジャンプの調子が戻っていない。金選手は、4回転ルッツからはじまる連続ジャンプなど、史上初のものすごいジャンプを持っているが、これまでのところ演技構成点がまだ低めで、宇野選手の方が総合的に勝っている。ということで、宇野選手に勝算あり、本人もその認識との報道が続きました。
今が伸び盛りで絶好調の宇野選手がここで優勝すれば、世界的な評価も上がり、よいイメージを持って世界選手権に臨むことができます。しかし、意外にも、宇野選手は、表彰台に上がることすらできませんでした。パトリック・チャンが、フリーでいきなり覚醒して、休養前と同じ、王者としての風格ある演技を見せたこと、ボーヤン・ジン選手がグランプリファイナル以来わずか2カ月で、ジャンプ以外の要素も磨いて評価を上げたことが主な理由です。また、本人自ら分析していたように、宇野選手には危機感が足りませんでした。この経験を生かして、ぜひ世界選手権では表彰台に上がって欲しいものですね。
次は今シーズンの世界選手権について。見どころをご紹介します。
2016年、世界選手権の見どころ
さて、こうして今シーズンも、世界選手権を残すのみとなりました。
日本からは、男子は羽生結弦選手と宇野昌磨選手の2名、女子は宮原知子選手、本郷理華選手、浅田真央選手の3名が出場します。
その他、各国からの出場予定の選手は、こちらをごらんください。
男子
http://www.isuresults.com/events/cat00028356.htm
女子
http://www.isuresults.com/events/cat00028357.htm
ここでは、国のアルファベット順に選手名が書かれています。
たとえば、日本(JPN)であれば、羽生、宇野、無良、村上大介選手の4名がエントリーしています。そのうち、無良選手、村上選手の右側に「S」という文字がありますが、これは、正式エントリーの羽生選手、宇野選手に何かあった場合の補欠という意味です。
男子のこの顔触れをざっくり見てみると、2人の日本人選手にとって脅威となるのは、
上から順に、5.パトリック・チャン(カナダ)7.ボーヤン・ジン 8.エン・カン(共に中国)、17.デニス・テン(カザフスタン)、23.マキシム・コフトン(ロシア)24.ハビエル・フェルナンデス(スペイン)、あたりでしょうか。
優勝候補を絞り込むと、やはり、羽生結弦選手が最有力のように思われます。二番手はパトリック・チャン、ただし、この前の四大陸フリーのような100%の演技ができて、羽生選手が万が一調子が悪ければ、どうなるか?また、誰もできない種類の四回転ジャンプをバシバシ決めて登り調子のボーヤン・ジンが大金星を取る可能性もあります。羽生選手の同僚で、安藤美姫さんのボーイフレンドとしても有名なフェルナンデス選手も、有力な優勝候補です。
そうなると、わたしの大好きな宇野昌磨選手が優勝する可能性はほぼゼロ、表彰台に上がれる可能性もさほど高くないようにも思われてきます。が、宇野選手は、四大陸の時はまだ実戦に使っていなかった四回転ループという大技を披露する意欲を見せています。これに成功すれば上位に行けるかも知れませんね。
男子においては、演技だけでなく、イケメン選手探しも忘れてはなりません。わたしのお勧めは、20.マイケル・クリスチャン・マルチネス(フィリピン)、30.アダム・リッポン(アメリカ)など。リッポンはもうベテランですが、今季は全米チャンピオンとなってのエントリーなので、実力も侮れません。
次のページでは女子の注目選手についてご紹介。
女子の注目選手はロシアに集中しています。
27.エフゲニア・メドベデワ、28.アンナ・ポゴリラヤ、29.エレーナ・ラジオノワ。いずれも、技術、表現力ともに、非常に優れた選手です。ロシアはソチ・オリンピック前から若手の強化に成功しており、年替わりで天才少女が登場します。この表を見ても、ソチオリンピックの女子シングル金メダリストのアデリナ・ソトニコワや団体金メダリストのユリア・リプニツカヤが補欠に回っており、恐るべき層の厚さであることがわかります。
その他の国の有力選手は、37.グレイシー・ゴールド、38.アシュリー・ワグナー(いずれもアメリカ)というところでしょうか。
優勝候補はロシアのメドベデワ。続いて全日本チャンピオンの宮原知子選手。メドベデワは、今季突然トップに躍り出た大天才、安定感もあるので、宮原選手が付け入る隙が果たしてあるかどうか。しかしながら、宮原さんも、現在世界ランキングは1位、昨年の世界選手権では2位の実力者です。安定感も抜群。めったに転倒しないし、ジャンプ以外の要素もすべて完璧。その意味では、歴代日本女王の中でも最強ではないかとわたしは思っています。ゴールド、ワグナーのアメリカ勢は、いずれも美人で華やかで素晴らしいですが、意外と安定しないところもあり、優勝までは手が届かないと思われます。
そして、浅田真央選手ですが、正直言って予想は難しいです。ご存じのように、真央ちゃんは休養明けで、まだ調子を取り戻せていません。また、休養前から、ルッツジャンプでエラーを取られたり、一部のジャンプで回転不足を取られる傾向がありました。トリプルアクセルがどう評価されるかも、真央ちゃんが上位に行けるかどうかのポイントとなりますが、いずれもジャッジ次第。結果がどうなるにせよ、真央ちゃんらしく伸び伸び滑れることを祈りましょう。
次は、世界選手権の順位が重要な意味を持つ理由について。
そして、世界選手権の順位には、さらに重要な意味があります。
今年の結果次第で、来年の世界選手権の出場枠の数が決まるということです。
翌年がオリンピックイヤーであれば、やはり前年の世界選手権で出場枠か決まります。
女子は今年も3名出場ですが、男子は2名。なぜかというと、昨年の世界選手権での成績がよろしくなかったからです。男子も2008年以来、当然のように3枠取ってきたので、昨年の結果はかなり衝撃でした。
出場枠は最大3つ。それを取るには、出場選手の上位2名の順位を足して13以下であることが条件です。昨季の男子は、羽生結弦選手2位、小塚崇彦さん12位、無良崇人選手16位、上位2名の順位を足すと14になり、2枠に減ってしまったのです。昨季は、むしろ真央ちゃんが休んでいる女子の方が不安視されていたのですが、宮原、本郷、村上3選手が頑張り、楽勝で3枠取れました。
3枠あれば、仮にひとりの選手が大失敗をしたとしても切り捨てとなりますから、選手たちのプレッシャーも減ります。したがって、男子も今回の世界選手権で、ぜひとも3枠を取り戻さねばなりません。羽生選手はよほどのことがない限り、どれだけ悪くても2位にはなるでしょうから、あとは、宇野選手が出来る限り上位に入ること。たぶん大丈夫だとは思うものの、何が起きるかわからないのが世界選手権。ショーマ君、気を抜かないで頑張って。おばちゃんがついてるからね。